第44話 魔法について3
リリーが無詠唱で魔法が使えるようになった。資質もあるんだろうけど、俺のことを信用して疑わずに練習してくれているのは嬉しい。
「さて、そろそろ再会しようか?リリー、魔力は大丈夫そう?」
「ええ、完全に回復はしてないだろうけど問題ないわ。次は風魔法をやってみるわ」
リリーは壁に向かって集中している。俺も暇なので他の魔法を試してみることにする。音が少なさそうなのは土魔法かな?石の礫がいくつか飛んでいくイメージで、形は銃弾がいいかな?回転をかけて射出すれば直進力もジャイロ効果であがるはずだ。
「《ストーンバレット》」
バシッ!バシッ!バシッ!
ダンジョンの壁に石の礫がめり込んだ。《ファイヤーボール》の爆発でもあまり崩れないダンジョンの壁にめり込むくらいなので貫通力は高そうだ。帰りにオークで実験してみよう。
「アル、無詠唱で風魔法もできたみたい。何か試しに切るものはない?ダンジョンの壁だとわかりずらくて……」
「うーん、少しダンジョンに入ってコボルトで試してみる?俺もいるからミスしても助けられるし……」
「そうね実戦で試すのも悪くないわね、失敗しても剣で簡単に倒せるから問題ないわ」
リリーも賛成のようなので、コボルトを探して実戦で無詠唱を試すことにした。コボルト相手なら怪我をする心配もないし問題はないだろう。俺も《ストーンバレット》を試してみよう。
「今回は無詠唱で良いけど、普段は魔法名くらい言おう。何を使うか分かった方が次の行動を決めやすいからね」
「わかったわ。こちらの世界に決まった魔法名はないので、後で魔法の整理をしましょ?」
なるほど、詠唱のみで効果があるから魔法名はないのか……リリーと二人で適当に決めてしまおう。あちらの世界で読んだことがあるラノベでいろんな魔法が出てくるから覚えてる範囲で参考にしてみれば良いだろう。
「魔法名については後にするか……無詠唱で使えるようになれば魔法名のみでの発動も簡単にできるはずだからね」
コボルトを倒しにダンジョンの通路に向かった。コボルトはうじゃうじゃわくので簡単に会えるだろう。さっそく3匹のコボルトが現れた。
リリーはすぐさま風魔法を発動させたようだ。コボルトの頭がいとも簡単に落ちた。俺と同じように同時発動もぶっつけ本番で成功させたようだ。
「やったわ、アルと同じことが出来た!」
「リリーすごいね、実戦で一回で成功させるなんて」
俺が近づくとドロップしたアイテムは全て改修された。アイテム自動回収機能もちゃんと動いているようだ。
「アイテム回収もちゃんと機能してるな」
「それなら、気にせず魔法で倒していくわね」
やる気満々のリリーは頻繁に現れるコボルトに突撃していった。俺は後についていきアイテムをひたすら回収する。魔法を使う暇がない……リリーは火魔法や風魔法を駆使して?コボルトたちを討伐していった。
「そろそろ魔力が少なくなってきたわ。広場までの道はアルが倒してね、私は後ろを警戒しているわ」
「そういえばミノタウロスが出ませんでしたね?」
「そうね、偶々なのか何かあったのか……でもまったく現れないこともあるから大丈夫だと思うけど……」
俺はとりあえずリリーの指示で広場に向かった。まだ道を覚えていないのでリリーが頼りだ。今度、地図買って道を覚えよう……
広場で試した《ストーンバレット》を使ってみる。現れた3匹のコボルトの頭にストーンバレットが当たると爆散した……
「うげっ、これ外で使うと面倒なことになりそうだな……貫通力を重視したほうが良いのか?」
さらに石の弾丸が硬くなるイメージをしてみよう。やっぱり銃弾のような形が一番効率が良いのだろう。次に現れたコボルトに対して改良を加えた《ストーンバレット》を発動する……今度はコボルトの頭をうまく貫けたようだ、そして後ろのコボルトにも当たり2匹同時に討伐できた。
「貫通力が上がったから雑魚だと複数匹同時に倒せそうだな」
「今のは石礫よね?威力が高すぎない?」
「石礫の形を改良してさらに硬くしたんだ。それにまっすぐ飛ぶ工夫もしたあるから威力が高いんだよ」
「そうなのね、私は火魔法と風魔法しか使えないから……それでも工夫すれば威力があがるのかしら?」
火魔法と風魔法の強化か……相性は良い魔法だと思うので混ぜたら危険な魔法が出来るかもしれないな……今度どっかで試してみよう。そうすればリリーでも使えるかもしれない
「もしかしたら、リリーの魔法も強化できるかもしれない。ただ危険だからダンジョンでは試せないね……街から離れた場所で研究してみよう」
「そうなの?それが出来るなら嬉しいわね、是非教えてほしいわ」
期待した顔でリリーが喜んでいる。これは頑張らないといけないな……いくつか方法は思いついているが……
「まだ出来るかわからないからそんなに期待しないでね?」
とりあえず予防線は張っておく。この世界でちゃんと地球の理論が通じるか確認してないからな、多分大丈夫だと思うけど……
───────────────────────────
しばらく休載します。
楽しみにして頂いた皆様には申し訳ありませんが
次の更新までお待ちいただけると嬉しいです。
おっさんの旅路 ~リーゼロッテを添えて~【休載中】 蒼井由奈 @YunaAoi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。おっさんの旅路 ~リーゼロッテを添えて~【休載中】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます