第39話

「どれかよさそうなのあった?」


 梨乃ちゃんは私に聞いてきます。

 正直、どれもこれも私は好きじゃありません。

 私は団体競技が苦手です。

 だって、人に気を遣わなければいけないし、先輩後輩で柵があります。

 それは、私的には超絶無駄な時間という気がするのです。

 

 時間は有限……それを神経擦り減らして相手に合わせるなど、不毛の極みな気がします。

 唯一、やりたいとすれば一人で黙々とできる個人競技くらいでしょうか。

 団体競技は皆の期待やら複数に気を遣わなければならないので、面倒の極みなので絶対に入りたくありません。

 負ければやれお前のせいでとか、あの時あの子がとか絶対に誰かのせいにされるのですから。

 それに比べて個人はいいです。

 勝とうが負けようが、自分一人のせいなので私的にはお勧めです。

 

「私は、ないかな……」

 

 青春とは青い春……即ち、学生時代の思い出です。

 私は穏やかに誰とも争わず、平穏に暮らせればそれでいいのです。

 決して、団体行動が苦手ではないです。

 必要な時には団体行動はしますし、必要のない時は一切しません。


「ないか~、私も~……どれもこれも、どうしてもやりたいって思えないのよね~」


 深く溜息を吐きながら、ゆっくり机に突っ伏したかと思うといきなり起き上がった。

 

「そうだ、PC部なんてどう?」


 梨乃ちゃん、もしかして私の嫌がることを知っててやってないよね?

 会長は、私の敵です。

 強敵です、魔王クラスです。

 そんなところに私は行きたくありません。


「私は、やめとこうかな」

「えぇ~、なんで~!?」

「えっと、えっと……」


 理由が、会長が苦手で嫌いと言えるわけがありません。

 どう言い回しましょうか……。


「入ろうよ~!!」

 

 そう言って私の両肩を掴み、揺らしてきます。

 やめてください、私の天才的な頭脳が壊れたらどうするんですか。


「り、梨乃ちゃん……わかった、わかったから!!」

 

 流石に気持ち悪くなってきて、これ以上揺らされたら吐きそうなので私はそう答えます。


「よし、じゃあ二人にも入部届書いて貰おう!!」

 

 これはまさくんに断って貰いましょう。

 そうすれば、私は入らなくて済みます。

 頼みますよ、まさくん。

 絶対に入りたくありません。

 だけど、彼は私の思いをきっちりとくみ取ってくれるはずです 


 まだ時間があるので、梨乃ちゃんは私を連れて二人の元へ向かいます。 

 二人は早速仲良くなったようで、何かを話しています。


「何の話?」


 私がそう問いかけると、彼はびくりと震えて私の方を恐る恐る見てきました。

 まるで、何かに怯えるような感じで感じが悪いです。


  

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