第54話 陽キャって恐ろしい
「そこ、間違ってるよ」
なんで今僕は勉強をしているのだろう?
先程まで出る準備をしていたはずなのに、気が付けば明美先生の指導の下勉強を見てもらっていた。
部屋に入ってきた明美に宿題が終わっていなかったのがバレたのだ。
「え、どこ?」
「ここ、前に教えたでしょ」
全く思い出せないので、明美にもう一度教えてもらう。
明美の教え方はわかり易いのだが、勉強に対する記憶力が壊滅的なのかはたまた忘れたがっているのかわからないが、思い出せないのだ。
そうしてしばらく明美先生に勉強を教えてもらい宿題を終えると、出発する時間になり明美と共に集合場所へ向かう。
バスが来て中に乗ると、後ろの席が空いていた
明美、窓が好きだもんな。
窓側の席に座らせ僕はその横に座る。
そうして終点の目的地に着き、ある程度降りるまで席に座って待つ。
日曜日という事もあるのだろう、バスの中ですら暑苦しいくらい詰まっていた。
明美を窓側に座らせて良かった。
そうして、僕らは料金を払い降りる。
はぁ~、来るんじゃなかった。
人混みを見てそう思ってしまった。
これははぐれそうだな。
この人混み、手を掴んでなければはぐれてしまう程人が多かった。
明美が不安そうな表情をしている。
これは仕方ない、仕方ないんだ。
勇気を振り絞り、僕は明美の小さな手を握る。
彼女はびくりと体を震わせ、こっちを見てくる
「はぐれるといけないから、我慢してくれ」
そう言うと彼女は俯きながら、コクリと頷いたので彼女の手を歩き出した。
よく彼女の手を引いていた事を思い出した。
それはいつかの記憶だ。
よく泣いている明美の手を引いていたっけ。
懐かしの記憶を思い出に浸りながら人混みをかき分けて歩いていく。
流石に多すぎるな。
これは流石にどこにいるか聞いた方が早いかもしれない。
「明美」
「ひゃい!?」
……え?
今ひゃい!?っていった?
いやいや、でも……。
明美の顔を見ると、恥ずかしそうに俯いていた。
うん、聞かなかったことにしよう。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫……それより何?」
「端に行ってから高田さんにどの辺にいるか教えてもらっていいか?」
「あ、わかった」
家電量販店の方で連絡を取ってもらう。
「ユドバシの下の改札にいるって」
「この下か」
したの少し先に行った先に地下鉄の改札口があるので、二人はそこにいるそう名ので場所へ向かったのだった。
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