第30話 宝探し2 side.Cloe

 「ノアセンパイ、流石にやりすぎじゃないですか〜」

 「お前らも楽しそうにやってただろ。僕とお前たちは共犯だからもう何言ったって無駄だ」 

 「うわ〜、悪役顔〜」

 「大丈夫だクロエ、オレは最後までクロエの味方だ」

 それ友達が悪者と知って覚悟を決めた人のセリフじゃん。もう私が悪役だって決めつけちゃってるじゃん。

 そう思ったけど、口には出さず改めて周囲の状況を確認した。

 「…いややっぱ地獄絵図すぎるでしょ。ノアセンパイ、報復ありえますけど」

 私達の足元には、うめき声を上げたり、気を失ったりしている他寮生が転がっている。

 襲撃班の他寮本拠地を襲撃するのが上手くいったらしく、多くの他寮生がフィールドに出ていた。

 そいつらとちょうど遭遇し、とりあえず嫌がらせとしてクリームパイ砲をぶっ放したが、あまり効果はなく。むしろ相手はブチギレながら魔法を放ってきたため、あえなく交戦状態に入った。

 騒ぎを聞きつけた他の寮生もどんどん集まり、最終的に80人ぐらいを相手することになってしまった。大体1つの寮の寮生全員を相手するのと同じ数なので、他寮の戦力をかなり削れたと思う。

 うん、やりすぎかな〜。しみじみとそう思っていると、ノアセンパイは髪を結び直しながら答えた。

 「そんときはそんときだ。それにイリヤが教えてくれるだろ。なあ、イリヤ?」

 そう言って楽しそうに嗤う。するとイリヤさんからも、

 「ああ、もちろん。ボクが分からないわけ無いだろう?ちゃんと情報は抑えるさ」

という返答があった。

 ほらな、とノアセンパイは言い、移動を始める。慌てて私とモームはノアセンパイに着いて行った。


 時々イリヤさんから情報をもらいながら、探索を進める。さっきの戦闘以外特に何もなく進んでいるので少し暇になり、モームにあることを提案しようとした。

 「ねえモーム、今から ___ 」

 でも、その先をノアセンパイに遮られる。

 「状況が変わった。今から僕は宝探しに本腰を入れて行く。二人は変わらず嫌がらせを続けていいけど、絶対に一人になるな。もし離れることがあるなら、10メートル範囲までにしろ。良いな?」

 真剣な表情でノアセンパイは告げる。その言葉の端々に余裕がないことを感じ取れた。

 ふざけたら死ぬ、と分かったので大人しくモームと頷く。それを見たノアセンパイは、一瞬のうちに姿を消した。

 「…え、今の何?忍びですか、ノアセンパイ」

 「一瞬過ぎて何が起きたかわかんなかったなー。もしかしてアレもノア先輩の魔法インクなんかね」

 何が起きたのか分からず混乱してしまった。ある程度モームと話して、なんとか落ち着く。

 とりあえず、とモームは言った。

 「オレたちはノア先輩の指示通りにしとくか」

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