〜第38話〜 トーナメント
「さて、次に向かうのは討伐隊本部だ。連れ回してすまないな」
「いや、全然いいんだ。顔を合わせるのは早い方がいいしな」
「てかさ、何でお前タメ口なんだ?年下だろ?」
「あ、確かに。なんか同じ日本人って思ったら親近感湧いて…」
けっつんに問われ、ふと振り返ると確かになんでタメ口なんだろう。
「私は構わないよ。逆にそっちのが嬉しいくらいさ」
「お言葉に甘えよーっと」
「まぁ…許可が出たならいいか」
「けっつん君もぜひタメ口でよろしく頼む!」
「慣れてきたらで」
俺たちは移動を開始した。
着いたのは歩いて5分ほどたってからだった。
バトフィードの地図を見たら大分近そうに見えたが思ったよりも遠かった。
流石1番大きい街。
距離感がバグるほどに大きい。
討伐隊本部はこの街の中心にある巨大な城のすぐそばにあり、城と比べると小さく見えるが十二分に大きい。
おそらく今まで街で見てきたギルドのどれよりも大きいだろう。
討伐隊本部に入った後はさっきと同じようにひたすらりゅうとの後ろについていく。
りゅうとが歩いているとかなりの数の人が話しかけてきていて、しかも腰が低い。
りゅうとはなにやら偉い人そうだった。
本人に聞くと「まあそれなりに高い位にはいるよ」と言っていた。
やっぱタメ口やめた方がいいかも…。
見るからにお偉いさんがいるであろう部屋の前に着いた。
なんか他の扉と違くて装飾がすごい。
なんて言えばいいんだろう。
うん、なんかすごい。
りゅうとが3回ノックをして入りますと一声かける。
中からはどうぞと声が返ってきて、扉を開ける。
すると社長室のような椅子に座ってる人が…いない。
代わりに客を迎える用のソファに座っている人がいた。
「ジョイコブさんは用事がありましてね、申し訳ありませんが私が対応させていただきます」
「ヒューゴさん。彼らも我々と同じですよ」
「…ではジョイコブさんの事も?」
「はい、知ってますよ」
「え、りゅうと。この人もそうなのか?」
思わず口を挟んでしまった。
「ああ、転生者さ」
「それにさっきジョイコブさんって…」
「あれ、言ってなかったけ。ジョイコブさんは討伐隊の隊長だよ」
ええ…
転生者が集まる集会所でもトップっぽかったし討伐隊本部でもトップなのかよ。
めちゃめちゃ凄い人じゃねえか。
1日で転生者めっちゃ見るし、なんか珍しくなくなってきたぞ。
なんか今日の情報量多過ぎてパンクしてきそうだ…。
ああ、寝たい。
「お二方。お疲れのようですね。自己紹介だけ済ませたら今日のところは終わりとしましょう。どうぞ、こちらへ」
ヒューゴはそう言って向かいのソファに座るよう促す。
俺たちは言われるがまま座る。
「私の名前はヒューゴ。いちよう副隊長をやらせてもらってます。隊長のジョイコブさんの補佐的な役割ですね。生まれはロシアです」
やっばりこの人も偉い人か。
偉い人が転生者ばっかだけど大丈夫かこの世界は。
なんか本来の形から大分ずれてしまっている気がするが。
「名前は
「けっつんと申します。生まれは日本、勇者です」
「あなたが…。勇者様のお力をどうかお貸しください」
「はい。任せてください」
「ありがとうございます…。お二方、なにかお困りの事があればいつでもいらしてください」
「頼らせいただきます」
そこで解散となった。
俺たちは宿屋に帰り休むことにした。
そして夜が明けた…!
「ん、ん〜!」
そう言うって伸びをするけっつんの姿。
俺は肉を焼き、かぶりつく。
朝からの罪悪めし。
たまらん。
そうやってのんびり過ごしているとドアがバン!と勢いよく開く。
「2人とも!」
そこには金髪のイケメン日本人がいた。
なんかデジャヴだ。
「おーりゅうと、どうした?」
「今日の討伐隊のトーナメント!1試合目から見に行くよ!スレイヤーさんも出るし」
「あぁ。そうだったな。そんで1試合目って何時からなんだ?」
「5分後だ。歩いてたら間に合わないな」
「…早く言えよ!」
俺たちは会場まで走った。
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会場は予想通りのもので真ん中にフィールドがあり、周りを観客席で囲うという形だった。
朝早いというのに観客席はほぼ埋まっており、俺たちは後ろの方に座った。
フィールドの真ん中に立つ人はマイクのような物を持ち、声をスタジアム中に響かせていた。
おそらく転生者による技術だろう。
マイクを持った実況者らしき人はひたすらに観客を煽り、場を盛り上げている。
「トーナメントは個人戦とチーム戦の2つに分かれているんだ。チーム戦は今日終わり、2人が出るのは明日と明後日の個人戦だ」
その間にりゅうとが説明をしてくれた。
「ちなみスレイヤーさんが出るのはチーム戦のエキシビションマッチ。このトーナメントの優勝チームとスレイヤーさんが戦うんだ。チームは3人だから3vs1だね。まあそれでも負けたことはないんだけど…。あ、強すぎるから個人戦は出場が禁止されてるんだ」
「はは、無敵だな」
「陣形を組んだり入念に打ち合わせをして連携をとっても全部躱されて1人ずつ気絶させられるんだ。本当にどうしたらいいんだろうね…」
「はは、気合いでやるしかないな」
「いや
「無理だろ」
「そんなもんやってみねえとわか…」
『うぉぉぉぉ!!!!』
『わぁぁぁぁ!!!!』
『ふぅぅぅぅ!!!!』
「お、始まったみたいだね」
けっつんがなんとも言えない顔をしていた。
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