〜第34話〜 ウッドデビル
話し合いの結果、2手に分かれることにした。
ミクシアさんとイルダはギルドへの報告。
俺とけっつんはこの辺りの探索だ。
2人を何が起こるか分からないワープホールに入ってもらうのは怖いが、まあ大丈夫だろう。
2人には帰った後は俺たちとは別のルートである街を目指してもらう。
目指す街はこの世界で1番大きい街、バトフィード。
俺が前から気になっている謎の地図が示す場所もおそらくバトフィードだ。
なのでここからは別々でバトフィードを目指す。
俺たちの現在地があまりにもバトフィードと遠い場合はワープホールで戻り後ろから追う形となる。
2人がワープホールに入るのを見届ける。
何事もなければいいが…。
「よし、俺らも行くか」
「…ああ」
今度は森の大きさもわからないので2人で固まりひたすら1方向に突き進む。
ワープホールの近くに目印として土の棒を立てておくか。
土の棒の大きさは…木の2倍くらいかな。
少し前に実験した時は12時間ほどで壊れたから、ここに残り続けて邪魔になることはないだろう。
逆に言うと12時間しか探索する余地はないと言う事。
ここがどこか分からず、ワープホールの場所も見失ってしまえば詰みだ。
それらを気にしつつ探索開始だ。
進む方向は…見てから決めるか。
少し離れたところにもう1本、土の棒をたてる。
今度は俺が上に乗っているが。
さて…この森の大きさは…と。
わお!
この森果てしなく大きいね!
地平線まで続いてらぁ。
あ、いやこっちは終わりが見える。
他は終わりが全く見えない。
よし、進む方向は決まったな。
危ねえ、闇雲に進んでたら今度は俺たちが迷う所だった。
今度は俺が乗っている土の棒を少しずつ縮めていく。
魔法操作はもうお手のものだ。
作るのも削るのも大体イメージ通りにできるようになってきた。
これも毎日の練習の成果だ。
「見えたかー?」
「ああ、右に進むとそのうち出られる」
「そうと決まればすぐ行動だ。日が暮れる前に抜けてしまおう」
警戒しつつ森を進む。
ここはさっきの森と違い、モンスターも強い。
とは言っても、けっつんの索敵能力があればあまり不安ではない。
警戒を怠るわけではないが気が楽だ。
「ん、モンスターだ。」
そう言ってけっつんと同じ方向を見る。
…だがそこには何もない。
「ウッドデビルだ」
ウッドデビル。
森によく生息し、見た目が木とほぼ変わらない事からウッドデビルと呼ばれる。
見た目の違いと言えば枝が少ないのと、生え方が規則正しい事くらいか。
とは言っても意識して見ないと分からないくらいの違いである。
獲物が近づいてきたら隠していた顔が姿を現し、根っこと枝を自在に動かして敵を襲う。
面と向かって戦うならそこまで強くはないものの、その見つけにくさからBランクとされている。
さて、見た感じウッドデビルは…
あいつかな?
ん?
こいつもか?
あれ?
こいつも…
「もしかして…」
「ざっと15体だな」
「多すぎんだろ!」
そう叫ぶとともに戦闘体制へと移行。
俺は一歩下がり、けっつんは剣を抜いた。
するとそれに呼応するようにウッドデビル達もその凶悪な顔を現した。
「周りに敵は!?」
「いない!こいつらだけに集中しろ!」
ここは森だ。火魔法は使えない。
水魔法は相性が悪いだろう。
風邪魔法を使うか?
いや、けっつんも巻き沿いになるかもしれない。
毒は倒すまで時間かかるし…
土魔法はこの量のモンスターを倒すのに時間も魔力も多く使ってしまう。
氷魔法も同様だ。
森はまだまだ続く。
なるべく魔力は温存はしておきたい。
いっそのことけっつんに任せてサポートに回るか?
いや、この数だ。
囲われたりしたらサポートもクソもない。
だーもう!
もういい!
じれったい!
「けっつん!俺の後ろに来い!一気に蹴散らす!」
「おうよ!やっちまえ!」
手に魔力を込める。
使うのは風邪魔法。
範囲はウッドデビルが全員当たるくらい大きくし、威力、スピードともに最大。
「いっけええええ!」
横に広がる白い真空波が手のひらの先から発射される。
ヒュンと空気を切りながらウッドデビルの元へ飛んでいく。
そのまま到達。
ウッドデビルはまるで野菜かのようにいとも簡単に真っ二つになる。
そしてウッドデビルだけでなく周りの木も真っ二つになる。
15体のウッドデビルを全て両断した真空波はそのうち威力が弱まり…
あれ?
弱まらない。
真空波はそのまま真っ直ぐに飛んでいき…。
遥か彼方へ…。
直線上の木が全て真っ二つになってしまった。
視界が開けたなぁ。
じゃなくて、
え?これまずくね?
環境破壊って言うレベルじゃねえぞ。
勇者の剣から出る斬撃をイメージして風魔法で代用してみたんだけどまさかこれほどとは。
「けっつん、これ…って…」
「……先を急ぐぞ」
見てみぬふりをした。
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