腹黒彼女とモブ男子のお話

第10話 新たな学校生活と新駒

「もっちろん！！　なんて呼べばいいかな？　真田さん？　明美ちゃん？　あけみん？」

　この子は私の駒として使えるかもしれない。

　クラスカースト上位となって仲良くなれば私の学園生活は安泰に等しいのですが、彼女の気分次第で全てが変わるかもしれないという諸刃の剣でもあります。

　どうするべきかですが、今はこうするしかありません　

「あ、明美でいい……」

「じゃあ明美ちゃん、これからよろしくね」

　こうしなければ、私は完全に浮いてしまいます。

　それに、彼女はなんだか扱いやすそうです。

　高田さんの言葉に、私は人形のように首を縦に振り続けます。

「明美、今日の……えっと……なんだっけ？」

　まさくんは忘れてしまった風を装っていますが、演技が超絶べらぼうに下手くそです。

　大根役者で三文役者です。

　あ、どちらも同じ意味でした。

　そんなことはどうでもいいのです。

　彼は流石です……私が困っていたら一早く助けてくれる救いの駒なのです。

　褒めて遣わします。

「え、速くない！？」

　意図を察してほしいのです。

　あ、でも、察したら彼のしたことがバレてしまいます。

　そうなれば完全にヤバい奴です。

「ど忘れって奴かな？　まぁ、思い出したらまた言うよ」

　流石に言い訳苦しいよ、まさくん……。

　そう言うと、彼は席に戻っていきます。

「ねぇねえ、彼とはどんな関係なの？　彼氏？」

　今のどこにそんな要素があったのでしょう。

　やはりこの人も、他の女子と同じ恋愛脳という事です。

　くだらないです。

「え！？　そ、そんなわけないよ！！　ただの、ただの幼馴染だよ！！」

　照れたような表情なだけなはずなのに、何かおかしいです。

　全身が熱くなってきます。

　こういうのが苦手だからでしょうか？

「ふ～ん」

　ニヤリと悪戯な感じが腹立ちます。

　この恋愛脳め……。

　どうせ、私が彼に恋愛感情があると思っているんでしょう。

　残念でした……私の本命は未来の白馬の王子様です。

　ゲーム廃人のまさくんなんて対象外も対象外です。

「な、なに……？」

「んや、なんもないよ」

　その目は明らかに何かあるに決まってます。

　私を騙そうなんて、百年早いのです。

「それよりさ……」

　それよりって貴方が話題を振ってきたのでは？

　自分で言っておいてそういうこと言うなんて、やはりの人は関わるべきではないのかもしれません。

　そう言って彼女は何かを話している。

　そのどれもが全くといって良いほど為にならない話題だった。　

　早く先生来てくれませんかね～。　

　そう思いながら先生が来るまで、彼女と話をしたのでした。