第49話他意はありません

「送ってくれてありがと」

「あぁ、また明日な」


 あ、そう言えば。

 家に入り、ふと思い出しました。

 気分で作ったクッキーがあったのを忘れてました。

 うっかりです。

 まさくんにもおすそ分けで渡そうと思っていたのですが。

 急いで部屋に戻り、クッキーを入れた袋を取り出します。

 うん、メッセージもよし。

 日頃の感謝を込めるのは大事な事です。

 そのまま走って階段を降り、靴を履いて外に出るとまさくんがまだ見える場所にいました。

 ラッキーです。

 このままだったら追いかけなければいけなかったので面倒がなくてよかったのです。


「まさくんまさくん!!」


 私の呼びかけにまさくんは振り向きます。


「どした?」

「……手を出して」

「あ、うん」

「はい、これあげる」


 私は片手を前に出したまさくんに小包を渡します。


「クッキー作ったの、よかったら食べて」

「……ありがとう」


 一瞬の間は何でしょう?

 嬉しすぎて言葉を失ったとかでしょうか?

 それなら、納得ですね。


「それじゃあ、また明日」

「うん、また明日」


 そう言ってまさくんは帰っていきました。

 嬉しいくらい言ってくれてもいいのにな。

 そう思いましたが、言葉にはしません。

 言葉にすれば勘違い症候群が発症してしまう可能性があるからです。


「ふぅ~、今日も疲れた~」

 

 ここは私の金城、誰に気兼ねすることなく自分自身を出せる居城だ。

 

「あ、まさくんに感想を聞かなきゃ」


 白馬の王子様に渡すために日々鍛錬は大事です。

 改良できるところがあれば改良しなければなりません。

 まぁ、まさくんの事だから感想は送ってくるでしょうけど。


「風呂、入りますか」


 私はそう言って風呂場に向かい、お風呂に浸かります。


「ふぅ~」


 心地の良い、お風呂とは何て良い文化なのでしょうか?

 日本に生まれてよかったと思わずにはいられません。


 それにしても今日は疲れました。

 色々ありましたが、一応友達?は出来たし、めでたしと言った所でしょう。

 まぁ、強いて言えば白馬の王子様がいなかった事と、あのクソチャラとクソ眼鏡と出会ったことが不愉快極まりませんがまぁそれは仕方のない事です。

 

 人間だれしも集団にいれば嫌な奴は必ずいます。

 

 そうして風呂から上がると、まさくんからメッセージが届いてました。


「とってもおいしかった、か……」


 もう少し何か感想が欲しいものです。

 こういう所がまさくんのダメダメな所ですね。

 及第点以下の回答です。

 よかった~っと私はメッセージを返します。


「まさくんのば~か」


 私はそう天井に向かって呟くのでした。

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