第11話 自己紹介と幼馴染への心配

 先生が来て席に着くと、先生の名前とこの学校の規則について説明した。

 担任の名前は枝川えがわ すぐる先生というらしい。

 それから、明美の難関の自己紹介が始まった。

 以前も中学の時に自己紹介で噛んでしまった。

 しかし、今回は違う……新入生代表挨拶という大役を終えたのだ。

 今までの彼女と格が違うようながする。

 明美の前の人が挨拶を終える。

 

 明美、大丈夫かな……。 

 まぁ、出来なくてもまた慰めてやればいいか……。


「さ、真田……明美……です……」

 

 明美はそう言うと、硬直したようにそして静止するように彼女はその場で固まっている。


「……真田さん、ええっと……」


 しばらくの沈黙の後、先生もしびれを切らしたのか彼女に声を掛ける。

 あちゃ~、やっぱりか~。

 彼女の背中が震えている。

 

「あけ……真田さん、質問いい?」

「あ、うん……」


 先程まで話していたのか、高田さんの方を向いて頷く。


「趣味は、なんですか?」

「趣味は、読書です」

「お~、本好きなんだ~」


 そう言って彼女は明美に自己紹介にある程度必要なことを質問する。

 出身中学、好きな食べ物……嫌いな食べ物等だ。


「以上で質問を終えます!!」


 まるでドラマで見る裁判の弁護士のような言い方で彼女は質問を終えた。

 

「はい、では真田さん……座ってください」


 そう言って席に着く。

 いい友達が出来たようだ……よかったな、明美……。

 僕も自己紹介を終えてしばらくしてクラス全員の自己紹介が終了した。

 時計を見ると、もうすぐ昼休みではないか……。


「話は以上です、この後昼休みを挟んで校舎を回るから、間違っても帰らないように」


 そう言って先生は出ていく。

 早速明美は高田さんと仲良く話している。

 先程の会話で少し信頼関係が生まれたのか、明美も楽しそうに話している。

 邪魔するのも何なので、今日は購買がやっているかわからないが買いに行くことにした。


 しかし案の定というか、行ったら今日は人が多すぎて、とても買える雰囲気ではなかった。

 戦わなければ得られる物はないというが、このくらいの空腹であの人混みに行くメリットとデメリットを考えれば空腹の方がましだった。

 もし買えなかったら時、この戦いを挑んだ疲労感で余計に空腹となり死ぬかもしれない。

 それに比べれば、逃げるが大勝ちだと自分の中で完結することにした方が良い。


 さて、どうしようかな……。 

 今から食堂に行くにせよ、ここと同じく既に満席で僕の番が来る頃には昼休みの終わりのチャイムが鳴っていることだろう。


「あ、いた~!!」


 声の方を振り返ると、高田さんが僕の方を指差していた。


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