第22話 文化祭6 side.Cloe
文化祭二日目。
今日は一日中自由に動いて良い日なので、文化祭メインの”ステージ”を見に行こうと思う。…前に”殴り愛”をしたエンギルさんの様子も確認したいし。
「モーム、”ステージ”一緒見に行く?」
「んー…、そうだな、行く」
同じく今日は自由のモームと共に行くことになった。
「おい、ちょっと、モームてめっ」
「はーい激重セコムは配置に付きましょうね〜」
なんか後ろの方でカイとクーが争っている声が聞こえるが、面倒なので無視をする。そして、準備をしているセンパイたちに声をかけて寮を出た。
「結構人多いんだね〜。これ収入結構入るんじゃね?」
「ああ、毎年儲けてるらしいぜ。中でも特に”シーフワイト”はめちゃくちゃ儲かっているらしい」
モームとそんな事を話しながら校内を回る。各寮ごとに様々な出店やブースを出しており、その内容も各寮の特色を十分に生かしていて面白い。
例えば、先程話題に出ていた”シーフワイト”のブースでは、様々な魔法薬・魔法道具の販売や、占いを行っていた。
「確かに、学生でここまでのクオリティのモン出したらそら儲かるな。品質高すぎて語彙力なくなるレベル」
「だろー?ま、ウチの寮もかなり儲かってるらしいけど」
占いの客引きを避けながら”ステージ”が行われる体育館へ向かう。体育館は異様な熱気に包まれており、なんというか、…ムサかった。
「やっば、熱気すご。ムサい」
「はは、クロエしょーじきすぎ。確かにムサいけど、それ言ったら相手方は傷つくぞ?」
「モームも言ってるやんけ」
偶々前列の席が空いていたので、モームと一緒に座る。周囲を見回すと席はほぼ男性で埋まっており、しかもなんか厳ちー方々で埋まっており、なんか申し訳ないけどムサいのも納得だった。
そんなこんなで話していると、体育館の照明が落ちる。同時に周囲からざわめきが消え、一気に静寂が広がった。
「…始まる」
ダンッッ!!!!
大きな音がステージから聞こえ、私達観客の視線を釘付けにする。
そこに居たのは、鍛え抜かれた上半身を堂々と見せているウルフシン寮生。
その筆頭である寮長のロキセンパイが、足を一歩踏み出していた。
下がっていた顔を上げ、正面を見据える。と同時に、大きく手を打ち鳴らした。
それが合図のように他の寮生たちも動き出す。
「…きれー」
無意識に口から溢れる。それぐらい、ウルフシンの演舞は奇麗だった。うん、もう奇麗。凄いとかじゃなくて、奇麗。普通は”演舞”って聞いて”自己満おつwww”とか思うけど、全然そんなレベルじゃない。金取れるレベルで上手。
…あと、なんかこう、
「えろい、な」
うん、エロい。モームが呟いたその言葉に頷く。モームもそう思うよな。目線とか表情とか色っぽい。なんだよその流し目。クーが居たら喜んで新刊のネタに使うぞ。
色んな意味で私達がドキドキした演舞は、ロキセンパイの
「以上でステージは終わりです。ありがとうございました」
というセリフで終わった。
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