第5話 城塞都市ソフィア

 リーゼロッテに連れられて城門に向かっている。城壁の高さは20mくらいだろうか?城塞都市だな………城門に着くと彼女は衛兵に話しかけた。


「こいつが居たわよ。光の事は知らないってさ、詳しい事は直接聞いてね」


「お嬢ありがとな、俺が行けたら良かったんだが、生憎今は一人で警備する時間帯だったからな」


「知ってるわよ、それとお嬢は止めて!」


「おっと、わりぃわりぃ。リーゼロッテ助かったよ」


「フンッ!そしたら後は任せるわ。アンタ、アルフレッドだっけ?そこの衛兵の言う事をちゃんと聞くのよ」


 そう言って彼女は街の中に入っていった。衛兵は苦笑いしながら話しかけてきた。


「災難だったな、頼んだ俺が言うのもなんだけどな」


「いえ、あんなところで剣の練習をしてた俺が悪いんで…」


「兄ちゃんは冒険者かい?それならギルド証を見せてくれるとありがたいのだが」


 身分証的な物が必要なのか…持ってないし、ちょっと考えた設定を話しとくか


「いえ、冒険者ではないです。村から出てきて冒険者にでもなろうかと…幸い両親が残した装備品があったので……」


『スキル【弁明】を取得しました。』


 うーん、新たなスキルを覚えたが……


「なるほどな、名前は確かアルフレッドだっけ?さっきお嬢が言ってたな」


「はい、そうです。」


「ところで、ちょっと前に草原で光が見えたんだが何か知らないか?」


「いえ、剣を練習するのに必死だったので気が付きませんでした。」


「そうか……何だったんだあの光は?見てないならこれ以上聞くことはないな、身分証がないならこの水晶に触れてくれ」


 衛兵が腰にぶら下げている袋から水晶を取り出した。水晶に触れると青く光った。


「よし、中に入って良いぞ。城塞都市ソフィアにようこそ。冒険者になるなら早めにな、顔を知ってても入る度にチェックしないとダメだからな」


「わかりました。ところで冒険者ギルドは何処にあります?」


「ギルドならこの道を真っ直ぐ進んだ右側にあるぞ、剣と盾の看板が目印だ。」


 衛兵と別れて大通りを歩いて行く。そこには動画で見た事があるような古いヨーロッパの街並みが続いていた。キョロキョロしながら歩いていると、人にぶつかりそうになった。お、獣人だ。ネコミミの女の子がぶつかりそうになった俺を睨んでいる。


「すまん、村から出てきたばかりで周りが気になってな……」


「気を付けなよ!」


 怖い怖い、他にもイヌ?オオカミ?の獣人や熊の獣人もいる。もちろんヒューマンもたくさん歩いている。エルフやドワーフは見当たらない。しばらく歩いていると右側に剣と盾の看板が見えてきた。あそこだな、石造りの三階建てだ。周りの建物に比べると大きい。


 さて、中に入ってみるかな?少しおっかなびっくりしながらギルドの中に入ってみた。


 中は酒場と事務所に別れており、酒場では冒険者達が飲み食いしながら話しているのが見える。事務所側はカウンターになっており冒険者と話してる職員がいる。職員はなかなか可愛い娘が揃ってるな……少しニヤニヤしながら見ていると


「なに鼻の下伸ばしてるのよ!気色悪いわね」


 振り向くとリーゼロッテが居た。なんで怒られた?別に少しくらい良いじゃないか、それに喧嘩腰だし…


「別に伸ばしてないぞ、それに気色悪いは酷くないか?」


「ニヤついてたじゃない!それが気色悪いって言ってるのよ」


 うーん、これはどう処理するのが正解だ?よし!ここは正直に


「そうか……受付の娘が可愛かったからついな、でもリーゼロッテの方が可愛いぞ」


「なっ、何を言ってるのよ!」


 リーゼロッテは顔を真っ赤にして固まってしまった


「正直に言っただけだが?」


「バカ!知らない!」


 リーゼロッテは顔を真っ赤にしたままギルドから走り去ってしまった。ミスったか?ま、いっか


「すげーな兄ちゃんやるな、あの〔灼熱の魔女〕を手玉に取るとは!」


 近くにいた冒険者が話かけてきた。


「灼熱の魔女?有名な人なんですか?」


「さては兄ちゃんこの街は初めてだな?じゃなければモグリだ。彼女は〔灼熱の魔女〕リーゼロッテと言われる凄腕の冒険者だよ、一度討伐が始まれば全てを燃やし尽くすまで止まらないって言われてる」


「何それ…怖い…」


「だからすげーって言ったんだよ、彼女を知ってればあんな軽口叩けないからな」


 冒険者は笑いながら酒場に消えていった。確かにそんな事する人だと知ってれば軽口は叩けないわな…後で叩きのめされるかも……


 言ってしまったものはしゃーない、気を取り直して登録しよう。空いてる受付に行き職員に話しかけた。


「登録したいんですが……」


「新規の登録ですか?ではこちらに記入をお願いします。代筆は必要ですか?」


「あっ、大丈夫です。自分で書けます。」


 渡された紙を見ると、〔名前〕〔ジョブ〕〔武器〕〔魔法〕を書く欄がある。魔法が使えることがわかると面倒なことになりそうだから魔法以外を書けば良いかな?


 名前(年齢):アルフレッド(15)

 ジョブ:剣士

 武器:片手剣

 魔法:


 日本語で書こうとしたらちゃんとこの世界の文字になった。【共通言語】以外にも何か別の効果も関連していそうだ。

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