第22話 ホモーク
個室での換金作業、高ランク冒険者になった気分だ。あ、リリーは高ランク冒険者でしたね……しかも〔灼熱の魔女〕という二つ名持ちだ。
「オークの魔石は、どのくらいの買い取り価格ですか?」
「現在オークの魔石の値段は2,000Gになっています。最近ダンジョンに変なオークが現れると噂になっていて男性の冒険者が3階に行くのを嫌がるんですよね、もともと女性の冒険者は行きたがる場所ではないですし………」
あー、それはあいつのせいですね、実際の被害にあったやつがいるのかな?そうなると噂が出るのも納得できる。
「そうなんですか?何か噂になる理由があるんですか?」
「最近居なくなった冒険者はいないので、殺されたとかではないと思うんですよ。でも何人かケガをして帰ってきた冒険者はいます。でもケガの内容を言ってくれないのでよくわからないんですよねぇ……」
おっふ、掘られたやつがおる。そりゃケガの内容なんて絶対言いたくない。とある場所をケガして穢された。そして精神も穢される……考えただけでも恐ろしい……
「アル、あいつじゃないのか?」
「たぶんそうだろうな、あいつ1匹だけなら良いが他にも居ないとは言い切れない……」
「何か知ってるんですか?出来たら教えて欲しいのですが」
昨日3階で出会ったオークについて説明した。リリーはまたプルプルしてたけど笑うことはなかった。
「そんなことがあったのですね、そうすると冒険者のケガはおし…」
「おっと、それ以上はいけない。そいつらの為にも黙っててやるのが大人だ」
マリーズさんが余計な事を言いそうになったので慌て止めた。苦笑いをしたマリーズさん頷いてケガのことを言うのを止めた。
「では、ホモークが一応1匹倒されたことを発表します。オークの襲撃が止むと現れる可能性が高いこともあわせて発表しておきます。ゴブリンの魔石はいくつですか?」
真面目な顔で〔ホモーク〕なんて言わんでくれ、でもなかなかのネーミングセンスだ。自分も襲われかけたのに笑いそうになってしまった。
「28個ですね、テーブルの上に出します」
ゴブリンの魔石をテーブルの上に出した。マリーズさんはササっと数えてしまい。
「確かに28個ですね、1個1,000Gでの買取になります。オークの魔石が437個874,000G、ゴブリンの魔石が28個28,000Gになり、合計902,000Gとなります。」
二人でわけても45万G、ずいぶんと儲かった。肉はどのくらい引き取ってくれるだろうか?
「オーク肉はどうします。塊で326個もあるんですが……」
「そうですね、解体場のリベルトさんに聞いてみないとわかりませんが、100個~150個程度だと思います。最近は先ほどの理由で数が減っているのでもう少し買い取れるかもしれません。」
冷凍設備がどのくらい空いてるかによって買い取り量は変わるだろう。150個だとして約1.5トンか、あまり想像できる量じゃないな……
「わかりました。では解体場に行ってみます。」
「よろしくお願いします。肉の納品が終わったら受領証を持ってカウンターの方に来てください。騒ぎも収まってるでしょうから……それと二階から直接解体場に行ける通路があるのでそちらを使って下さい。リーゼロッテさんは知ってますよね?」
「知ってるわ。そこを通って良いのね?」
直通通路はリリーが知ってるようなのでついて行くことにする。廊下の端にある扉を開けると解体場の2階とギルドがデッキでつながっていた。職員専用通路なんだろう。解体場に入ると2階部分に出たので階段を降りるとリベルトさんと何人かの職員が魔物の解体をしていた。
「リベルトさん、ちょっと良いですか?オーク肉の大量納品なんですけど……」
「おう、アルフレッドだっけか?ちょっと待っててくれ、今の作業を終わらせちまう。」
ウルフを解体しているようだ。グラスウルフとは違う種類のようなので【解析】してみる。
〔フォレストウルフ:食用可能、筋が多いがうまい〕
グラスウルフより美味いらしい…流石責任者だすごいスピードで解体されていく。あっという間に肉と骨に切り分けられてしまった。別の職員に指示を出すと血だらけの手を拭いながらこちらにやってきた。
「おう、待たせたな。オーク肉かダンジョンのやつか?」
「そうです。全部で326個です。」
「また盛大に持って帰ってきたな、今は200個が限度だ。残りは明後日あたりになれば受け取れるだろう。」
品薄状態なのだろうか?冒険者が行きたがらないって言ってたから納品数も減ってるのだろう。それに【収納】持ちしか大量に運べないからな……
「それで構いません。どこに出せばいいですか?」
「運ぶのも面倒だから冷凍設備に直接出してもらおうか、ついてきてくれ」
リベルトさんに冷凍設備の前まで案内された。
「中は寒いから注意しろよ?長くは居られないからここで説明する。中に入って右側にオーク肉を置く場所がある。今は50個ほどあるはずだ。そこに重ねて出してくれるとありがたい。」
「わかりました。リリーはここで待ってて良いよ」
「わかったわ」
「アルフレッド、これを着ろ。多少だが寒さが和らぐ、そのまま入るよりはましだろう。」
渡されたマントを羽織って俺は冷凍設備のドアを開けて中に入った。
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