〜第15話〜 ミクシア

俺たちのパーティーにミクシアが加わった。

別の目的でパーティに入れたため、戦闘はそこまで期待していなかったのだが、予想と反してめちゃめちゃ強かった。俺が自信なくなるレベルで…多分ペタルクアンを1人でも倒せるだろう。つまりめちゃめちゃ強い。


なので約束通り魔法を教えてもらう事になった。教えてもらうのは主に新しい属性と実践での使い方についてだ。


新しい属性について

教えてもらったのは新しい属性というかこの世界の魔法の常識的な事を教えてもらった。俺とけっつんがこの世界に詳しくないのはけっつんは記憶喪失、俺は親がいないということにしておいた。


それで教えてもらった事だが、まず魔法は火、水、雷、風、土の5つが基本であるということ。氷やその他はこの5つを混ぜたり割合を調整して作るらしい。氷はたまたま作る事ができたが本来は深い知識がいるらしい。まあ氷は学校で色々学んだからな。


今俺が使えるのは火、水、雷、風、土、氷の6つだがミクシアから木、闇、光、毒がある事を教えてもらった。使おうとしたがどれも使えなかった。なのでこれからは座学の時間を作ろうと思う。毒とか使えたら最強だし。


光属性については勇者っぽかったのでけっつんに聞いてみたが、使えないらしい。何か他に勇者限定の力があるかと聞いてみると特になくて、それこそ勇者の剣だけだと言っていた。ド◯クエとは違うらしい。


後は杖について。この世界では魔法を使う時杖を使うのが普通らしい。消費魔力だったり魔法の威力をあげたりと色々便利だと言っていた。だがミクシアさんの杖を借りて魔法を使ってみたが特に効果は感じられなかった。なので今まで通り杖は持たないことにした。俺的には杖は邪魔だし接近戦ができなくなるのでありがたい話だ。


とにかくこれで剣の師匠と魔術師の師匠ができた。後は魔王の刺客が来ない事を祈るだけだ。


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1週間後

けっつんに模擬戦で勝つことができた。まぐれだけど。


さらに2日後

木属性魔法が使えるようになった。


それから3日後

毒属性魔法が使えるようになった。


〜合計で2週間後〜


剣術も魔法もかなり上達してきた。やはり師匠がいるのは良いものだ。でもその師匠は2人ともタイプが違う。けっつんは何というか本能型、全部感覚でやってるタイプ。でも言語化が上手いのでこっちもなんとなく分かる。


ミクシアは逆で、やる事全てを言葉で説明できてしまうほど理解が出来ている。魔法の存在自体感覚で把握していた俺にはとても分かりやすい。


だがまだ剣術も魔術も2人には及ばない。2人を足して2で割ったのが俺という感じだ。


冒険者ランクもCランクに上がった。でもBランクの依頼を1人で受けるのは怖い。Bランクはもう少し強くなってからだ。


Cランク以上の依頼を受ける時はけっつんかミクシアがついてきてくれる。そのおかげでミクシアとは大分打ち解ける事ができた。彼女は20歳になったばかりなのにこの世界のあちこちを旅して、困っている人を助けたりしているらしい。いわゆるエリートというやつだ。だからこんなに強いのかと言ったら私なんかまだまだと言われた。実力はあるのに謙虚、顔も整っているし、ローブで隠れているが実は胸も大きい。なんて完璧な女性なのだろうか。けっつんがアタックしている姿を見ると心が痛む。こんな完璧な女性がけっつんなんかに振り向いてくれるわけがないのに…


とまあミクシアが来てからはこんな感じだ。あ、いやもう1つだけあったな。それはこのローブ。前まではその辺の適当な店で買った服を着ていたのだが魔術師らしくないと言われミクシアがおすすめのローブを買ってくれた。奢りで。ついでにご飯も食べた。もちろん奢りで。いやあ、ヒモって素晴らしいね。そういえばローブを買う時「これって私とお揃いなんですよ」と嬉しそうに言っていたな…かわいい所もあるもんだ。


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〜宿屋〜


宿屋の1室で2人の男と1人の女が椅子に座り、顔を突き合わせていた。普段は2部屋とって男と女で別れているのだが今日だけは特別。なんたって俺たちのこれからを決める大事な会議だ。


「さて、これから会議を始める」


けっつんは机に肘をつき目の前で手を絡めて、口と鼻の間辺りにつけている。ゼ◯レのシナリオ通りに…とか言いそうな雰囲気だ。


「まずは俺たちの今後について話たいと思う」

「まず確認したい事が…」

「はいミクシアさん!意見がある時は手を挙げてください!」


なんともうざそうなミクシアさん。だがこのルールは俺は賛成だ。議論が白熱すると相手の話すターンを奪ってしまうことがある。だからこうやってちゃんと分けるのは素晴らしいと思う。


ということを説明するとミクシアさんは納得してくれた。けっつんはノリで言ったのに真面目に返されて少し戸惑っていた。


「では改めて…」


ミクシアさんはそう言って手を挙げる。

  

「はい!どうぞ!」

「大前提として確認しておきたいのですが旅の目的は魔王を倒す事ですよね?」

「はい!そうです!」

「では魔王を倒すために具体的に何が必要かはわかっているんですか?」

「いいえ!分かりません!」

「返事だけはいいですね…ではまず私たちが何をすればいいかをハッキリさせる必要がありますね」


どこかのけつみたいな反応をするけっつん。何をすべき…か。あ、そうだ


「いいですか」

「はい!聴視あきみ君!どうぞ!」

「けっつんが読んだって言ってた勇者ブレイバー伝説を読めばこの先何をすればいいか分かると思う」

「はい!その案採用です!」

「だけどこの街で探した所なかった。だからけっつんが助けてもらったおばさんの家に行くのがベストかなと思うんだけど」

「異論なし!」

「ちょっと待ってください…勇者ブレイバー伝説?なんのことですか?」

「知らないんですか?という事は大分昔のものとかか?まあその辺りもおばさんに聞いてみよう」

「ではこれにて決定!」


けっつんのこのテンションはなんなんだ。


「あ、あと1つだけあるんだけど」


急に普通に戻った。何がしたいんだこいつ。


「もう少しこの街に残りたい。人攫いを命じてた組織が俺を探しているらしい」

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