第2章 文化祭

第13話 文化祭準備 side.Cloe

 「っということで、今から文化祭の出し物について話し合おう。意見、アイディアがあったら、前の”モニター”に打ち込んでくれ」

 「はいイリヤー。しつもーん」

 「なんだい、ダルク」

 「今年のステージはどこー?」

 ダルクセンパイの質問で、その場が静まり返る。イリヤさんは、静かに笑って言った。

 「ウルフシン寮だよ。ロキに聞いたら、演舞をやるってさ」

 「「「よっっっし!!!」」」

 そして、センパイたちはガッツポーズを決め込む。よほどその”ステージ”とやらをしたくないんだろう。…”ステージ”ってなんだろ。

 「じゃあ、話し合い始めて。質問あったらボクのところに来て」

 イリヤさんの合図で、周囲のセンパイ方が話し出す。何を話せば良いのかわからなくて途方に暮れていると、カイが話しかけてくれた。

 「クロエ、こっちで話そ。クーとモームもいるから」

 クー、モームはカイと同じ二年生で、私が来る前はよくつるんでいたらしい。そこに私が加わって、現在の形ができている。私に同期の子がいなくて、それを哀れんだクーの慈悲もある。

 「クロエ、今まででなんか質問ある?」

 クーは私に尋ねる。丁度いい機会なので、”ステージ”とやらについて尋ねてみた。すると、クーは苦い顔をする。

 「…ステージはね、ちょいと我らに厳しいものですな。だって、大衆の面前で出し物を寮生全員で行うものなので」

 「え"」

 それは納得。私なら絶対にやりたくない。人前に立って出し物をするって、よっぽどクオリティが高くないとだめじゃん。

 私の様子を見て、うんうん、そうだよな、という風にカイとクーはうなずく。モームだけは頭にはてなを飛ばしていた。

 「それで、何か案がある者はおりますかな?」

 「…と言われてもな。基本、ウチは販売会と撮影会だろー?じゃあ、そのままでいいんじゃねーか?」

 まあ、確かに。前に表示されている”モニター”を見ても、販売会、即売会が出ている。というか、それ以外出ていない。さすがシャドウラフ。面倒なものはしたくない精神が見て取れる。そこも含めて私はこの寮を選んだんだ。

 「…やっぱり、みんな同じことを考えてるよね。ボクもコレでいいのに、なんで校長はわざわざ聞いてくるのかな」

 まあ良いや、とイリヤさんは呟き、シャドウラフ寮生全員に告げる。

 「じゃあ、今年も販売会、即売会をするってことで報告するね。みんな、解散!」

 結局私達は何の案も出さずに話し合いが終わってしまった。

 イリヤさんの号令の後、販売会リーダーのノアセンパイと撮影会リーダーのジグセンパイが寮生を呼び始める。

 「ああ、今から準備の為のチーム分けなんだよ。多分クロエは撮影会の方に回されるんじゃないかな。綺麗だし」

 モームが横に立ち、説明の後にさらっととんでもないことを言う。…だが私は動揺しないぞ!前世よりも遥かに顔が良いのは知ってるからな!

 「…あ、やっぱりな。ほらクロエ、ジグに呼ばれてんぞ。カイもあっちだから、頑張ってなー」

 モームはまたな、と手を振って、販売会側の方に言った。…え、やば、イケメン。

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