第29話 解析スキルの説明
食堂に案内されて昼食の準備を待っていたら見たことがある昼食が運ばれてきた。メニューの内容や盛り付け方はどこかで見たことがある……ウサギ亭だ。ディナーデートした時とほぼ同じ定食が運ばれてきた。なぜ?ウサギ亭と同じなんだろう?
「アル、ウサギ亭と同じご飯だと思ってるでしょ?」
「なんでわかった?」
「顔に書いてあるわよ?」
そんなに表情に出てたか?確かに困惑はしていたが……【
「さっきも話したけど、ウサギ亭は伯父様がオーナーよ?そして料理人は元貴族家の料理長よ?」
「なるほどね、現在この屋敷の料理長はウサギ亭の料理人の弟子ってわけだ。」
「そうね、正確には息子よ。疑問も解けたところで食べましょ?」
「「いただきます」」
カタリーナさんは二人が同時にした食事の挨拶に驚いているが、特に何も聞かずに食べ始めた。スープを飲んでみたが、確かに似ている……ほぼ同じ味だろう。素材はもしかしたらこちらの方が上なのかもしれないが……そうなるとウサギ亭の料理人の腕はすごいな
「アル君、昼食が終わったら今日はどうするの?さっきも言ったけどぜひ泊まっていってほしいわ」
「そうですね、もともと買い物をしようかと思っていたので、少し出かけたいですね。もちろんこちらに戻ってきますよ?あと、リリーと少し話したいのでどこかお部屋をお借りできればうれしいです。」
「私の部屋でいいわよ?客室の準備も少しかかるだろうし」
「リリーちゃん、部屋でおかしなことしちゃだめよ?するなら周りに聞こえないようにね?」
「なっ、お母様?そんなことしません!」
リリーの部屋か、少し楽しみだな。よく考えたら地球のいた時も含めて女性の部屋に入った記憶がないな……昼食を食べ終わったとき、カタリーナさんに食事の食べ方を褒められた。もう少し練習すれば貴族として十分通用するそうだ。貴族になるつもりはないのだが……そうも言ってられないのか?食事も終わったのでリリーの部屋に案内してもらった。
「ここが私の部屋よ、ほぼ帰らないから何もないわ。ちょっと服が置いてある程度ね」
確かに簡単な家具とベッドが置いてあるだけだ。本棚もあるが中身は何もない。でもわずかにリリーの匂いがする。気のせいか?
「リリーらしい部屋だと思うよ、リリーがここで暮らしてもあまり変わらないだろ?」
「そうかも、あまり物を置いたことはないかもしれないわね。ところで何か話があるみたいだけど何?」
「さっきの話ではいくつか言ってないことがあるんだよ、それをリリーに伝えようと思ってね。何か書く紙はある?」
最初に《ルーム》を発動した。リリーが気が付いた様子はない。問題はなさそうなので、【解析】の話からだ。リリーは机の中から何枚かの紙を出して渡してくれた。藁半紙のような紙だ。紙の技術はあるんだな、でもかなり分厚いから大量生産は出来ていないのであろう。
「実はリリーが貴族の娘だってことは最初に会った時からわかっていたんだ。それが分かるスキルを俺が持ってるからね」
「えっ?【人物鑑定】のスキルを持っているの?」
「いや、【人物鑑定】のスキルは無いよ、【解析】っていうスキルなんだ。効果はねすべての物、人、魔物を問わず詳細な鑑定ができるんだ。」
リリーは驚いて固まっている。そりゃそうか、【人物鑑定】だけでも珍しいのに、【鑑定】もできるって代物だからね。
「それは他人に知られると本当にまずい情報ね、ここで話しても大丈夫なの?もしかしたら伯父様の間者が近くにいるかもしれないわよ?」
「それは、心配ないよ。後で話すけど外に音が漏れることはないから」
「………そうなのね、ちょっと気になるけど続きを話して」
まずは【解析】で出来ることを話した。どんな風に見えるのか、名前や所属はもちろんレベルやステータスが数値化して見える事、魔法やスキル、装備が確認できることなど……
「なんだか想像もつかないわね、それにレベル?ステータス?よくわからないわ」
「確かにそうかもしれないね、訓練してたり魔物を倒したりすると強くなったとか、早く動けるようになってって感じたことはない?」
「もちろんあるわよ、訓練や実践を経験しているんだから当たり前じゃない?」
「そうだね、それを数値として見れるのがレベルとステータスだよ。要は感覚的な強さじゃなくて視覚的に強さが分かるようになるんだ。」
リリーはいまいち理解が及ばないようで唸っている。そこで先ほど渡された紙に【解析】結果を出せないか試してみる。要領としては見た情報をそのまま印刷するイメージだ。スキャンしてプリント、地球では普通に機械を使ってやれることだが……紙に転写する場合はどんなイメージだろうか?インクが紙に出てそれを乾かす?コーティングする?こんなイメージで後は管理者任せでやってみよう。
『スキル【転写】を取得しました。』
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