第12話 ディナーデート

 部屋で【アイテムボックス】を調べていたら、見覚えのないアイテムと手紙が入っていた。たぶん管理者からだろう……手紙を取り出して読んでみた。


『アルフレッド君へ


 これを読んでるってことは【アイテムボックス】の中身を調べたね、リュックに入ってるものとは別にいくつか必要なものを入れておいた。転生してすぐに気が付いてるとは思うけど………


 下着類は地球の物を参考に作ってあるもので、劣化しないように保護してある。それ以外の物は通常品だ。砥石やオイルは剣の手入れ用なので自由に使ってくれれば良い。


 【性活魔法】はサービスの固有スキルです。魔法固定なのでいろいろ試して探してください。この手紙は読み終わったら消滅する。


 管理者より』


 読み終わったと同時に手紙が消えた。また、このパターンか、えぇ、えぇ、気が付きませんでしたよ!でも下着類はありがとうございます。今履いてるこちらのパンツは具合が悪かったので、大変助かります。【性活魔法】については……俺が覚えてから書き足したな?干渉することは無理じゃなかったのか?


 パンツ、Tシャツ、靴下、シャツ、ズボン、ベルトを取り出した。地球型のパンツ、Tシャツ、靴下は転生してから時間もたっていないのに懐かしく感じる。シャツとズボンはこちらの製品のようだが、ある程度分厚くてしっかりした作りだ。シャツは生成りだが、ズボンは黒に染めてある。


 さっそく着替えてみた。下着が地球と同じなのはすごく落ち着く。それにシャツもズボンも悪くない。これなら見た目も悪くないし、普段着として十分に使えそうだ。着ていた服や下着にもう一度クリーンをかけて【アイテムボックス】に収納した。


〔熱湯が入ったコップ×1〕

〔小盾×1〕

〔革鎧×1〕

〔革のガントレット×1〕

〔革のリュック〕▲

 〔水筒(空)×1〕

 〔外套×1〕

 〔毛布×1〕

 〔カンテラ×1〕

 〔ナイフ×1〕

 〔麻袋(大)×3〕

 〔破れた革袋×1〕

〔砥石×1〕

〔オイル×1〕

〔パンツ×2〕

〔Tシャツ×2〕

〔靴下×2〕

〔シャツ×1〕

〔ズボン×1〕

〔旅人の服×1〕

〔旅人のズボン×1〕

〔旅人のベルト×1〕

〔パンツ(現地)×1〕

〔靴下(現地)×1〕


 よし、まずはこれくらいかな?あとはもう少しアイテムを入れてから試してみよう。食事の時は剣も【アイテムボックス】にしまっておこう。


コン、コン、コン、コン


「アル、起きている?リーゼロッテよ。開けてちょうだい」


「はいはい、起きてるよ今開けるからちょっと待ってくれ」


 ドアを開けたら薄い緑のワンピースに身を包んだ可愛らしいリリーが立っていた。冒険者姿の凛々しい格好も良いが、可愛らしいワンピース姿も大変結構である。


「ワンピースにしたんだね、とっても似合ってるよ」


「えへへ、そうかな?」


 モジモジしながら照れている。なんだこの可愛い生き物は!大変よろしい!そして立派なお胸様の主張も激しいが、可愛らしいワンピースのおかげでエロさは抑えられている。


「アルも着替えたの?その服装も似合ってるわ。」


「ありがとう。褒めてもらえて嬉しいよ」


 うーん、なんだか二人して恋人ムーブをかましているが、これで良いのだろうか?リリーも可愛いし気にしたら負けだな!いつも通りいつも通り。


「さぁ、食事に行こうか。宿屋の食堂であんまり格好がつかないけどね」


「ふふふ、構わないわよ」


 食堂に降りていくとカリナさん褒められた。二人とも冒険者なのにそれなりの格好をしていったからだろう。小声で「ちゃんとエスコートしてればもっと良かったんだけどねぇ」そんな事言われても困りますわな、それは追々……


 あれ?なんか二人がこのまま恋人になる方向に進んでないか?リリーも嫌そうではないし、俺もリリーの事が嫌いなわけではないし……相手は貴族のお嬢様だぞ?本当に大丈夫なのか??


 席に着くと女将さんが料理を運んできてくれた。まぁ定食だけどね、ただサービスでワインを付けてくれた。


「それじゃ食べようか、いただきます」

「日々の食事に感謝を」


 おっと、地球での癖が出たけどどうだ?リリーは不思議な顔でこちらを見ている。


「「いただきます」ってなに?」


「これは俺の故郷で伝わる食事前の挨拶だよ、肉や魚、野菜や果物も含めて、食材の『命』を頂いてるわけだからそれに対する感謝だね、それに食事を作った人に対する感謝の気持ちも込められている」


「そうなのね、良い言葉ね私も使って良い?」


「もちろんかまわない、リリーの言葉だって感謝の気持ちが込められているだろ?同じことだよ」


「そうね」


 再び二人で挨拶をして晩御飯を食べ始めた。さすが貴族のお嬢様、カトラリーは木製だが所作がきちんとしているので大変美しく見える。俺もある程度マナーは分かるから頑張ってみよう。


「アルは平民出身にしては、きちんとした所作で食べるのね……いや、なんでもない聞かなかったことにしてちょうだい……」


 はっとした顔をしてリリーは言葉を切った。まぁもう知ってるけどここはあえて聞かなかったことにするのが良いな……たぶん油断もあったんだろう。もしかしたらあえて言ったのかもしれない。

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