その猫、幸運を呼ぶ…らしい

不思議な噂のある猫ちゃん「ブチ」が登場します

このブチが魔法の力でお悩み解決ーーなんてご都合主義なお話ではありません
だからこそ物語がリアルだし説得力があり、等身大のキャラたちをとても身近に感じられる

このブチに不思議な力があるとしたら、それは人の縁を結ぶ力でしょう
現代社会を生きる上で、実はこれに勝る力はありません（お金じゃないんです！）

読後感爽やかな猫好きにはたまらない癒しのストーリーの本作
ぜひご一読を！

とても優しくて心温まる、素晴らしいﾈｺﾁｬﾝヒューマンドラマでした。

物語は、仕事で悩みを抱える主人公・康平が、『幸運を呼ぶ猫』の噂を聞き、半信半疑でその猫に会いにいくところから幕を開けます。
幸運の猫・ブチ。ブチを可愛がる女子高生・泉美。ブチの飼い主の小学生・秀樹。噂の公園で彼らと出会ったことで、康平の人生は風向きを変えていきます。

当のブチは人の膝に乗ったり、おやつをもらったりと、とにかくマイペース。
だけどなぜだか危険な目に遭いそうな人を救ったり、悩みを抱える人に解決のヒントをくれたりなど、関わった人の運気を変えるような不思議な力を持っています。

登場人物たちの抱える悩みにリアリ…続きを読む

仕事が何かと裏目に出てつらい毎日を送る康平君。
そんな彼の前に現れたのは幸運を呼ぶ猫『ブチ』。
そんな偶然の出会いから、灰色だった康平君の心に鮮やかな色が戻ってきます。
その色を取り戻すのはなにもブチだけの力ではありません。
ブチとつながっている人たちとの出会いが、優しい人たちとの触れ合いが、康平君の心の滓を流していきます。

康平君にしたっていろいろと躓いた理由があります。
それは自分の弱さだったり些少さだったり。
関わる人たちだって皆が清廉潔白な人ばかりではありません。
それでもブチとのかかわりを通して、まるで視界が開けてくるように、さわやかな風が吹き抜けてゆくのです。

そして最後の最…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（109文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（149文字）

僕はこの物語を読んだ時、その表現力の素晴らしさに、鮮やかに心を奪われました。

例えば山田洋二監督の映画作品をご存知の方には伝わりやすいかと思いますが、どこにでもいる「市井の人々」を魅力的に描く事が如何に難しいか、僕の中では一つのテーマとして存在している重要事項であります。

この物語は特別な能力や、破天荒なキャラクターが登場するわけではありません。普通にどこにでもいる「市井の人々」が、「少し特別なねこ」と関わる物語です。

その「市井な人々」である普通の登場人物達を、如何に魅力的に見せるのか。ここにおいて、作者様の誠実で深みのある筆力が惜しげもなく発揮され、読む者は思わず魅了されてしまうと…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（351文字）

「幸運の猫」の噂を聞いた主人公。身も心も疲れ果てた彼が、その猫に会えるといわれる公園で見たのは…ちょっと大きいけど特に珍しいところのない猫。本当に幸運を運んでくれるのか…？
猫のブチがもたらす、いろいろな人たちの出会い。ときにかわいく甘えてきたり、無邪気にご飯を食べたり…。どこにでもいる猫のはずなのに、ほっこりを、踏み出す勇気を、事件解決の糸口も？　持ってきてくれるこの猫に、読む人の心もほんわり。あなたも、そんな幸運の猫に会いに来てみませんか。いきなりあなたの膝に乗って来たりして…？

柔らかで優しい毛並みに触れたような、至極のモフモフに包まれたような、心地好い読後感です。

駅に近い公園。それはご近所さんだけではなく、様々な人が交叉する場所です。そこに、不思議なニャンコがおりました。巷間囁かれる幸運の猫ブチちゃんです。

始まりは、登場人物のちょっとした悩みを解きほぐすかのような、少し不思議で軽やかな日常の物語に見えます。しかし、そうではありません。切実な問題もあれば、訴訟に発展しなねない事件も出てきます。

健やかに日々の生活を送る近隣の住民。私たちが毎日、すれ違う人たちでもあります。どんな悩みや苦労があるかなんて考えもしません。でも、違います。実は、不安の種を抱え、独…続きを読む

　決して猫の生態を逸脱しているわけではないのに、ブチの行動は、困っている人を助けて、幸運を呼ぶ。
　現実的でありながら、不思議な感覚。
　そして、根底に流れる、温かい人と人との関わりが、見事に描かれています。
　読みやすく、後味すっきり、ほっこり。
　これを読んだら、あなたも幸運の猫、ブチに会いたくなるはず！