第34話 親子で買い物3

 次の買い物はリリーとカタリーナさんの洋服らしい……女性の買い物は長くてさらに意見も求められる。リリーだけなら何とも思わないがカタリーナさんの意見も聞かれると思うと……


「もう、私たちのデートなのになんでお母様が仕切るのよ!でも服を見に行くのは賛成だわ。アルも一緒に来て選んでね?」


 はい、苦痛な服選びが確定しました。どっちが良い?とか聞かれるのかなぁ?何か対応できる特殊なスキル生えて来ないかな?無駄な希望を抱きつつ楽しそうに会話している親子の後について行った。


「ねぇねぇ、アル、これはどっちがいいと思う?」


 もうかれこれ10回目だ。シャツを合わせては聞きに来る。スカートを合わせては聞きに来る。なんとか無難に答えながら選択しているが、そろそろきつくなってきた。ちなみにカタリーナさんも同じように聞いてくるから、苦痛は倍増している。


「そっちのピンクがリリーの髪にあってて似合ってるよ」


「そうね、私もそう思う。ありがとうこれにするわ」


 そう思ってるなら聞かんでくれ、そろそろ褒める語彙がなくなってきたぞ……今度はカタリーナさんか…


「アル君、これどうかしら?少し若すぎるかな?」


「カタリーナさんはとっても若く見えるから大丈夫ですよ。そんな可愛い服もに合うと思います。」


「そう?だったらこれ買っちゃおうかな?」


 なんとかこの服屋での買い物は切り抜けた。だが、服屋でのやり取りは大したことがないって事を思い知らされた……次の店が本当の地獄?の始まりだった。


[女性肌着専門店マリー]


 下着屋だ。しかも女性用の専門店だ。俺はここに入って大丈夫なのか?外で待っていた方が良い気がする。


「ここ、女性の専門店ですよね?俺は入らない方が良い気がするんですが…」


「あら?大丈夫よ、恋人なら入っても平気よ。ちゃんと男性が待つスペースも良いされてるから、一緒に入りましょ」


 そうは言うが、カタリーナさんも居るんだけどいいのか?でも座って待てるなら気にする必要はないか……断っても無理やり連れていかれそうだし…諦めて入ることにした。


「いらっしゃいませ。同伴者がご一緒ですね、こちらのお部屋をお使いください。」


 店員に小部屋に案内された。4畳半くらいだろうか、ソファーも用意されていて綺麗な部屋だ。外からも見えないようになっており、部屋の端にはフィッティングルームも用意されている。


「じゃぁ、アルはそこに座っててね、私たちは選んでくるから」


 そういうとリリーはカタリーナさんと一緒に店の方に入っていった。なかなか気の利いた店のつくりをしている。入ってから一切下着を見ることがなかった。ちゃんと部屋が分かれているのだろう。同伴者にも気を使っている。


 さすがに下着は見せて選べってことは言ってこないだろうな?フィッティングルームで着替えて自分で確認するだけだよね?しばらくすると袋を持ったリリーが戻ってきた。


「選んできたからちょっと試すわね」


 そういうとフィッティングルームに入りカーテンを閉めた。衣擦れの音がする。俺はなぜかゴクリと唾を飲み込んだ……やべぇ見えないのにめっちゃ興奮するんだが……すぐそこでリリーが着替えているのを想像してしまう。


「うーん、少し違うわね。色もだけどサイズも1つ大きくしなきゃダメかしら?」


 リリーの独り言が聞こえる。何のサイズを大きくするのか教えて下さい。お胸様がまだ成長してらっしゃるのでしょうか??


「こっちは、色は問題ないけどサイズがやっぱりきついわね、これも交換ね」


 また衣擦れの音がしてリリーが出てきた。


「アル、もう少し待ってね。もう何着か着てみたいから」


「良いよ、ゆっくり選んでおいで、でも今度俺にも見せてね」


「もう、エッチなんだから」


 そういうとリリーは顔を赤くして部屋を出て行った。可愛いのう。代わりにカタリーナさんが戻ってきた。


「たくさんあって迷っちゃったわ。でも良いものが見つかったの」


「そ、そうですか、そちらのフィッティングルームで試せますよ」


 そう言ったらカタリーナさんはフィッティングルームに入ってカーテンを閉めた。衣擦れの音が聞こえてしばらくすると突然カーテンが開いた。目をそらそうと思ったが、出来なかった……黒の下着を身に着けた美人の女性が立っている。素晴らしいプロポーションだった。頭に血が上るのが分かる、顔は真っ赤になってるだろう。それでも目が離せないほどの抜群のプロポーションだ。


「どう?アル君、似合ってる?」


「と、とっても似合ってます。すごく魅力的ですよ……」


「これ選んでよかったわ。」


 少し頬を染めてそういうとカーテンを閉めた。マジかカタリーナさんは何考えてるんだ?マジで俺の恋人になりたいって事なのか?リリーがいなけりゃイチコロだぞ……それほど魅力的な身体をしていたのだ。


「あれ?アルどうしたの?」


「え?あ、あぁ……お帰り……」


 リリーが戻ってきて俺に声をかけてくるが上の空になってしまった。まずい、カタリーナさんの下着姿を見たなんてことがバレたらすごくまずい。ここはなんとか誤魔化しておかないと……

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