第4話 新入生代表

「続いて、新入生代表の挨拶です」


 学校に着き、入学式が始まって隣の人たちがもう仲良くなっている中、僕は誰とも話せていなかった。

 っというより両隣とも隣と同中だったらしく、僕は機会を失いぼ~っと進行を眺めていると、新入生代表挨拶の時になった。

 

 明美、大丈夫かな……。

 

 彼女が心配だ。

 頭はいいが、彼女はどうしてもこういう場は苦手なのだ。

 昔、何かの賞……小学生の作文で金賞を取ってしまった時も、彼女は噛みまくりながら泣いていたのを覚えている。

 

 才能があるが、人前が苦手な彼女が一人で壇上に立つのは不安だった。


「それでは、新入生挨拶……真田明美さん」


 明美が壇上に姿を現す。

 案の定、右手脚と左手脚が同時に動いている。


 やっぱり、緊張してるよな~、頑張れ!!


 内心そんな事を思いながら彼女の方を見る。

 彼女は何とか壇上に立つとグチャグチャ握りしめた紙を開き、お辞儀をすると彼女は案の定マイクに頭をぶつける。


 あちゃ~。

 

 明美は頭を押さえ、恥ずかしそうに瞳を潤ませている。

 その光景は男子にとっては目を奪われるだろう。

 女子は面白くなさそうな顔をする者、応援する者の二手に分かれる。

 

「あの子、可愛いよな」


 早速、彼女は男子の人気の的になりつつあった。


「し、しんにゃうせいとうじ、さにゃだあひぇみ」


 噛み噛みでもう見ていられなかった。

 女子も、最初はぶりっ子だと思っていただろうが、天然では? という疑念に変わり、全体的に応援する雰囲気が漂う。


 彼女の一生懸命な挨拶が終わると、皆安心したような顔になっている。

 そして、新入生の挨拶は終了して彼女は壇上から消えると同時に、拍手喝采が鳴り響いた。


 そしてしばらくして、入学式は終了してクラス分けの掲示板を見に行くために、明美と合流する。


「頑張ってたな」

「うん、恥ずかしかったけど頑張った」

 

 噛み噛みだったけどな。

 だが、噛み噛みでも最後までやり切っただけ成長したので、言わないでおくことにした。


 そして、明美と共に、校門の近くにある掲示板に向かった。

 何故というか因果というべきか僕と明美は14クラスの中で同じクラスに名前があった。


「ほんと、偶然って怖いよね~」

「本当にな~」


 もはや呪いの類ではないかと思ってしまう。

 小学生の頃からずっと同じクラスだったのでそう思っても仕方ないと思う。

 まぁ、変な奴が寄り付かないか近くで見れるのは楽でいいけど。


「またよろしくね、まさくん」

「あぁ、よろしくな」


 これから新しい新生活が始まるが、やることは変わらないなと思う僕だった。


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