〜第10話〜 冒険者ギルド

2人で横並びになり大通りを歩いていた。すでに目の前にギルドが見えていた。途中で例の金髪専門店の横を通ったが夜しかやっていないため助かった。あそこのキャッチに捕まると逃げれる自信はない。


「近くで見るとまたでっけえーな」

「ギルドは大体どの街でもあるからな。この世界の職業は冒険者が主流やし」

「冒険者!なるんだよな!俺たちも!」

「俺は既に冒険者やから今日はお前だけや」「楽しみ〜」


久しぶりにテンションが上がってる気がする。いや昨日もこんなんだったか。昨日は良かったな〜はっ、いかんいかん、平常心。


ギルドのドアを開けると、これもまた想像通り。右手に受付があり、左手にはテーブルと椅子が複数置いてあった。そして酒を飲み大騒ぎする人たち、見る限り満席だ。


思った通りの見た目に俺は大興奮した。だがけっつんがいる手前少しクールに装っていた、鼻息は荒かったけど…だってテンション上がるもん…しょうがないもん…


受付のお姉さんの方へ向かう。


「すいませんー、冒険者の新規登録したいんですけど」

「新規登録ですね。お2人様でよろしいでしょうか?」

「いえ、僕は違います。こっちの方だけで」

「わかりました。ではこちらの椅子におかけください」


言われたままに座るが、けっつんは立ったまま。保護者に見えてきた


「それではこちらの紙に必要事項を書いてください」


渡されたのはA4くらいの紙。そこには名前や年齢、使える魔法などを書くスペースがあった。使えるのは水属性魔法と火属性魔法かな、雷や風は使えはするが水や火ほどじゃない。雷属性魔法は静電気くらいで、「痛っ」くらいしかダメージ与えられないし、風属性魔法は風を吹せられるくらいだ。スカートめくりにしか使えない。


その他諸々を書き提出。


「それではこの書類をもとに冒険者の証である冒険者カードを発行いたしますので少々お待ちください」


と言われたがすぐに発行してくれた。3分くらいだろうか。


「それではこちらに指印を押してください」


カードの右下の小さな四角の中に指印を押す。カードには名前やランク、歳などの個人情報が書いてあった。


「ありがとうございます。これでカードは完成です。ご利用方法はお聞きになりますか?」

「いやいりま…」

「いります!!」


けっつんが断ろうとした所をすかさず止める。けっつんが代わりに説明してくれるんだろうが正直頼りない。重要なものを忘れてたなんて言われたら殴ってしまいそうだ。


「それでは説明します。冒険者カードは冒険者としての情報が全て詰まっています。このカードを読み取るだけでどんな依頼を達成したかが分かります。なので依頼を受ける時と達成した時にカードを受付へ提出する必要があります。カードを失くした場合はまた一からになるので紛失には十分お気をつけください。ここまでで質問はありますか?」


とても分かりやすい、やはり聞いて正解だったな。もっともけっつんは後ろでつまらなさそうにしているが。


「いえ、大丈夫です」

「分かりました。それでは説明を続けますね。まずこのカードの内容は変更可能です。使える魔法が多くなったら受付へお越しいただければこちらで変更いたします。そして依頼を多く達成するにつれてランクが上がっていきます。次にギルド内での禁止事項を説明いたします。まずは依頼の代行はしないこと。1人で依頼を受け複数で取り組む、なども禁止されています。冒険者になる上で身分は問いませんが依頼を受けた状態で第三者に迷惑をかけてはいけません。依頼を受けてる間は冒険者として振る舞っていただきます。それ以外はこちらが関与する問題ではありません」


思った以上に長いな…そろそろ疲れてきた…けっつんは完全に飽きてしまい掲示板の方へ行ってしまっていた。


「お疲れのようですね、大まかなルールは説明いたしましたのでこれくらいにしましよう」


微笑みながら言う。なんて美しい笑顔だ…キレイだ…キレイじゃないよ、キレイだ…キレイじゃないよ、キレイだ…キレイじゃないよ…………キレイだ……


「細かいルールはカードのこちらの場所を2回触っていただくと読むことができます」


そういって指が刺されたところには本のようなマークが書いてあった。2回触ると読める?どういうこと?1回やってみるか


言われた所をダブルタップすると白色の文字が浮き出る。すげえ、どうやってるんだこれ。スマホはないのにこんな技術はあるのか、この世界の技術が日本より劣ってると考えるのは間違いかもしれないな。


「それでは聴視あきみ様のご活躍を期待しています」


ふぅ…説明が多くて疲れた…だがこれで俺も冒険者だ。スキップしながらけっつんの元へ向かう。けっつんは掲示板いっぱいに貼ってある依頼を見ていた。


依頼はランク毎に分かれていて、FランクからBランクまでがあった。Fランクは納品などでEランクでゴブリンなどの退治、Dランクでウルフの群れなどでCランクからは全く知らないモンスターの名前が書いてあり、Bランクにいたっては数枚しかなかった。


聴視あきみか、俺はこれから一稼ぎしてくるからお前は自由に過ごしとき」


依頼を受けるのか…そういえばけっつんが戦ってる所って見た事ないな。けっつんは強いんだろうな、なんせ勇者様だ。


「よし、俺もついて行く。けっつんの戦い方を見てみたい」

「んー、まあこれくらいならお前がいても大丈夫だろ」


そう言ってけっつんはBランクの依頼を手に取り受付へと向かった。

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