〜第3話〜 人攫い
1本道をけっつんと横並びで歩く。よく見ると身長高いな…タオルで見えなかったけど髪長えし…しかもキッシキシ…って、え!?腕毛濃!!なんだこれ…あ、でも指長え。しかも爪綺麗だ。なんかな…身なり整えればもっとイケメンになるだろうに。もったいない
「なに見てんだ?」
「いや、もったいないなって思って」
「あ?まるで俺が素材を生かしきれてないような言い方やん」
「だからそう言ってるんだよ」
そんな事を話していたら街が見えてきた。正直俺はけっつんがあまり好きではない。だって第1印象最悪だったし、口は悪いし、清潔感ないし。この世界について学べばこの男からは離れるだろう。
「そういえばけっつんはどうやってこの世界に来たの?」
「あー、まあ後で話すわ。長くなるから」
「わかった」
街がすぐ近くに見えた。木でできた柵で囲われていて門らしき場所に門番が立っていた。
「2人。荷物はこれだけだ。」
そう言ってズボンからお金らしき硬貨をだし見せる。
「ふむ。よかろう。入れ」
軽く会釈をし中に入る。街の中は都会…とは言えないが一軒家がかなりの高密度で集まっていた。こっちに来て初めて見る人工物に俺は感動を隠しきれなかった。
「うっ、やっぱりきたか…わりいちょっと待っててくれ」
けっつんはそう言うと早足でどこかへ消えていった。なんだろう…少し前屈みになっていたが、それにやっぱりってどういうことだ…まあ帰ってきたら聞こう。
門の正面は大通りになっていて一番奥に一際大きな建物が見えた。だが大通り以外の道はぐちゃぐちゃで地図がなければ迷ってしまいそうだ。
冒険者の格好をした人々が歩いていた。剣や盾を持っている者、ローブを着た物、斧を持っている者、etc…
そこにはゲームでよく見た世界が広がっていた。建物を見ると、道具屋、服屋、飲食店などなど。
「すげえ……」
気づけば俺の足は動き出していた。
大通りを通っていると何やらいい匂い。とても香ばしい匂いだ。俺の腹はぎゅるぎゅると音を鳴らす。匂いのする方へ足を進める。
だんだんひとけがなくなっていたが、俺は気づかない。ひたすら匂いのする方へ歩くだけだ。
俺が気づいた時にはもう遅い。周りには人は1人もいない。建物の数も少なかった。
「どこだここ?」
そう思い周りを見渡そうとした瞬間、後頭部に衝撃が走る。俺はすぐに気を失った。
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「ふう〜すっきりした〜」
意気揚々と歩く1人の男。
「あれ?あいつどこ行ったんだ。…ん?この匂い…。はぁ、まずいな」
そう言うと男は気だるそうに歩き出した。
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ん…?揺れてる…。いや運ばれてるのか?前が見えない。目隠しされてるのか。手と足も縛られてるな。身動き1つとれない。なんか災難ばっかだな俺…って自業自得か。
そして降ろされる。いって、けつ打ったぞ。丁寧に運びやがれこのやろう。
「よし…これだけ集まれば相当な金になるだろ」
「ああ、大収穫だぜ」
「おい、キンキシはどうした?」
「後1人攫ってくるってよ」
「わかった。キンキシが戻り次第出発するぞ」
「りょーかい」
声を聞くにおそらく4人ほどの男の集団だな。要は人攫いだ。俺みたいな何も知らないやつを匂いで誘き出して攫っているのだろう。こんな分かりやすい罠にまんまと引っかかるとは情けねえな…
にしても人を売って金儲け?闇バイトか?いや法律ないんだっけか。じゃあ奴隷だろうな。ああ、巨乳で美人な人に買われたい。いや逆に金出すから飼って欲しい。
「う、うわぁぁぁ!!」
「誰だ!?ぐわっ!」
叫び声!?何が起きてるんだ?
「や、やめてくれええ!」
「まて!話し合おう!!話し合えばわか…うっ!」
ちょうど4人。倒れる音がした。救ってくれたのか…?誰だ?何のために?
目隠しが解かれる。
「何してんだおめーは」
「けっつん…はは、助けられてばっかだな」
「弱っちいからなおめえ。そうだ、後で剣を教えてやるよ」
「それは是非ともお願いしたい」
手と足の縄も解いてもらう。その後けっつんは他の縛られてる人も解放していた。
「お、君かわいーね。この後お茶でもしばこやー」
「やめろみっともねえ」
けっつんの頭を叩く。
「なんでや!助けたんだからそんぐらい良いじゃねえか!」
「はいはい、これ以上株が下がらないうちにお口にチャックな」
「助けてもらった分際で何ほざいてんだ!」
「おー怖い怖い」
この男、口は悪いし下品だしうるさい…けど悪いやつではなさそうだな…剣を教えてくれるらしいし、しばらくこいつのそばにいてもいいかもな…
「そういえば急にどっか行った時何してたんだ?」
「ん?ああ、うんこ。俺腹痛因子星3だから。とと、そんな話するからまた痛くなってきたわ…」
大変な旅になりそうだ…
「そうだ…お前名前は?」
「ん?ああそういや名前言ってなかったっけか。俺は
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