第2話 転生特典 side.Cloe

 「…ありがとうございます。では、転生する世界の要望をお聞きしますね」

 天使?さんは目をうるませながら、要望を聞く。要望、要望か…。

 「すいません、ちょっとばかし待ってくれますか。ちょ、ちょっと色々渋滞してるんで、整理させてください。」

 流石に重大な決断なので、時間を取ってもらう。良いですよ、と天使?さんは頷いたので、どこにする、と二人で一緒に話し合いを始めた。

 「…できれば〜魔法がある世界が良いな〜」

 「あーそれわかるー。で〜、文明育ってる感じが良いなー?」

 「うんうん、そんな感じだよねー。」

 「じゃー決定で良かですね」

 話もまとまったので、天使?さんに向き合う。そのまま、転生したい世界の要望を伝えた。

 「私達が転生する世界は、同じにしてください。それで、世界の要望なんですが、まず、魔法が使える世界にしてください。次に、その世界の文明が、地球と同じ文明レベルにしてください。なので、どっちかって言うと、異世界、というより魔法が使える世界線の地球、みたいなところに転生させてください。あと、サブカルチャーが栄えていると嬉しいです。…特に、シブさんみたいなのがあるぐらい、栄えていると嬉しいです」

 全て言い終えて、欲張りすぎたかな、と不安になる。恐る恐る天使?さんを見ると、天使?さんはニッコリと笑っていた。

 「…あの、駄目だったら構わないので、なければもうどこでも良いんで、欲張りすぎてすみません…!」

 何を言われたわけではないけど、なにか言わなきゃいけない気がした。なので、精一杯言い訳を述べる。

 「大丈夫ですよ。…お二人が要望した世界は、こちらでは”ウラ”と呼ばれていますね。ここに転生しますか?」

 あったんだ。…良かった、あって。ホッとし、互いにうなずき合って、私達は言った。

 「「お願いします」」


「では、転生する世界は”ウラ”になりますね。」

 天使?さんは変わらず笑いながら、話を続ける。

 「次に、その世界での要望をお聞きしますね。お二人の世界で言う、転生特典です。規定が許す限り叶えられるので、何でも言ってください。…あと、遠慮はしないでください。元はと言えば、こちらの手違いで死なせてしまったんですから」

 うっわー…、良いヒト過ぎる。"何でも"って、かなりの高待遇なのに、さらに何回も聞いてくれるなんて。なんか、申し訳なくなってくる。

 「いくらでも待てますので、要望がまとまったらお伝えしてください」

 「すいません、ありがとうございます」

 とりあえずお礼を言い、再び二人で話し合う。何が欲しいか、何がやりたいか。それをメインにして、話し合った。

 「…やっぱり第一条件として、スマホっていうかシブさんが見れるようにしたいよね」

 「そこメインで行きますか。んで、そっから容姿だの能力だの決めてこ」

 「おけ」

 体感にして、三時間ちょい。そのぐらい経って、やっと要望がまとまった。

 「…どうやら決まったようですね。では、要望は何でしょうか」

 「「要望は___。」」


 「了解しました。まだ規定の範囲内なので、こちらでおまけを付けておきますね。お二人にとって害があるものではないと思うので、ぜひ受け取ってください」

 まだ言えたんだ。ありがたく受け取っておこう。

 「それでは、”ウラ”へ転生しますか?」

 「「はい」」

 返事をきっかけに、周囲が光に包まれる。段々と意識が薄れていく中、天使?さんの声が聞こえた。

 「いってらっしゃい、良い人生を!」

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