第18話 生徒会副会長

「私はひいらぎ 夕実ゆみ、三年生…よろしくね~」


 柊夕実と言えば、しおりに名前だけ書いてあり生徒会の会長補佐だ。

 

「それじゃあ、お邪魔しました~」


 そう言って僕はその場を後にしようとする。

 それはそうだ、逢引きの邪魔しちゃ悪い……っというか生徒会室でしろよ。

 生徒会の二人だ。

 生徒会室で密会していても誰も文句などなかろうに。


「あ、良かったら一緒にどう?」

「それじゃあ、お言葉に甘えて」


 柊さんの言葉に、高田さんは遠慮なしに座っている。

 少しは遠慮というものをしなさい、この子は……。

 さっきから話してて思ったが、この子は遠慮というものを知らない。

 自分の思ったことを行動に移す……いわば即実行系女子だ。

 言い換えれば自己中心的ともいえるが……。


「お前は少し遠慮を覚えろ」


 うん、言い方からしてこの人もそっち系だわ。

 生徒会長、間島さんは高田さんとは違う即実行系だろう。

 っというか言葉を選ばない。

 思ったことを悪びれもなく、淡々と言い放つ彼は明るくオブラートに包む彼女とは違い、言葉の刃が研ぎ澄まされたような感じだ。

 この人、敵多いだろうな~。


 こういうタイプは男女共に嫌われやすい。


 普通に初対面の人間に対して、高田さんのように……否、もっと遠慮した振る舞いをするはずだ。

 しかし、彼の目からは何か悪いことを言ったか? みたいな顔なので恐らく悪気はないだろうが、その言い方は酷く冷たく感じる言い方だ。


「こ~ら、そんなこと言わないの~」


 柊さんは間島さんをたしなめる。


「うん? 何か不味かったか?」


 やはり彼に悪いという自覚はなかった。

 

「そんな言い方、下級生がビビっちゃうでしょ~?」

「これは元々だから仕方ない」

「ごめんね~……海君、悪気はないの~」

 

 彼の代わりに彼女はバツの悪そうに謝罪する。

 この人、苦労してそうだよな~。


「悪気も何も、何も悪いことしてないからな」

「もう、そんなんだから生徒会以外誰も友達いないんだよ!!」

「別にお前が居れば友達が居なくても俺は満足だが?」


 うわ~、しれっと惚気る強者だ~!!

 流石の僕にでもわかる、この人は天然だ。


「はいはい、そう思うなら他の人にもちゃんと優しく接してください」

「それは無理だ、無理に優しくなんてできない」


 流石の高田さんも、二人ののろけを聞いて胸やけを起こしたのか、そっとこちらに戻ってきた。



 

 

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