〜第11話〜 Bランク
「Bランクの依頼って簡単なのか?」
「簡単じゃあねえよ、俺以外ならな」
ドヤ顔で言ってくる、ムカつく
「俺がいても大丈夫なのか?見学くらいの気持ちで来たんだけど」
「構わんよ、俺にとっちゃあ雑魚も当然よ」
自信満々だな…でも確かに今までの行動を見ると相当な実力持っているだろう。
「今回倒すモンスターはなんなんだ?」
「ペタルクアンだ。地面を速く走れて空も飛べる。おまけに地面まで潜れるっちゅー移動力おばけ。群れてたら厄介やけど1匹なら余裕やろ」
なんか強そうだけど…余裕というけっつんの言葉を信じるか。
「よし、ここら辺にいるはず。俺から離れるなよ」
周りは草一つない荒野のような所だった。いつになく真剣な顔つき。あれ、なんかかっこいいかも…とはならんが普段とのギャップはあるな。
「聞こえる、どこからだ…?」
「聞こえる?何がだ?」
「しっ」
けっつんが周りを見渡す。
「上か?」
空を見る、だがいない。と同時に地面が揺れる。
「下か!」
地面から何かが這い出てきた。砂埃でよく見えない。と思ったらすぐに砂埃が散った、風魔法か?そしてその何かが姿を現す。龍のような長い頭に鋭い牙、四足歩行で爪が異様に尖っている。そして大きな翼。四足歩行のドラゴンか?いや、ドラゴンと言うには少しダサい、劣化版ドラゴンと名付けよう。
なんて悠長な事を考えているとペタルクアンが襲いかかってきた。空を飛び空中から爪でのひっかき、けっつんは背負っている勇者の剣を抜き受け流す。
そしてそのままその場で振り下ろす。すると白色の斬撃が飛ぶ、だがこれは躱された。
ペタルクアンは上空を飛び、俺たちの頭上からダイビングのように体をまっすぐにし、頭から突っ込んでくる。けっつんは俺の腕を持ち俺ごと大きく下がり躱す。ペタルクアンはそのまま地面へと潜っていった。
グラグラと振動する地面、くる…!背後で大きな音がした、振り返るとペタルクアンが突っ込んできていた、俺めがけて。俺が声を出そうとした時、後ろから斬撃が飛んできて、ペタルクアンに到達。ペタルクアンは避けたが左翼に当たり大きな傷が入った。これでもう飛べないだろう。
すかさず斬撃を飛ばして追撃、最初は躱していたが機動力を失ったせいか、かすり傷が増え、ついに身体へ直撃、ペタルクアンはバタリと倒れる。
「な?余裕だっただろ?」
確かに余裕だった。あれほど自信をもっていたのも頷ける。
「あの斬撃って制限とかないのか?」
「ないな、魔力も使わない。まあ斬撃が通じたのはこいつが雑魚だからやな、もっと強いやつやったら簡単にはあたらん」
いやそれでもチートだろ。さすがは勇者の剣ってわけか。こんなでかいやつが一瞬でって…あれ?消滅してない。と思ったその瞬間ペタルクアンと目が合う。見間違いなんかじゃない、ばっちり目が合った。そしてすぐさま翼が動き何かが飛んできた。
あ、やばい死ぬ…
反射的に目を閉じる、が何も起こらない。目を開けると目の前に土の壁がたっていた。
「あ、あぶねえ…まだ生きてやがったのかこいつ」
非常に焦ったけっつんの声。壁の横から覗き込むとけっつんがとどめを刺していた。消滅している、今度こそ死んだ。
「はぁ…完全に死んだかと思った」
「わりい、完全に慢心だ」
「いや、俺も油断していた」
モンスターは消滅するまで目を離さない。これは厳守しよう。
お金を回収して俺らはギルドへ帰った。
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〜次の日〜
俺は平原で寝転がっていた。どっと疲れた…俺はこの2.3週間で何回死にかけてるんだ…たまにはこうして休むのも大事だ。
気づいたら俺は寝ていた。
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〜1週間後〜
あれから俺はギルドで依頼を受けていた。依頼ランクの他に冒険者としての冒険者ランクがあり、Fから始まった。依頼は自分の冒険者ランクの1つ上までしか受けれない。つまり自分がFランクならEランクまでしか受けれないということだ。なので俺は納品やゴブリン退治などを中心に依頼を達成していた。そしてその結果Eランクに上がることができた。
そして重要なのはこっちだ。新しい魔法を使えるようになった。それは治癒魔法だ。土や雷、風などがそこそこ扱えるようになってきた後、試してみたら使えた。具体的なイメージとその魔法を使うための属性を覚えていると使えるようだ。とは言ってもかすり傷を治す程度だが。
もう少し練習したらけっつんにも見せてやろう。この世界の本を読み漁ったが治癒魔法はなかった。この世界に存在しない事はないだろうが、珍しいのかもしれない。これはきっと驚くぞ…
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〜3日後〜
「なんだよ用って?」
「いいから見とけよ」
俺は水の剣を作り横にある細い木を切る。木は簡単に切ることができ、そのまま横に倒れる。そして俺はその倒れた木を持ち上げる…持ち上げ…持ち……重すぎだろ。
結局けっつんに手伝ってもらい木を持ち上げた。そしてそのまま切り株と持ち上げた木の切断面をくっつけ、治癒魔法を使う。すると木はみるみるくっつき元の姿へと戻った。
「どう!?すごくない!?」
「すげえ!治癒魔法なんて使えたのか!!」
「ああ、実はな…練習してなんとかこのレベルまで使えるようになったんだ!」
「これは使えるな…よくやった!」
小さくガッツポーズをする、と同時に何かに引っ張られた。もの凄いスピードで景色が変わり、何も認識できない。やっと落ち着き、景色が見える。目の前にはけっつんがいて、その奥に剣を振り切ったままのポーズの謎の人影が見えた。人間の形をしているが肌は紫色で角らしきものが生えていた。
「勇者はどっちだ?」
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