心にじんわり沁みてくる優しい物語!

仕事が何かと裏目に出てつらい毎日を送る康平君。
そんな彼の前に現れたのは幸運を呼ぶ猫『ブチ』。
そんな偶然の出会いから、灰色だった康平君の心に鮮やかな色が戻ってきます。
その色を取り戻すのはなにもブチだけの力ではありません。
ブチとつながっている人たちとの出会いが、優しい人たちとの触れ合いが、康平君の心の滓を流していきます。

康平君にしたっていろいろと躓いた理由があります。
それは自分の弱さだったり些少さだったり。
関わる人たちだって皆が清廉潔白な人ばかりではありません。
それでもブチとのかかわりを通して、まるで視界が開けてくるように、さわやかな風が吹き抜けてゆくのです。

そして最後の最後のエピソードが実に良いんです。
人を変えることはできない、変えることができるのは自分自身だけ。
ここに気づけるかどうかは人生ですごく大事なことだと思います。

と、まぁいろいろな想い、感想がじんわりと沸き上がる、素敵な物語でした。
ぜひ読んでみてください。
ブチのモフモフした手触りを想像しながら……

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