第50話

モブ男子視点


 次の休み、突然高田さんから連絡が入ってきた。


「今日、暇?」

「うん? まぁ、そうだね」

「じゃあ、11時に梅田に集合で!! 明美んと赤羽と遊びに行こう~!!」


 う~ん、断るか。

 今日はゆっくりゲームでも……。

 そう思っていると、インターホンが鳴る。

 誰だ、こんな時間に……!?


 目の前に私服姿の明美がいた。


「どうした?」

「11時に集合だから迎えに来た」


 うわ~、これ絶対行かなきゃならないやつだ~。

 分かっててやりやがったな、高田さん。


「言ってくれれば迎えに行ったのに」

「ううん、多分だけどまさくん断る気だよね?」


 ……ばれてた。


「もう、駄目だよ折角できた友達なのに大事にしないと」


 むくれ顔でそう言ってきた。

 明美はこういう事に厳しいからな~。

 約束事や人間関係を大事にしないのを何より嫌うのだ。

 

「ほら、寝ぐせついてるよ……顔も洗って!!」

「お前は母親か!!」


 背伸びして僕の頭の寝ぐせを優しく撫でる。

 気持ち悪いかもしれないが、彼女の小さくて柔らかい手の感触が伝わってくる。

 正直言ってドキドキする。


「……治らない」

「天然だからな」

「自慢しないの、シャワー浴びてきなさい」 

「だからお母さんか」

「早くして、時間無いよ」


 言い方が完全にお母さんなんよ。


「それじゃ、まさくんの部屋で準備できるまでまってよ~っと」

「……ちょっと待て」

「ん?」

「リビングで待ってて」

「……どうして?」


 言えない、昨日おきっぱにしてたエロ本があるなんて。

 

「あ~、まさくん着替え取りにいったら?」

「あ、うん」


 そう言って明美より先に行く。


「整理するから待っててくれ」

「気にしなくていいよ」

「僕が気にするから!!」


 特にエロ本が!!

 そう言って僕は部屋にある例の物をたたんだ布団の間にしまう。


「いいぞ」

「お邪魔しま~す、うん部屋は綺麗なままだね」


 そう言って納得したように畳んだ布団に座る明美。

 そこにはエロ本があるから辞めてほしい。


「飲み物何かいるか?」

「自分で取りに行く~」

「そうか」


 僕は着替えを持って風呂場へ向かう。

 エロ本がバレませんようにと祈るばかりである。

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