第3話 ダメ男2

 私の言葉にまさくんは困った顔をします。

 私は彼の事を知り尽くしています。 

 彼の生態系から全て……あ、性に関する以外です。

 私は清らかな乙女なので、白馬の王子様が現れるまでは私は清らかな乙女を貫き通します。


「ごめんなさい、あけみ様」

 

 彼は即座に後悔し、謝ってきます。

 生命線であるご飯を絶ったからでしょう。

 彼はゲーム廃人なので、両親からもらっている食事代を私の弁当で賄いゲームを買っているのです。

 なんてダメ人間なのでしょう。

 まぁ、私もそのおかげで優位に立てているのも事実なのですが。


「全く、自分の立場をわきまえて物を言うようにしてよ」


 少しきつく言いすぎた気もしますが、こういうことは言っておかないと舐められます。

 長い事付き合いがあるとこういうのが面倒ですよね。


「全く、お金全部ゲームに使っちゃうとか……少しは外で遊びに使わないの?」


 私に貢がないの? とそんな汚いことは言いません。

 そもそも貢がれると申し訳なく感じるからです。

 なので、割り勘という言葉が私は一番好きです。


「そもそも、遊ぶ友達がいない!!」


 言い切りました、本物のクズです。

 この人は将来ろくでもない大人確定です。


「言い切ったよ、まさくんそれでいいの?」

「お前さえいてくれれば、それでいい」


 はい、来ました。

 ダメ男の発言です。

 どうしようもない女っ垂らしです。

 そんな発言しながらどや顔しているのが腹立つが、私は優しいので許してあげます。


 そんな事より、私は憂鬱です。

 人見知りなのに、どうして新入生挨拶に選ばれたのだろう。

 きっと私の頭がいいからでしょう。

 この高校なら私の頭でも余裕で通るくらいの学力だった。

 まさくんは危なかったので、私が教えて何とか通ったのですが。

 及第点以下ですが、まぁいいでしょう。

 私と同じ舞台は望みませんが、せめて及第点ににはなってほしいものです。


 そんなことはどうでもいいのです。

 挨拶をどうやって断るべきでしょうか。

 腹痛で休む?

 体調がすぐれないという?

 ダメです、どれも舐められる可能性の高い物ばかりです。

 悩ましいです。


 挨拶はお堅いです。

 書いてあることをそのまま読むのは楽ですが目立ちたくありません。

 そうだ、学年二位の人に代わって……そういえば二位の人が誰か知りませんでした。

 残念です。


 そんなことを考えながら、歩いていると学校についてしまいました。

 本当に、こうなったら奥の手しかないです。

 あまり使いたくありませんが、こうなれば背に腹は代えられません。

 

 

 

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