第9話 初めての魔物討伐2

 ホーンラビットの討伐には成功したが、【アイテムボックス】を使うか迷っている。リリーがマジックポーチを持っているのは知っているが、【解析】で得た情報なのでこちらからお願いする訳にもいかない、悩ましい……


 リリーはホーンラビットに近づいて調べている。


「さすがね、きちんと一撃で仕留めてるわ。変な踊りを見たとき剣筋は綺麗だったから問題ないと思ってたけど、予想通りね」


「変な踊りって言わんでくれ。それからこれから見ることはあんまり他言しないようにな」


 そういって【アイテムボックス】にホーンラビットを収納した。


「なっ、【収納】持ちだったの?なんで銀貨を収納に入れてなかったのよ」


「【収納】持ちってあんまり知られたくなかったからな」


「それでも2、3枚残して後は【収納】に入れとけば良いのに……」


 むむむ、ミスったか?だが今更だ。気にしないでおこう


「次に行くわよ!ホーンラビット一匹じゃ泊まれないわよ!」


 リリーもそこまで気にしてないのか、次の獲物探しを催促してきた。それから三匹のホーンラビットが狩れたので宿代の確保は出来た。ホーンラビットを【解析】してみるとこんな感じだった


名前:

種族:ホーンラビット(雄)

ランク:E

レベル:3

ステータス

 STR:50

 VIT:50

 INT:0

 DEX:20

 AGI:80

 LUK:10

魔法:なし

スキル:【跳躍】【突撃】


 確かに弱いな、【突撃】に気を付ければ簡単に倒せる。倒した後の【解析】はまた違った結果が出ている。


〔ホーンラビット:食用可能、うまい。売:2,000G〕


 【解析】の味感想はいらない気もするが、食べれる食べれない判定は重要かもしれないな……旅をしている時に食い物がとれるのはありがたい。そうなると味も重要か?まずいものはなるべく食べたくないからな


「気を付けてウルフがくるわよ、多分三匹ね」


「おう、俺も気が付いた。たぶん一人で大丈夫だが、危なそうなら手伝ってくれ」


「わかったわ」


 草の間からウルフが一斉に飛び出してきた。先頭の一匹が突出しているので躱して首筋に剣を叩きこむ。死んではいないかもしれないが動けないだろう。


 後から一匹はその場で立ち止まり、こちらの様子を伺っているがもう一匹は構わず突っこんできた。鼻先に向けて剣を叩き込んだら頭の途中まで切り裂けた。何となくではあるがきちんと刃を立てて攻撃できている。


 最後の一匹はあいかわらず離れた場所からこちらを伺っている。今のうちに【解析】しておこう


名前:

種族:グラスウルフ(雌)

ランク:E

レベル:5

ステータス

 STR:85

 VIT:70

 INT:0

 DEX:20

 AGI:100

 LUK:10

魔法:なし

スキル:【突撃】【爪撃】【噛みつき】


 スピードはあるが十分なんとかなる範囲だ。同時に襲ってこなかったのも幸いしている。じりじりと近づいていくと、急に後ろを向いて走り去っていった。


「ふぅ、最後のやつは敵わないと思って逃げたか……」


「仲間を連れてくるかもしれないわ、片付けてここを離れましょう。これで稼ぎも十分だわ」


「そうだな、今日泊まる分には問題ないだろう。」


 一匹目はまだ息があったが止めを刺して【アイテムボックス】収納した。二匹目は既に死んでいたので【解析】してから収納しておいた。


〔グラスウルフ:食用可能、まずまず少し臭い。売:2,500G〕


 ふむ、食用部分が多いからウサギより高いのか?でも少し臭いのは気になるかもしれないな。


「両方とも庶民の味方の肉よ、ウサギは美味しいから人気ね、ウルフは筋が多くて少し食べづらいけど悪くないわよ」


「そうだな」


 ん?なんか心を読まれた?肉の事を考えてるのがなんでわかったんだ?


「さぁ、追加のウルフが来る前に帰るわよ!」


「わかった。リリー付き合ってくれてありがとな」


 お礼を言うとまた顔を赤くしている。どんだけ初心やねん!チョロすぎてかえって心配になるわ!城門まで戻り衛兵にギルド証を見せる。


「おう、おかえり。なんだ成果はなしか?残念だったな」


「こんなこともあるさ、また明日頑張るよ」


 荷物を持っていないので成果が無かったと思われたようだ。わざわざ【収納】持ちをばらす必要もないので適当にあしらっておく。


 ギルドに戻りマリーズさんのいる受付に向かった。だいぶ日も傾いてきているが、冒険者ギルドはまだ混みあっていない。


「冒険者たちはもっと遅い時間に戻ってくるのか?」


「そうですね、もう少ししたらダンジョンからの馬車が到着するので、そしたらここも冒険者でいっぱいになりますよ」


「そうか、狩ってきた獲物を出したいんだが場所はあるかい?」


「……では、解体場に行きましょう。そこなら職員以外には見られないので」


 マリーズさんは俺が【収納】持ちだと気が付いたようだ。そりゃそうだわな、手ぶらで獲物を出したいなんて言ったら【収納】持ちってわかるか……マリーズに案内されて俺たちはギルドの解体場に向かった。冒険者ギルドの隣の建物に入るといくつかの作業台が置かれた広いスペースがある。端の方から何やら音が聞こえてくるが何だろう?

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