第46話恋愛脳め

 そうしていると7時になり、帰る準備をして帰路につく。

 

「途中まで一緒に帰ろ~!!」

「苦しいよ、梨乃ちゃん」


 梨乃ちゃんがそう言って抱き着いてきます。

 一々抱き着く意味が解りません。

 暑苦しいです。


「まさくん、いい?」

「あぁ、構わないぞ」


 言い訳があるか馬鹿垂れとおもいましたが、流れ的に断れそうもないので従う事にします。


「……保護者?」


 それはどっちの意味でしょう? 

 きっと私の事ですね。

 彼を見守っているのですから、私が保護者に違いません。


「真田さんはお前と違って相手に遠慮できるタイプって事さ」


 たまにはいいこと言いますね、えっとそうです赤羽君です。

 忘れる所でした。

 赤羽君がそう言い放つと、梨乃ちゃんは不満そうに頬を膨らませる。

 本当のことを言われているから起こっているのでしょうか?


「それ、どういう意味?」


 わかってませんでした。

 無知とは怖いですね。


「だって傍若無人の何でもはっきり言うお前と違って……」


 私は心の中で手を合わせます。

 次の行動が容易に想像できるからです。


「ぶへぇ!!」


 梨乃ちゃんは鳩尾に綺麗に拳をぶち込み、赤羽君は倒れます。

 同じことを繰り返すなんて、理解に苦しみます。

 それともドМなのでしょうか?


「ふん、行こう?」


 私の手を握ると、教室を出て行きます。

 校門の前に着くと、彼女は立ち止まります

 あの攻撃だとしばらくは動けないでしょうから、ここで待つことにしましたのですが。


「君達、一年生?」


 見た目からして、野球部の様です。


「はい、そうです!!」


 梨乃ちゃんは元気に返事を返します。

 すると、野球部の部員が二・三人集まってきた。

 面倒くさいな~。

 どうせマネージャーの勧誘でしょう、しつこい人達です。


「ここに来たのって、もしかしてマネージャーになってくれるとか!?」


 どこまで頭お花畑なのでしょうか?

 そんなの天地がひっくり返ってもあり得ない事なのです。 

  

「友達を待ってるんです、一緒に帰ろうって」

「そうなんだ、ならそれまでこっちの練習風景を見ていってよ」

「私達、PC部に入ってますよ?」

「構わないよ!! マネージャーと兼部でも構わないから!!」


 本当にしつこいです。

 しつこい男はモテませんよ。

 そう思っていると、まさくんと赤羽君がこちらに向かってきていました。

 

「遅いよ、二人とも」


 梨乃ちゃんも来ているのに気が付いたのか、私の手を引っ張り二人の元へ向かいます。

 二人の元へ向かう私達を流石に追ってはこなかったです。


「お前な~、直ぐに暴力に走るのはやめろって」

「……もう一発いっとく?」


 その言葉は謝るどころか、彼女の怒りを買っていると思います。

 彼女は拳を作り、笑いながら赤羽君の方を見てます。

 彼はまさくんを盾に後ろに隠れました。

 情けなさすぎます。


「やれるもんならやってみろ!!」


 小者発言もいい所です。

 言うなら堂々と言えばいいのにと思います。

 

「もういい、行こう明美ちゃん」


 梨乃ちゃんは溜息を吐きながら、先に行きます。

 彼に呆れているのでしょう。

 彼女の元へ向かいます。 

 今回ばかりは彼女がかわいそうに思えてならないのです。

 そのまま私達は駅に向かって歩き出すのでした。



 

 

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