第14話 文化祭準備 2 side.Kai

 「ふ、ふは、ふははははは。ふはははははははは!」

 三段笑いを行ったジグさんは、俺たちの方に向き合う。そして、いつもは俯きがちな顔を上げて、笑顔を見せた。

 「さあ、諸君っ!とうとうこの時期がやってきた。我々レイヤーの成果を見せる時、それがこの”撮影会”だっ!!」

 横にいるクロエをちらりと見ると、混乱している。知らないから、当たり前だ。去年俺も同じ状況だった。

「内容は去年と全く変わらない。一つ違うのは、先駆者である先輩方がいなくなったこと、そして新たな仲間が増えたことだ!」

 そしてジグさんは、バッ、という効果音がつくぐらいの勢いでクロエを見る。他の先輩方、同僚もクロエに注目し、ほぼすべての視線が彼女に集まった。

 ビクッ、と彼女は体を震わせ、助けを求めるように俺を見る。…ごめん、俺でもどうにもできないや。

 「各々考えてきた案があるんだろう?それの準備は万端か?やり残しはないか?」

 ジグさんは再び前を見て、ここにいるレイヤーたちに問いかける。すると、何人かは気まずそうに顔を伏せた。

 その様子を見て、ジグさんは”やはりな”というように頷いた。

 「…そうだろう、まだ終わっていない者もいるはずだ。よって、今から”文化祭”が始まるまでの間、我々”撮影会”チームはコスプレの準備、そしてその手伝いをメインに行う。コスプレの内容にそった班分けをするので、班ごとに集まって話し合い、また着手できるものは先に準備を始めてくれ」

 いつの間にか手に出現させたメモを持って、班分けの発表を行い始める。未だにクロエは混乱しており、頭にはてなを飛ばしていた。

 「…クロエ、大丈夫?まだ混乱してるか?」

 「…うん。あの人って、ジグセンパイだよね。印象がぜんぜん違うから、滅茶苦茶ビビった。カイ、あの人って去年もそうだったの?」

 うん、とうなずくと、クロエは小さく

 「そっか……」

 と呟く。

 そうこうしている間に、俺とクロエの名前が呼ばれた。

 「カイ、クロエ。二人はレイヤーじゃないから、寮長との連絡係を頼む。後は、作業の進みが遅い班の手伝いと、その報告をしてくれ。…この後は全部作業だから、二人は今日はここで解散して良い。お疲れ様」

 「「お疲れ様でしたー」」

 俺とクロエは報告係になった。…結局去年と同じか。去年もレイヤーじゃない先輩方と組んで、報告係をやった。ホウ・レン・ソウがしっかりしてるからそこまで俺たちの活躍はなかったが、代わりに練習台として色々着せられたし。今年もそうなるんだろうな。

 一応クロエにそのことを伝えておくと、彼女は驚いた顔をした後に、顔をしかめてこう言った。

 「え、絶対したくない。それ捕まったらいかん奴や」

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