第1章 出会いと再会
第1話 転生 side.Cloe
「死後の、世界…?」
「つまり、私達は死んだってことですか…?」
恐る恐る尋ねると、天使?さんは申し訳無さそうに頷く。嘘だ、と思いたいが、現に私達はさっきとは全く違うところにいる。これはもう、信じるしかないだろう。
「…先程、あなた達はトラックに轢かれて亡くなりました」
駄目押しで天使?さんも死因を告げる。…トラック。確かに、ここに来る前に最後に目にしたのはトラックだった。そっか、私達、轢かれて死んだんだ。
そう思ってしんみりしていると、何故か天使?さんが涙目になる。美形が崩れて大変可愛い…じゃなくて、いきなりどうしたんだろう。情緒が安定していないのだろうか。
とりあえずハンカチを差し出し、涙を拭くように無言で伝える。天使?さんは素直に受け取り、遠慮なくハンカチに顔を突っ込んだ。すでに使ってしまっているやつだが、許してほしい。
やがて、天使?さんは落ち着いたのか、ずび、と鼻を鳴らして話し始めた。
「実は、あなた達は今日死ぬはずではなかったんです。本来、あなた達の寿命はもっと先で尽きて、新たな生命になるはずでした。ですが、…あの、ほんっとうに申し訳ないんですが、」
うんうん。先の展開が読めてしまったぞ。
「実は、…こちらの、手違いで今日、あなた達を死なせてしまったんです…!」
やはりか。本当にあるんだ、こんな展開。再び泣き出し、ハンカチに顔を押し付けた天使?さんを見てそう思った。本来なら「手違いで死なせるな」、と言いたいところだが、なにぶん実感がわかないためなんとも言いようがない。…ああ、でも。
「せめて、親に伝えたかったな…」
思わず口から溢れる。天使?さんは私の言葉にビクリ、と方を揺らして反応した。そして、更に泣き始める。
「ほ、本当に、申し訳ありません…!ま、まだ未来があったのに…!」
うわぁ、顔グッチャグチャ。美形とわからなくなるほど、天使?さんは泣きまくっていた。鼻水も流している。
「うう、グスッ。そ、それでなんですが、おふたりとも、…て、転生してみませんか?」
転生?転生って、あの転生?
「「してみたいです」」
すぐに返事をする。同じことを思っていたようで、言葉が被った。
手違いで死んでしまったことも忘れて、天使?さんの話を聞く体勢に入る。天使?さんは安心したように笑った。そして、転生についての説明を始める。
「本来、イキモノには決められた時間の中で生きることになっています。しかし、お二人はこちらの手違いで、まだまだ未来がある中で亡くなってしまいました。…なので、時間がたくさん余っているんです。この時間はお二人にしか消費できませんし、余らせたままにしておくと時間に歪みが生じます。こちらの都合を押し付けてしまうのですが、この時間は消費してもらわないといけないんです」
つまり、その時間を消費するために、転生すると。時間の歪み…、ディ◯ルガが暴れまくったポ◯モンの世界みたいになるってことか。それは大変。
「こちら都合を押し付けることになるので、転生する世界、また要望は何でも聞きます。…どうです、転生、してみませんか…?」
恐る恐る天使?さんは尋ねる。私達は再び、うなずいた。
「「ぜひ」」
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