第7話 冒険者ギルド2
冒険者ギルドの試験でおっさんに叩きのめされた俺は、リーゼロッテに膝枕をしてもらっている状態で目が覚めた。柔らかいし、良い匂いがするからもう少しこの気分を味わいたかったが……
「あのぉ、起き上がっても良いですか?」
「あんたもさっさと起き上がりなさいよね!」
「いえ、可愛い娘に膝枕して貰えるのはとても嬉しいので…」
「なっ、あんたまた…」
真っ赤になって固まっているリーゼロッテは可愛いが、このままだと殴られそうなので起き上がった。腕は折れたはずなのに何ともない
「えーと、ご迷惑おかけしました?腕が折れたと思ったんですが………それと試験の方はどうなったんでしょうか?」
「骨折はポーションで治したぞ。俺が折っちまったから治療費はいらん。試験は無事に終了だ。Dランクだな。細かい説明は下に行ってさっきの職員に聞いてくれ、リリーも一緒に連れて行ってくれると有難い。此処に居られると五月蝿くてかなわん。」
リリーね、愛称かな?骨折させられて無事に終了ってなんだかなぁ……、治ってるから良いけど…
「何よ叔父さんまで私を邪魔者扱いしなくっても良いじゃない!」
「まぁまぁそう言うな、邪魔者は俺だろ?」
「なっ!そんな事ないわよ!」
「どうだかな、さっさと行った行った。俺もぼちぼち忙しいんだよ」
部屋から追い出されたので扉を閉めて一階に降りる。扉には「ギルドマスター」と書かれていた。
「ギルマスかよ…どおりで…」
「ああ見えてもギルマスなのよねぇ、お陰で助かってる部分もあるけど……後、強いわ」
「それはわかる。構えて前に立っただけで、俺死ぬわって思ったから」
「ふふふ、そうね私も叔父さんには勝てないわ、いつか絶対に勝ちたいけど…」
ちょっと寂しそうな顔をして笑っている。まぁ何らかの事情はあるんだろうな…貴族だし…てことはあの人も貴族なんか?わからんもんだな
「さて、さっさと下でギルド証の発行と説明を聞かないとな」
「そうね、暇だし付き合ってあげるわ」
そう言って彼女は俺の後をついてきた。
「おやおや、アルフレッドさん気が付かれましたか、お嬢、コホン、リーゼロッテさんの慌てた姿なんて久しぶりに見ましたよ」
「慌ててなんていないわよ!」
「そうですか?アルフレッドさんが倒れてるのを見てかなり……」
リーゼロッテは真っ赤な顔をしながら職員をめっちゃ睨んでる。
「コホン、さて、ギルドの説明をしますね、こちらにお座り下さい。リーゼロッテさんも同席されますか?」
おう、職員がリーゼロッテの迫力に負けて誤魔化した…
「暇だし一緒に聞くわ」
職員はニヤニヤしながら説明を始めた。リーゼロッテはまだ顔が赤いままだ。どうなってんのこれ?
「私はギルド職員のマリーズです。よろしくお願いします。」
説明が長いが冒険者ギルドは次のような組織だ。
国に所属する組織ではなく独立した組織である事、そして世界各地にギルドがあり冒険者のギルド証を持っていてCランク以上であれば基本的に国境を自由に超えることが出来る。
ランクがF・E・D・C・B・A・Sまでの7ランク。Fランクは15歳未満の雑用専門ランクで街中の仕事が中心だ。E・Dランクは下っ端で、Cランクからが一端の冒険者として扱われる、そしてこのCランクの人が一番多い。B・Aランクは凄腕やベテランが多く、Sランクになると国に一人か二人いる程度である。ギルマスは元Aランク冒険者だそうだ。
依頼は各ギルドで掲示板に張り出されており、冒険者はその依頼を受けて達成すると報奨金を受けとることが出来る。期日までに間に合わなかったり、依頼に失敗するとペナルティとして罰金を取られる可能性がある。失敗ばかりしていると降格処分となる。
依頼の種類は、雑用(荷物運び等)・採取・討伐・捕獲・護衛・指名依頼があり、それぞれの依頼にランク付けがされている。街に魔物からの攻撃等で危機が迫った場合は、冒険者ギルドからCランク以上の冒険者に強制依頼を出す場合がある。領主間の争いや、国家間の戦争はこれに当たらない。この場合は領主から別途依頼が出されて受ける受けないは冒険者の自由だ。
そしてDランク以上であればダンジョンに入ることができる。この街の近くにもダンジョンが存在し、そこで稼ぐ冒険者も少なくない。ダンジョンには数多くの魔物が存在し倒すことでアイテムをドロップする。それは食料品から武器、ポーション等様々なものがある。そしてダンジョン内では稀に宝箱が出現する。中には高価な魔道具や武器が入ってることがあり、これを狙ってダンジョンに入る冒険者も多い。なんせ一攫千金だからね。
「以上になります。何か質問はありますか?」
「特にないですね」
「では、こちらがギルド証になります。再発行する場合は大銀貨1枚が必要になるので注意してください。」
マリーズさんからカードサイズのギルド証が手渡された。
「そのカードは他人が触っていると表示が消えます。なので偽造や複製は不可能となっています。」
さすが異世界、謎技術があるな。
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