第33話
「あの、少しパソコン借りていいですか?」
そういうと、まさくんはパソコンに座り何かを打ちだしています。
パソコンは私はそこそこといった感じで、
そうしてフリー素材を使って付き足していきます。
「明美、どれか入れたいにあるか?」
そう言って私を手でひょいひょいっと招いてきます。
何様でしょうか?
ふざけるな、です。
ですが、不本意ながら呼ばれた以上はいかないといけません。
本当に仕方なしですよ、まさくん。
そう思いながら私は彼の元へ向かいます。
どれがいいとは難しいです。
だってそうでしょう?
感性は人それぞれで、皆好みが違います。
恋愛脳共の例で例えるのなら、会長のような頭でっかちの堅物系男子が好きな人ももいれば、副会長のように可愛い女の子なら誰でも声を掛けるようなチャラい猛獣が好きな人、まさくんのように女の子に騙されそうなお人よしで優しい男の子が好きな人もいます。
まぁ、私はどれも恋愛対象外ですが。
まぁ、この中でどうしても選ばなければいけないというのなら、私は真っ先にまさくんを選びますが……あくまで、どうしてもという場合です。
「こ、これとこれ……」
ウサギと亀がまぁ無難でしょう。
私的にはこれに付け加えて月と桜で花見を演出するのもいいと思います。
後は夜を背景にすると、夜桜を見上げている亀を上から見下すウサギの光景の完成です。
そう思っていると、まさくんが何の因果か私と全く同じ考えの通りに動くではありませんか。
流石、何も言わなくても私の考えがわかるとは、優秀ですよまさくん。
「ここ、変えますよ」
残りはこのバリ堅極まりない長文の訂正です。
端から端まで文章を並べられて入りたいと思うでしょうか?
この人の考えはやっぱりわかりません。
PC部。
経験不問、和気あいあいの楽しい部活動。
経験者だけでなく、初心者には先輩が教えてくれます。
よろしければ、一度パソコン部にお越しください。
そうです、このくらいがいいのですよ。
会長もまさくんの皮膚の細胞の一部でも煎じて飲んでください。
「これだけでいいのか?」
「えぇ、あまりに長すぎると読む気無くしますし、何より硬いです」
「そんなものか」
あら、珍しくまさくんが厳しい言葉を投げかけています。
まぁ、堅物のこの人には現実を思い知らせるいい機会ですが。
あら、会長さんは落ち込んでいます。
ざまあみろ、です。
「あ、あの別に会長の書き方が悪いとは……」
まさくんは厳しいことを言ったと思ったのか、申し訳なさそうな顔で会長にどう弁明するべきか考えています。
「わかっている、俺の書き方は硬いからこういうのは合わないことは」
わかっているのなら、すっこんでればいいのに。
そう思う私でしたが、まぁ参加する気概だけは誉めてあげます。
無謀に極まりないですが……。
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