幸運の猫を中心に拡がっていく人の輪と、それぞれが見つける希望の光の物語

とても優しくて心温まる、素晴らしいネコチャンヒューマンドラマでした。

物語は、仕事で悩みを抱える主人公・康平が、『幸運を呼ぶ猫』の噂を聞き、半信半疑でその猫に会いにいくところから幕を開けます。
幸運の猫・ブチ。ブチを可愛がる女子高生・泉美。ブチの飼い主の小学生・秀樹。噂の公園で彼らと出会ったことで、康平の人生は風向きを変えていきます。

当のブチは人の膝に乗ったり、おやつをもらったりと、とにかくマイペース。
だけどなぜだか危険な目に遭いそうな人を救ったり、悩みを抱える人に解決のヒントをくれたりなど、関わった人の運気を変えるような不思議な力を持っています。

登場人物たちの抱える悩みにリアリティがあり、中には胸の締め付けられるような展開もありました。
人間関係の描き方がとても丁寧で、きっと共感を覚える人も多いことでしょう。
ブチの意外な活躍とも相まって、解決のシーンでは気持ちいいほどのカタルシスを感じられます。

ブチとの出会いをきっかけに、どんどん繋がっていく人の輪。そして、それぞれが見出した前へ進む道。
読了後、私自身も前向きなパワーをもらえました。爽やかな読後感でした。
日々に疲れた人にこそ読んでほしい、癒しの物語です。

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