第1話 白の世界1

 ふと気が付くと真っ白な場所に立っている……感じがするが視点が動かない。俺は確か布団に入って寝たはずだが……


『ピンポンパンポーン』


『あなたは先ほどお亡くなりになりました。』


 急に呑気なチャイム音と声が聞こえてきた。


 は?え?亡くなった?俺が?なんで?


『死因は内臓疾患による多臓器不全です。眠っていたため何も感じることもなく、お亡くなりになりました。』


 てことは、ここは死後の世界?てかそんなの存在するのか?動ける感じはしないがはっきりと意識はある。


『いえ死後の世界ではありません。貴方はとてもの結果、異世界へ転生することが決まりました。おめでとうございます。』


『そして、現在は魂だけの存在であるため動くことは出来ません。』


 ふむ、そうするとこれから俺はどうなるんだ?


『いやに落ち着いていますね、まぁ良いです。貴方にはこれから剣と魔法の世界〔ローグアース〕に転生して頂きます。なお拒否権はございません。』


 ローグアース、荒れた地球ってか?冗談がきついな……で?俺はどうすれば良いんだ?


『話が早くて助かります。〔ローグアース〕にはレベルやステータス、スキル、魔法が存在します。また魔物が存在するため、人類の生活圏は限られています。細かく説明をすると長くなるので端折りますが、貴方にはその世界で生活して頂きます。』


 よくあるタイプの異世界転生だな、何か目的はあるのか?魔王を倒せとか、地球の技術を広めろとか


『いえ、貴方には特に使命を課す気はありません。思うがままに生きて下さい。地球の技術や知識を広めても結構ですし、周りに流されて生きるのもありです。好きなように生きて頂いて構いません。』


 俺がその世界に存在することに意義があるのか?


『それも違います。私たちからすれば貴方が〔ローグアース〕に転生した時点で役割を終えています。転生することが重要なので……』


 気になることが無いと言えば嘘になるが……、まぁいいだろう。いくつか質問があるが良いか?


『なんでしょう?答えれる範囲では答えます。』


 転生と言ったが赤子の状態からか?


『いえ、〔ローグアース〕での一般的な成人年齢である15歳からになります。』


 ふむ、今の記憶は引き継がれるのか?


『地球での記憶や知識は引き継がれます。またスキルにもその影響が色濃く出る事になります。それについては質問のあとにでも……』


 わかった。言葉や一般常識などはどうなる?


『そのあたりは問題ないようにしておきますのでご心配なく』


 最後にあんた誰だ?


『……そうですね、管理者とでも名乗っておきますかね。それでは貴方の身体を作っていきます。最初に男と女どちらが良いですか?』


 まてまてまてまて、そこからか?


『ええ、貴方は現在、魂だけの存在ですので身体が無ければ活動できませんよ?』


 いや、それはそうなんだが、もっとこう、適当にちょちょいとって出来ないもんなのか?


『私はそれでも構いませんが、適当に作ると碌なことになりませんよ?例えばこんなふうに……』


 頭の中にイメージが流れ込んできた。浮浪者の恰好をした不細工な男が野垂れ死んでる様子だ。ちゃんとやらんとこうなるのね……


 あー、わかった。すまなかった。では男で頼む。


『わかってもらえましたか……、それでは身体は男ですね。年齢は15歳で種族はヒューマンで良いですね?』


 他にもあるのか?


『獣人、エルフ、ドワーフ、魔物などいろいろありますよ?』


 魔物にもなれるのか……討伐されそうだからならんけど、エルフやドワーフは興味があるが普通にヒューマンが無難なんだろうな……


『そうですね、ヒューマンの人口が一番多いです。場所によってはヒューマン以外は亜人として迫害されていますから……』


 ならヒューマンで問題ない


『では、これからスキルを設定します。基本のスキルとして【共通言語】を付与します。また、地球での経験をスキルとして付与するので後ほど確認してください。』


 せっかくだから魔法は使ってみたいんだが可能か?


『わかりました。魔法の才能も付与しておきます。基本的には想像力が重要なので地球出身の貴方にとっては得意な分野かもしれませんね』


 よろしく頼む、〔ローグアース〕のどこに出現するんだ?


『比較的街に近い安全な場所を予定しています。ですが街の外なので魔物に襲われる危険があるので注意してください。』


 そうなると最初の持ち物はどうなる?


『簡単な旅人の持ち物と武器は差し上げます。ですがお金を用意することは出来ないので、何か弱い魔物を倒してお金にしてください。』


 わかった感謝する。


『では転生記念(特典)を選んで下さい。その中にあるものであればどれでも3つまで選択可能です。選択するときは欲しいもの表示を見てイメージすれば選択されます。』


 管理者がそういうと目の前に透明な画面が現れ日本語でない文字でいろいろな魔法、スキルやアイテムが羅列されていた。【鑑定】【アイテムボックス】など異世界転生でよくあるスキルから、【聖剣】【魔剣】などの武器、【聖騎士甲冑】【イージスの盾】などの防具、【エリクサー】【ハイポーション】なんてアイテムまである。


『時間制限はないので、ごゆっくりどうぞ』


 そう言われた俺は画面の端から目を通していった。

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