第16話 初めてのダンジョン2
リリーと一緒にダンジョンにやってきた。初めてのダンジョンだ。何が起こるかわからないが年甲斐もなくワクワクしている。周りを見回しても大きな建物が存在するだけだ。これがダンジョン?
「思ったより早く着けたわね。少し疲労は感じるけど、このくらいなら歩いてるうちに回復するわ。早速行くわよ」
「うーすっ」
建物の前まで行き衛兵にギルド証を見せた。
「よし、いいぞ!気を付けてな」
リリーが建物の扉を開けて入っていくのでそれについていく。ん?この中にダンジョンがあるのか?
「リリーさんや、これは何処に向かっているのでしょう?」
「何言っての?ダンジョンに決まってるじゃない」
「はて?建物の中にダンジョンがあるの?」
「そうね、ダンジョンの上に建物が建ってるのよ、1階は冒険者ギルドの支部よ。そしてこの扉の先が……」
リリーは勢いよく扉を開けた。あ、壊れた。職員が駆けつけてリリーに向かって怒り散らしている。リリーはペコペコと頭をさげて謝っていた。
「なにしてるんだか……」
「はぁ、あんなに脆いとは思わなかったわ」
そういう問題か?気を取り直して中に入ってみると井戸のようなものがある。上から縄梯子が掛かっていて下に降りれそうだ。
「これがダンジョンの入り口よ、まぁ実際は井戸の底がダンジョンの入り口になってるんだけどね」
ほーん、井戸の中にダンジョンが出来てその上に管理用の建物を建てたわけね、管理はしやすいわな、リリーは縄梯子を降りて行ったので俺も降りてみる。井戸の底とは思えない空間が広がっており、奥に続いている穴がある。穴の傍には水晶のような石柱がうっすらと光っており、「一階」と刻印されていた。
「これに触ってね、そうすれば別の階にある同じような石柱から一瞬で戻ってこれるようになるの、それにだいたい2~3階おきにこの石柱があって、触っておくと自分の触った事がある石柱までここから移動できるわ」
ほう、セーブ&転移システムかかなり高度な技術だと推測される。
「国の研究所が解析してるようだけど、原理とか全然わかんないらしいわよ」
「へぇ、まぁ利用できるものは便利に使わないと損だね、難しいことは学者先生にお任せするに限る」
【解析】したら何かわかりそうな気もするが今はやめとこ、稼ぎが安定してからだな……とりあえず金欠の俺は稼がにゃならん。石柱に触れてから穴に向かって歩き出す。
「一階はスライムしか出ないから無視ね、邪魔な奴は倒すけど、蹴っ飛ばせばどっか行くから。それじゃ走るわよ!」
姐さん走るの好きっすね、体力がつくだろうから否定はせんけど
「うーすっ」
走り出したリリーについていく。時折スライムを蹴っ飛ばしてるようだが、ペースが落ちることはなかった。スライムたちも哀れやのぅ。20分くらいだろうか、グネグネと道を何回か曲がったところでリリーは止まった。
「ここが2階に降りる階段よ、2階はゴブリンが出るわ。雑魚だけど見つけたら殺していくわよ、魔石と
でしょうねぇ、
「全力で走ると倒せないから軽く走る感じで行くわよ」
「うーすっ」
俺さっきから「うーすっ」しか言ってなくね?まぁ今回は初めてだしリリーについて行くのが正解だろう。階段を下りて2階に着いたが1階と様子は変わらなかった。リリーは俺の方を向いて頷くと走り出した。しばらく走っていると気配察知に何かが引っかかった。ゴブリンだろう。リリーは走るスピードを緩めて話しかけてきた。
「この階はさっきも言ったけどゴブリンがいるわ。だいたい二匹か三匹くらいで群れてるから油断しないようにね、近くにいるから行くわよ」
「わかった」
角を曲がると二匹のゴブリンがいた。
「左をお願い」
「了解」
ゴブリンがこちらに気付く前に、【解析】
名前:
種族:ゴブリン(雄)
ランク:E
レベル:5
ステータス
STR:60
VIT:30
INT:10
DEX:50
AGI:30
LUK:10
魔法:なし
スキル:なし
弱いな……からの!不意打ちでゴブリンの首に剣で薙ぎ払った。すると黒いモヤに包まれてそれが消えると魔石が落ちていた。
「死体の処理をしなくて良いのは楽で良いな」
「そうね、でも食べれる部分の多い魔物を倒しても一定の量しかドロップしないから勿体ないとも思うわ」
「確かにそうかもな、でもダンジョンだからある程度時間を置くとまた出現してるんだろ?」
「まあそうね、無くなることない肉倉庫と思えば悪くないかもね」
姐さんや肉倉庫はなくないか?事実そうだとしてもお嬢様の言葉ではないぞ……走ったり倒したりを何回か繰り返していると腰蓑がドロップした。【解析】だけはしておく
〔ゴブリンの腰蓑:ゴブリンが着けている腰蓑、強烈に臭い。〕
はい、放置決定!リリーの言った通りで放置一択だ。金にもならんし役にもたちそうにもない、研究すれば何かわかるかもしれないが、別の研究した方がよっぽど有意義だろう。
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