第9話 なんでそこがかみ合わないのですか?

 なんてことでしょう……クラスは同じになるという幸運だった私達ですが、席が離れすぎているではありませんか。


 これでは私を助けるのが遅れてしまうではないですか……最悪です。


「私は一番前の席か~、一緒の席じゃないのは残念」


 本気で憂鬱です。

 うまく隠せないほど憂鬱です。

 

「代表挨拶頑張れたんだ、もう少し頑張ってみよう?」


 私は頑張りたくありません。

 友達なんて……特に女子の友達など出来なくても今で十分幸せです。

 女子は一度仲良くなると面倒くさいです。

 派閥とか、付き合いとか……そんな無駄な時間は私にはありません。

 そんなこと言う彼には今すぐ重い刑を与えたいくらいです。

 それでもやる気は見せなければなりません。

 例え作る気がなくても、作ろうとするのと作ろうとしないとでは大きな差だ。


「うん、そうだね……頑張ってみる!!」


 明美は胸の所に拳を作り、ガッツポーズする。

 可愛いぞ、私!!

 女の子としての魅力はこうすれば、私の右に出る者などいません。


「よし、じゃあ行ってこい」

「うん、頑張ってみる!!」

 

 やる気を見せたのが伝わったのか、彼は私の背中を押してくる。

 席につくと、隣の席を見る。


 なんていうか、黒髪なのはいいですが目つきが鋭いです。

 怖いです……。

 彼女は私の視線に気が付いたのか、こっちに目を向けてきます。

 真正面で見ると、目つきの怖さが際立って私の警報が危険信号を現します。

 何を話そう……この子は恐らく、クラスの中心的存在になる事間違いなしです。

 だから下手なことを言えば、私は一生クラスの窓際族が確定です。

 それだけは防がねばなりません。


「お~い」


 言葉を考えるのに夢中で、固まっていたようです。

 この時点で会話のマイナス事項です……私ならとっくにそいつを切り捨ててます。

 

「明美~」


 まさくんナイス、流石私の駒です。

 そう言うと、まさくんが彼女と話しています。

 その情報から彼女の名前は高田梨乃さんというらしい。

 見た目に反して、物腰柔らかく礼儀正しい人だった。


「ほら挨拶しなさい……」


 私に振ってきました……人見知りという設定なので、顔だけ出します。

 本当に、この設定はこういう所で不便ですね。


「真田明美……」


 私は恥ずかしそうな顔をしてまさくんの後ろに隠れます。


「すまない、悪気はないんだ」


 そうです……悪気はないのです、必要な処世術なんです。


「うん、わかってるよ……壇上で見てたし……大変だったね~、よく頑張った!!」


 ガッツポーズをして高田さんは私を見てきます。

 見た目に反してのギャップも相まってかめちゃくちゃ可愛いです。


「が、頑張った……」


 右手を出し、ガッツポーズで返します。


「こいつ、こんなんだけど仲良くしてやってくれ」

 

 こんなのとは何ですか、まさくんは意地悪です。




 

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