〜第24話〜 魔法の基本
俺たちは街を出た。
目指すはけっつんが助けられたおばさんの家。
距離はかなりあるらしく幾つかの街に寄りながら進むらしい。
その際には馬車を使うので暇な時間が多い。
俺はその時間を主に魔法の練習に割くことにした。
城から脱出する時に土魔法を使って兵士達を妨害しようとしたが簡単に突破された。
もっと色々妨害の仕方はあったはずだが咄嗟に思いつかなかった。
だから普段から色々な魔法を練習しておく事にした。
俺が使い慣れてるのは水だけだからな。
それから魔法を相殺できる事も知った。
おそらく相性もあり、火には水、水には雷と言った感じでゲームでよくやったやつだろう。
なので相手によって使う魔法を変えていく意識も必要だ。
そんな事を考えつつ馬車で魔法の練習をしているとなぜかイルダとミクシアさんの視線を感じた。
なんだろう…
え?俺なんか変なことしてるのかな?
なんか恥ずかしくなってきた。
「あっ」
魔法のコントロールをミスり、馬を操縦していたけっつんの後頭部に思い切り泥を放出。
謝ったのにけっつんにガミガミ言われた。
こっちが100%悪いが少しムカついたので、
こっそりけっつんの服を湿らせておいた。
せいぜい気持ち悪く感じるんだな。
そんな感じで過ごしていると次の街に着いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
街に着いた後、まず宿屋に行き2部屋確保。
部屋に集まりとりあえずの作戦会議。
ここの街は馬車が少ないらしくとんでもないほどのゴールドが必要と言われた。
なのでこの街でやる事は主に金稼ぎ。
だが依頼を受ければそれなりに稼げるのでここに長居する事はなさそうだ。
クエストには常に2人で行うことにした。
全員が暇なわけではないし、
この街でもクエストはBランクまでしかない。3人は余分な気がするので2人。
今日は俺とミクシアさんでクエストを受けることにした。
ミクシアさんがついているとはいえ油断は禁物、常に警戒していこう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「討伐を確認しました。お疲れ様です」
あっさり終わった。
ていうか俺なんもしてない。
「この後時間ありますか?」
呆けながら歩いているとミクシアさんに声をかけられた。
「ありますけど…どうしました?」
「寄りたい場所があるので付き合っていただけますか?」
「ちょうどいいです、僕も話したい事があったので」
「わかりました。では行きましょう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いい雰囲気ですね」
「はい。そうですね」
何やら可愛らしいカフェ的な場所に来ていた。
「これが飲みたかったんですよ〜」と言いながら可愛く盛り付けられたジュースを美味しそうに飲んでいた。
この世界のジュースは日本と同じで果実を絞った時に出る果汁で出来ているが、日本のジュースに比べると美味しくはない。
だがそれはジュースに限らず食べ物全般に言える事だ。
なくなって分かる大切さ、食というのはここまで大事なのかと再認識した。
「それでミクシアさん。話というのは?」
「
「ああ、はい。僕から先に話してもいいですか?」
「どうぞ」
「えっと、その…敬語をやめて欲しくて…」
「それは…なぜでしょうか?」
「実力がミクシアさんの方が上だからです。それにこの世界についても色々教えてくれましたし、勝手ですが師匠だと思ってるんです」
「そんな…大それたものではないですよ…
この前も捕まってしまったし…」
「いえ、ミクシアさんには本当に感謝しているんです。何も分からない僕たちを良くしてくれて」
「でも、そんな…」
「敬語を使われるとこそばゆいんです。お願いします」
「わ、分かりました…」
「じゃなくて?」
「…わかった」
「うん、やっぱりこっちの方が良いです!」
「そうですか…あっ、そっか。慣れるまでは難しいね」
少し照れくさそうにしながらそう言った。
かわいすぎて心臓が持ちません。
「
「はい、ミクシアさんは僕の先生ですから」
「ふふっ、そっか」
「それで…ミクシアさんが話したい事ってなんですか?」
「ああ、それね…」
俯いて黙ってしまった。
え、聞いちゃまずかったのか?
自分のタイミングで言いたかったのかな…
「えっとね、その……場所変えていい?」
「はい、分かりました」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
着いたのは大きな一本杉の下。
まあスギかは分からないが。
さっきと違って誰もいない静かな空間。
うんこれ真面目な話だね。
「あの、
「謝る事ですか…?」
「うん、あの魔法について教えた時があったでしょ?その時に魔法の基本は火、水、木、雷、土の5つだって話をしたよね?」
「はい、覚えてます」
「嘘なの、それ」
「え?嘘?どういうことですか…?」
「魔法の基本は4つなの。火、水、木、土。
雷魔法は普通の人には使えない」
「え、でも僕使えますよ?」
「そう、だからあなたは特別。私は雷魔法なんて使えない」
「…なんでそんな嘘を?」
「妬ましかったからです」
「妬ましい?なんで?」
「だって…
「そうなんですか…。でもそれを話してくれたと言うことは…?」
「うん。自分の中でこの気持ちにちゃんと向き合ったよ。今ではちゃんと認めてる。
それどころか逆に負けてたまるか!って思ってるの!成長でしょ?」
「それでは僕の事を嫌いってことではないですか…?」
「当たり前でしょ!私も感謝してるよ」
「よかった…。あの後で雷魔法について色々聞いていいですか?」
「もちろん!私に答えられる事はなんでも聞いてね!」
「ありがとうございます」
「はぁー、ずっと引っかかってたからなんかすごいすっきりした!」
確かに前より活発系になった気がする。
いや、これが本当のミクシアさんなのかな。
素を出してもらえてると思うと嬉しいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。