ハゲロン毛腕毛元配信者…その名もけっつん!!

ガッデム乳山

〜第1話〜 転生

〜簡潔なオープニング〜

俺は平凡な高校2年生!退屈な日々に飽き飽きしていて、常に刺激を求めていた!  


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


歩き慣れた道を見慣れた2人で歩く。信号が赤く光り、足を止める。目にも止まらないスピードで車やトラックが目の前を横断する。


「トラックに轢かれたら転生しねーかなー」

「は?何言ってんだお前」

「最強主人公になって無双しまくったらおもしろそうじゃん?」

「トラックに轢かれてこい、そしたら今自分がどれだけ馬鹿な事言ってるか分かるぞ」

「へいへい、すいませんでしたー」


信号が青に変わり、再び歩き出す。そして信号を渡り切る直前でふと異変に気づく。音が聞こえる。あのトラック特有の音が。


そう思い横を見ると1台のトラックが突っ込んで来ていた。


「ばっかやろう!」


幸いな事に歩道は目の前。このまま飛び込めばまだ間に合う。俺は隣を歩いている友達を抱き抱えながら前に飛び込む。だが友達が思いの外重く、うまく飛び込めなかった。


ギリギリか!?頼む!間に合え!!


トラックが迫り来る。そして俺の足先をかすめた。助かった。そう思ったのも束の間、俺の目の前には花壇の角があった。友達を無理やり引っ張ったせいで右斜前に飛び込む形になってしまったのだ。


走馬灯のように記憶が駆け巡る。


死ぬ前ってほんとにスローモーションになるんだな…うわ、俺がガキの頃だ。懐かしい…ははっ、クソガキだな俺。なんだよ、いつもあくびしてるなーこいつ…退屈な人生だったな…


頭が花壇の角にぶつかり後ろに跳ねる。そしてそのまま倒れる。頭があつい。ボーッとする。ああ、ほんとに死ぬのか俺…


「おい!死ぬな!!返事しろって!」


ん…?なんだお前泣いてるのか?はは、ブッサイクな顔…写真撮って見せてやりてえ…


「誰か救急車呼んでください!!おい!救急車が来るまでがんばれよ!!」


いや…俺はもう無理だ…体の感覚が残ってない…。何か言い残す事は…ねえか

幸せになれ…はクサすぎるしな。

今思ってる事…そうだな…


「どうせ…死ぬなら…トラックに轢かれたかったな…」

「ふざけんな!おい!死ぬな!!」


はは…最後までつまんねえ人生…


次第に周りの声が聞こえなくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目が覚める。そこには綺麗な空が広がっていた。綺麗な草原、鳥の鳴き声、風に揺らぐ木々。人の手がまったく加わっていない綺麗な自然が広がっていた。


「え…?生きてる…?」


どこも痛くないし、血も流れていない。何が起こったんだ…?


「ちょっと待てよ!」


叫び声が聞こえた。声の聞こえた方向を見ると遠くに人影が見えた。道らしきものを辿り人影に近づく。


「おい!逃さねえぞ!」

「もういいでしょう!離してください!」

「それは無理だ!だってこんなにも可愛いんだから…ニチャア」


とてもキモい。そこにいたのは1人の女性と変な格好をした男性。白いタオルを頭に巻き、マスクをしていて、はっぴに赤いズボンを履いていた。


あまりにも可哀想だ。段ボールに捨てられた子猫を見向きもせずスルーするこの俺でも流石に無視できない。助けに入らなければ。


「おい!そこのお前!女性を離してやれ!」

「あ?なんだてめー。ん?お前その服…」


男は女性の手を離しこちらに近づいてくる。


「お前…その服どこで買った?」

「服だと?学校に決まってるだろう」

「やっぱり制服だ!お前日本人だろ!?」

「あ、当たり前だろ?言語が通じてる時点で…ってあれ?」


俺が喋っていたのは日本語じゃなかった。聞いた事もない言語。だが話せるし意味もわかる。なんだこれは…?


「まじかよ!おいお前、慌てず聞けよ?ここは日本じゃねえ。お前は転生したんだ」

「て、転生?何言って…」

「ここにはスマホもなければ法律も存在しねえ。それどころかモンスターがいやがる」

「モ、モンスター!?何言ってるんだ!俺は信用しないぞ!」

「ああ、そーかい。じゃそこら辺で野垂れ死にな。俺は救ってやんねーから」

「ああ!お前の助けなんていらない!」


男は振り返り歩いていく


「ちょっと待て!お前名前は?」

「あ?名前?けっつん…けっつんだ」


そういうと男はどこかへ立ち去っていった。よく見ると後ろに剣を背負っていた。


「剣…?ほんとにモンスターが?いやまさかな」


とりあえず人を探そう…


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