〜第7話〜 水の矢
魔法を飛ばす練習を始めて1週間が過ぎた。魔法を飛ばすのはただ作るより魔力を消費するようでいつもより早く魔力切れを起こしていた。
1週間で飛ばせれる距離は約3m。歩幅で測っているので正確ではないがな。飛ばせと言われたのは10m。このままではかなり時間がかかってしまう。何かコツはないのだろうか。
待てよ…?俺が作ってるのは剣だ、剣は飛ぶようにはできていない。そしてけっつんが言ったのは水の魔法を飛ばすこと、水の剣を飛ばすことではない。つまりもっと飛びやすいもの、そうだな…矢でも作ってみるか。
そう思い水の矢を作る。剣より形が複雑で少し手間取ったが綺麗な矢ができた。そして飛ばす。水の矢を平行に飛ばしたが徐々に落ちてそのまま落下。距離を歩幅で測る。大体7mほど。
よし!やっぱりそうだ!魔法の世界と言えど空気抵抗や重力がないわけじゃない。だから飛ぶことに特化した矢は当然剣より飛ぶ。
だが同時に1つ問題点ができた。それは狙った所に飛ばなかった事だ。まっすぐ飛ぶのではなく少し右側に逸れていた。原因は分からない。矢の形が下手だった可能性もあるが、そうだとしてもいちいち確認なんてしてたら戦闘では使えない。やっぱ空気抵抗が原因かな…あ、そういえば矢って羽によって回転する事で安定して飛ぶんだっけか。じゃあ回せばいいのか、ってそもそも回せるのかな。
そう思い、水の矢を作り回転させてみる。ゆっくりだが回った。なるほど、これなら少し練習すればできそうだ。ただ魔法を飛ばすだけでも色々工夫が必要なんだな。魔法だから万能!ってわけでもなさそうだ。
その日は1日回転させる練習をした。
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〜次の日〜
昨日で大分早く回転させれるようになった。さっそく回転を試してみる。水の矢を作るスピードも大分早くなってきた。ちゃんと成長してるんだな俺。
水の矢を回転させる。矢はその場でドリルのように回転する。そのまま発射、水の矢はまっすぐ飛んだ。よし、成功だ!ん?距離伸びたか…?測ってみると約8m。1m増えてた。やったぜ
さて、あと2mか、今日は色々試してみたい。まずは大きさを変えてみる。いつもより大きめにして飛ばしてみる。明らかに距離落ちたな。次は小さめにしてみる。この小ささじゃ当たっても大したダメージを与えられなさそうだな…とりあえず飛ばしてみるか。結果は結構飛んだ。だがこれで10m飛んでもなー感があったので却下。やはり一般的なサイズの矢が一番いいようだ。
次はスピードを変えれるかの実験。秒速1cmのとんでもなく遅い矢をイメージをし飛ばす。え、飛んでる…?へえ、これは無理だと思っていたがどうやらいけるらしい。空気抵抗の影響とかはどうなってるんだろう。そして矢はゆっくり飛んでいき、6m辺りで落ちた。落ちる時もゆっくり、不思議なもんだ。少し距離は落ちてるがこれは使えそうだ。回転をもっとかければ威力も問題ないだろう。まさにスローモーションで飛んでいるようだった。これはおもしろい事を知った。
次はスピードを速めて飛ばす。想像したほど速くは飛ばなかったがいつもよりは速く飛んだ。おそらく練習すれば速く飛ぶようになるだろう。なぜか根拠はないが感覚で分かった。これも少しだが遠くへ飛んだ気がした。
なるほど大体わかってきた。後は肝心の10m飛ばす方法だがこれは策がある。策というには簡単すぎるか、ほんとなんで今まで気づかなかったんだろう。
まずは手のひらから水の矢を作り出し、回転させる。そしてそのまま発射、はせずに斜め上に向ける。そう、単純な話で平行より斜めの方が遠くへ飛ぶはずなのだ。そして最大限速くし、発射。よし!間違いなく今までで最長記録だ!歩幅を使い測る。約11m。ついにやったぞ俺は。
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けっつんはまたあの時と同じように倒木に腰掛けて腕を組んでいる。俺の10m先には棒で引かれた線があった。
「じゃあ見といてよ」
手のひらを突き出し水の矢を作る、丁寧に形に気をつけて。そして回転をかけ、斜め上に向ける。速度を最大にし発射。よしいい感じだ。矢は線を軽々飛び越え少し奥に刺さって水に戻る。
「どう!?回転かけたり、斜めにしたり小細工は使ったけど十分でしょ!?」
「ああ、正直驚いたよ。あと2週間はかかると思ってた。剣のままじゃダメなことは気づくと思ったがまさか回転をかけるとはな。想像の上いきやがった」
珍しく褒められた。なんか照れるな…
「よし!これだけできればスライムどころかゴブリンも倒せるだろ!さっそく倒しに行くか?」
「ああ!行こう!」
とりあえずは認められたがまだまだ実践では使えない。時間を見つけて修行は続けよう。水以外の属性も使えるようになりたいしな。
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