手違い死→好待遇で、異世界へ!(with親友)
あしゃる
プロローグ
二人の少女が、信号を待ちながら会話をしている。周囲の人には微笑ましい状況だが、その話している内容は全く微笑ましくなかった。
「いやだから、ヒロインはアスちゃんだって!だってヒーローをかばって死んだんだよ!?もう忘れられないじゃん!」
「は、正気?ヒロインはキノさんに決まってるっしょ!誰もがいなくなる中、キノさんだけはずっとヒーローの側に居続けたんだべ!?もうキノさんがヒロインでしょ!」
どのヒロインがヒーローにふさわしいか、口論を行っていた。何もわからない人からしたらそれでも「微笑ましい」と思うかもしれないが、本人たちは真剣だ。下手に口を挟めば、彼女たちは「宣戦布告」と受け取り、更に激しく口論するだろう。
カッコー、と信号が鳴り、周囲の人が動き出すのに合わせて二人も動き出した。だが、口論の勢いは衰えない。
「…よろしい、ならば戦争だ」
「迎え撃とうではないか」
決着がつかないと判断したのか、二人は実力行使に出ることに決めた。詳しく言うと、ヒロイン候補のプレゼンテーションである。
スマホを取り出し、推しヒロインの画像を見せ合う。…と。
「危ないッ!!!」
誰かの切羽詰まった声が、背後から聞こえた。二人は同時に振り返り、そして、
キキーッ、ドンッッ!!!!
横断歩道に突っ込んできたトラックに、轢かれてしまった。
「…ません、本当にすみません!」
遠くの方で、声が聞こえる。また誰かが叫んでいるのかと、はっきりしない意識の中で二人は思った。
「ああ、本当にどうしましょう、手違いで死なせてしまうなんて!」
突然声が鮮明になり、二人の意識が上昇する。
目を覚まし体を起き上がらせると、そこには奇麗な男性がいた。全身を白い服で包み、暖かな光にあふれている男性。その姿はまるで___
「「…天使」」
「ああ、良かった!目を覚まされたのですね!」
思わず呟いた二人の言葉に反応し、その男性は安心したように笑みを浮かべる。心から、ホッとしたような。
「あの、ここってどこですか」
その男性に目を取られていた二人だが、周囲が先程までいた道路と違う空間であることに気づく。周囲には、何もなく、見渡す限りの白、白、白。
現実味がまったくない空間に、二人は不安がった。ここはどこなのか。どうしてここにいるのか。なぜ、二人だけなのか。
様々な疑問が二人の胸の中に飛び交っている中、男性は言った。
「大変、言いづらいのですが…。ここは、死後の世界です。」
二人の思考は、そこで止まった。
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