第15話 変な勘繰りは不愉快です
「つ、付き合ってないよ?」
「……え? 本当に?」
ようやく伝わりましたが、彼女の様子が少しおかしいです。
「う、うん……まさくんとは幼馴染で、それだけだよ?」
「え、待って待って……え、何? 本当に付き合ってないの!?」
さっきからそう言ってるのに……この人は人のいう事を聞かない突っ走り屋さんなのでしょうか?
「う、うん……」
「マジか~」
なんか、残念そうな苛立っているような声でそう言うと、私の方を見る。
何か不味い事でも言ったのでしょうか?
そんなことありません、私は何も悪いことなど言ってません。
神や悪魔にだって誓います。
悪いことなど微塵も言っていないと確信を持って言えます。
「あって間もない私が言うのもなんだけどさ……」
何でしょうか、呆れられてるような気がします。
「普通、付き合ってもない子の弁当って作る?」
ほう、確かにその言葉は一理あるのです。
迂闊でした。
だから、中学の時女子が私達をニヤニヤと気持ち悪い笑顔で見てきた理由がわかりました。
「まさくん、ほっとくと栄養偏っちゃうから心配で……」
「まって、一つ聞いていい?」
右手を前に出して、左手で頭を抱えています。
アニメで見たシーンの再現の様です。
「明美ちゃんって、澄田君のこと好きだったり」
「ないです」
「……え?」
しまった、つい素が出てしまいました。
うっかりです。
「あ、えっと……まさくんにもったいないよ」
私は至高の存在、対してまさくんはお先真っ暗……天と地、月とスッポンです。
あ、スッポンとはいってもトイレの方のスッポンではなく生き物のスッポンです。
流石にそれは可哀想なので生き物にしておいてあげます。
私って優しい!!
「そんなことないよ……ん?」
「え?」
何かおかしなこと言いましたかね?
いや、言っていないはずです。
まさくんにはもったいないと謙遜をしたはずなのですが……。
「ん~、まぁいいや……とりあえず自信をもって!!」
この人は何を言っているのでしょうか、私はいつも自信満々です。
何もかも完璧で可愛い……これ以上事実で自信の無いことがありましょうか?
ありません、私は完璧です。
勉強や運動も出来て何も恐れることなどありません。
「え、うん」
私は一応何に対してかわかりませんが、頷いておきます。
「よし、じゃあ探しにいこっか!!」
急に張り切り出しました。
情緒不安定なのでしょうか?
私の心の声など無視し、彼女は地図を見ながら歩き出していきたので、私は彼女の後ろをついていくのでした。
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