第27話 作戦会議1 side.Kai

 「え〜、皆の推薦でリーダーになりましたノアでぇす。皆、僕の指示に従えよ」

 副寮長が”実動”のチームのリーダーになり、初めて言ったのがこの言葉。副寮長、本当ボス面が得意だな。

 「じゃ、まず2つの班に分けまーす。各寮の本拠地襲撃と、マジモンの宝探しをする班ねー」

 ”宝探し”は野外でするらしく、各寮ベースキャンプのような感じで本拠地を構える。副寮長が言うに、そこを襲って他寮を混乱させようという作戦だそうだ。情報系統の破壊は確かに痛手になる。

 「ちなみに、これ立候補制だから誰も出ないとなると僕が勝手に決めるからなー」

 ザワッ。

 副寮長の言葉で、皆がどよめいた。

 「はーい、オレ宝探しの方〜」

 すぐにモームが名乗り出る。副寮長は頷き、モームは宝探し班に分けられた。

 それを見て、他の皆もどんどん名乗り出る。

 「ワシ襲撃」

 「あっしは襲撃ー」

 「ぼくも襲撃」

 皆が希望したのは、ほとんどが襲撃班だった。…なんというか、やっぱり腐っても”シャドウラフ”なんだな。面倒なことをしたくない精神が希望にでている。

 「私は宝探しの方入りまーす」

 そんな中、クロエは宝探し班に立候補した。じゃあ俺も決まりだな。

 「俺も宝探しに入る。…もちろんクーも一緒だよなァ?」

 「は!?いや拙者は、ぁぁあ待って引っ張らないで!!」

 道連れとしてクーも宝探しの班に引き入れる。クーは抵抗していたが、問答無用で引きずった。

 「…よし、決まりだな。僕は宝探しの方に入るから、襲撃の方は…ダルク!お前がしきろ!」

 「了解〜」

 副寮長は人数を確認し、そう宣言する。ダルクさんは頷き、襲撃班を仕切り始めた。

 「さーて、お前ら。僕達の班は、全員で5人だ。これが何を意味するか、分かるか?」

 「…拙者はそもそも入ること希望してなかったんデスケド」

 クーが不満げに呟くが、副寮長は気にせず続ける。

 「宝探し班は、たった5人で他寮との宝探しレースに参加することになる。しかも、探すふりをしつつ、他寮への嫌がらせをしなくちゃならねえ。…いいか、お前ら。ブラック労働、万歳精神で望むんだぞ」

 ブラック労働かぁ。できれば一生ニートのままが良いですとは言えねーしな。うわぁ、ブラック労働かぁ。

 「カイ、なんか言いたいことあんなら聞くど?」

 「…ねえでさあ」

 聞かれたってどうしようもない。なので俺は、諦めて首を横に振った。満足気に副寮長は笑う。

 「……そういや、イリヤから伝言預かってたな。”頑張った子には寮長権限で願い事をひとつ、叶えてあげる”、だとよ。ブラック労働の先には、良いことが待ってる。お前ら、気合い入れて頑張るぞ」

 なっ、と楽しそうに副寮長は言い、それにつられて俺たちも笑った。

 しょうがない、ブラック労働万歳精神で働いてやるよ。他寮に全力で嫌がらせをしてやる。

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