第14話 幼馴染の愚行
「話は以上です、この後昼休みを挟んで校舎を回るから、間違っても帰らないように」
間違って言うか初日の日に帰るなんてろくな生徒じゃない……将来、お先真っ暗でしょう。
「ねぇ、昼食は食堂?」
横の梨乃は、私に問うてきました。
私は首を横に振ります。
まさくんと先約があるので断りましょう。
「私、先約が……」
そう言ってまさくんの方を見るとすでにいないではありませんか……。
友達に誘われたのでしょうか?
それでも、私との約束が先決です。
駒としての自覚が足りないです。
「もしかして、彼? 確か、澄田君だっけ?」
私の視線に気まずそうに私の顔を見て、言ってくる。
きっと私の瞳の光が消えているからでしょう。
まさくんは、とりあえず死刑です。
「ふ~ん……じゃあ、探しにいこっか」
「え?」
外に出たくないです。
わざわざ駒を探すために奔走するなど、非効率の極みです。
しかし、彼女は私の心などお構いなしに、手を掴み引っ張ってきました。
痛いです。
仕方ない、こういうタイプには従っておくのが吉でしょう
私は仕方なく、彼を探しに教室を出ます。
「どこを探そう?」
無策で挑むとか、愚の骨頂なのです。
仕方ないから、私から案を出させてもらいます。
「しょ、食堂とか?」
「食堂か~……そういえば、この地図にこの学校について書いてあったはず……」
そう言って彼女は教室に戻り、何かを持ってきました。
教室のしおりです。
「ここからだと、食堂かな?」
「多分、購買だと思うよ……まさくん、結構パン好きだし……」
まぁ、今の時代インスタントやパンでもそれなりに美味しいです。
だけど、栄養が足りません……ただでさえ、頭に栄養がいっていないの体調まで崩されると私の駒としては不足気味です。
だから、せめてもの情けで私が早起きして作ってあげているというのに……不愉快です。
「はぁ~、じゃあ購買から行ってみますか……んで? それは、明美の食べる分?」
弁当を二つ持っている私に梨乃は問いかけてきます。
勘のいい女の子は苦手です。
それに、可愛い私がこんな大食いなわけないです。
あ、でも大食いの方が好感度があるのかな……っと誰の好感度を気にしているのでしょう。
「これ、まさくんの分……」
「ふ~ん」
何ですか、その顔は……なんだか不愉快です。
「な、なに…?」
「んや~、ってかやっぱり付き合ってるでしょ」
なんでそうなるのでしょう。
ギブ&テイク……彼に食事を与えることで私のサポートをしてもらえる、いわば雇用主と従業員です。
本当に恋愛脳の考える事は理解に苦しみます。
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