第38話

 赤羽君が、こちらに来ると同時にまさくんは私の腕を引っ張って駆け出していきます。

 本当に騒がしい人たちですね。

 グラウンドの外に出ると、私達は疲れたのか膝に手をつきます。


「やっぱり、そっちも勧誘ひと悶着あったか」

「あぁ、そっちも大変そうだったな」


 だから嫌だといったのに……。

 こんな可愛い二人が行けば、注目の的になって当たり前なのに赤羽君が行きたいとか言うから自業自得です。


「部活動、ちゃんと話聞きたかったな~」


 あれ、聞き間違いでしょうか?

 先程、彼女は文化部系の部活動がいいとか言ってた気がしますが……。


「お前が行くと、女子がホの字になるからやめとけ」


 心底面倒くさそうな顔で赤羽君は梨乃ちゃんを見ています。

 あぁ、そういう事ですか……。

 きっと彼は嫉妬しています。

 梨乃ちゃんが女子の注目を搔っ攫ったのでねたんでいるのですね。

 そういう、女々しい男は一生モテませんよ。


「そんなこと言われたって、私だって好きでこうなってるわけじゃないわ」


 彼女は私の目から見ても男らしい。

 きりっとした凛々しい瞳に女子というより男らしい立ち居振る舞い、私のように童顔でぱっちりした瞳では絶対になれない感じだ。

 例え、彼女のように立ち居ふるまったとしても背伸びしているようにしか見えない。

 まぁ、だから私は今の私になったのですが……。


「……そろそろ戻るか」

「うん、そうだね……」


 まさくんがこちらを見ると、私は彼に笑顔でいいます。

 私の護衛、お疲れ様です。

 そう言いながら、私達は教室へ向かいます。

 

「にしても、お前らは違う意味で大変そうだったな」

「みてたのなら助けろよ」

「それは、お前の役割だろうよ」


 そうです、この女々羽……赤羽君の言う通りです。

 私を守るのはまさくんの役目です。

 何を言ってやがりますか、この野郎。


「とりあえず、部活動のチラシは集まったしクエスト達成だな」

「誰が発注したのよ、そんなクエスト」


 赤羽の言葉に、呆れたように梨乃ちゃんは突っ込んでいる。

 もしかして、赤羽君と同じくゲーム魔人なのでしょうか。

 そうだったら、お互い苦労しますね梨乃ちゃん。


「だから言ったじゃない、運動部はやめとこうって」

「俺は入るなら運動部がいいんだよ……っても入りたい部活はなかったな」


 彼は勧誘紙を見ながらそういうと、見終えたのか彼女に一部を渡してきました。


「女子部の勧誘紙だ」

「……ありがと」


 なんだかんだ彼女の事を見ているのは、ポイントが高いですよ。

 そう思いながら、嬉しそうに持っている彼女に近寄る。


「わ、私も見せて」

「うん、戻ってから一緒に見よ」


 そう言って私達は教室に戻りました。

 

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