第41話
まさくんはなんだか顔が強張っています。
きっと私達に聞かれたらまずいことを言っているのでしょう
「……大丈夫?」
「そう、ゲームの話してたんだ」
「へぇ~、何の?」
まさくんは高田さんが食いついてきたことに酷く動揺しています。
今、その言葉は必要とはしていないといった顔です。
っという事は私達に言えない事なのでしょう。
わかりみです、思春期男子の考えることなどきっと女子には言えないことに違いありません。
「面白いゲームないかって聞いてたとこ」
赤羽君も、まさくんに話を必死に合わせようとしているのがまるわかりです。
そんなんじゃ、梨乃ちゃんは騙せても私には全てお見通しなのですえっへん。
「へぇ~、成田君ゲームするんだ」
えぇ、それはもうありとあらゆる美少女ゲームをやってるでしょうとも。
私は知っています。
まさくんの部屋にちょくちょく遊びに行ってますし、まさくんの秘宝の隠し場所は全て把握済みです。
いつでも爆弾を落とす準備は完璧は万端であります。
って私は何を思ってるのでしょう。
「あぁ、少し嗜む程度にな……」
「やってるゲーム、見せて見せて~」
まさくん困ってますね。
それはそうでしょう。
私は大体知っているのでわかりますが、初対面で美少女のみが出てくるゲームは大抵の女子がドン引きです。
私は平気ですが、こういう系が苦手な女子はめちゃくちゃ多いです。
私の統計では、大抵の女子は現実のイケメンアイドルを追うので軽蔑する人が多い気がします。
意味が解りません。
手に入らない点では同じなのにやれ存在するからいいだの触れ合えるだの、結局は手に入らなければ何もかも同じ気がします。
だけど私は趣味を持つことはいいと思います。
ただ、それで争うのは私にはとっても不毛な争いにしか思えません。
「えっと……」
まさくんは思考を巡らせています。
「それで、何か用があるから来たんじゃないのか?」
話題をすり替えました。
まさくんはよくやったみたいな顔で赤羽君を見ています。
「あ、そうだった……私達PC部に入るんだけど、二人はどうする?」
本題を切り出しました。
入りたくありません。
まさくんお願いします断ってください。
「本当か、明美……」
「うん、まさくんが入ってくれるならだけど……」
嘘ですが、私はまさくんを信じています。
きっと入部を反対してくれるだろうと。
しかし、どうしてでしょう。
彼はとっても嬉しそうな顔をしています。
「……わかった、入ろう!!」
……は?
こいつは何を言ってやがります?
「それじゃあ決まりだな、俺も入るよ」
お前も何を言ってやがりますか。
殺意が湧きました。
まさくんに対して本気でしばきたくなってしまいました。
行きたくないとわかってくれているという期待を胸に膨らましていったのに、とんだ裏切りです。
「いいの? 運動部」
そうです、彼には運動部で汗水たらしてやるべきです。
PC部を推すべきではありません。
「別にいいさ、運動部よりお前らといる方が楽しそうだし」
なんか、青春ラブコメのキャラみたいなこと言いだしました。
今それを求めていません。
さっさと部活に入ってミンチにされて出荷されてきてください。
「それに、あの美人で巨乳な先輩に会えるなら汗臭い男子の部活よりよっぽど楽しみじゃねえか!!」
何を言ってるのでしょうこいつは。
今すぐ消してやりたいです。
私の代弁をするかのように梨乃ちゃんはゴミでも見るような目で彼を見ています。
当然でしょう。
女子の前でそれを言うのはない人からは殺意を、ある人からは侮蔑されます。
私の場合は殺意ですが。
「成田君、じゃあこれ渡しとくね」
「俺のは?」
「才斗のような邪な奴はPC部には要りません」
高田さんの鋭い視線で彼を見ています。
「そういうなよ、そんなんじゃモテねえぞ」
「あん?」
そう言っていると、チャイムが鳴りました。
「それじゃあ、放課後入部届出しに行くから記入よろしく!!」
そう言って私は梨乃ちゃんと共に席に戻る際に、振り返りざまに彼女は口パクでまた後でと言って私は席に着きました。
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