第9話 各寮紹介 side.Cloe

 …”海”、イケメンだったな。あれもやっぱ、転生特典だったのかな。

 「クロエ、”クラス”の説明を始めてもいいかい?」

 「あ、うっす。お願いしまーす」

 イリヤさんに尋ねられたので、思考を切り替える。うん、”海”のあれは転生特典。私とおんなじ。

 「まず、ノルン校にある寮について説明しようか。」

 そこからイリヤさんは、ノルン校を代表する6寮について説明してくれた。

 「ノルン校には、6つの寮があって、それぞれ異なった特徴を持っている。簡単に言うと、ウチ、”シャドウラフ”は情報、”ウルフシン”は荒事、”パールアイ”は探査、”プラムディア”は治療、”シーフワイト”は研究。この内、”ウルフシン”と”プラムディア”はその寮の性質から、他校の”シヴァ校”、”ミネルヴァ校”と連携を取ってる。…”プラムディア”はまだいいけど、”ウルフシン”はちょっと荒い人が多いから、気をつけてね。特に、下級生は」

 そんなテンプレにも近しい寮があるんだ。何かで巻き込まれたくないので、うん、と頷いた。

 「…あと、これは個人的なものなんだけど。”シーフワイト”の寮長には、なるべく遭遇しないようにしてくれるかな」

 「遭遇、ですか」

 「うん、遭遇。クロエは、カイと”同じ”なんだろう?だったら、絶対に目をつけられるからなるべく遭遇しないようにしてくれ。もし遭遇したら、ボクの名前を使っていいから」

 …”同じ”って、イリヤさんはなにか知ってるのかな。でも、何をするでもない感じだし。ノータッチでいいか。

 「イリヤさん、”使う”ってどういう感じにですか?」

 とりあえず、気になっていたことを聞く。普通、人の名前を”使う”って表現はしない。それに、使うとしても使い方がわからない。

 それを聞いたイリヤさんは、ハッとした顔をした。イケメンなので、そういう表情をされると萌え禿げそうになる。

 「そっか、クロエはまだ知らないか…。”使う”って言うのは、シーフワイトの寮長が来たときに近くにボクがいるって名前を出すんだよ。そしたらヤツは行くと思うから」

 ヤツぅ…。もうヤツって言われちゃってるぅ…。まだ会ったことはないけど、現時点でシーフワイトの寮長のイメージが壊れてしまった。学校紹介パンフレットで見たときは高貴なイケメンって感じで紹介されていたのに、今はもう残念ストーカーイケメンと言う印象しかない。

 「…いろいろ話が脱線したけど、これで各寮の説明は終わり。次は、授業とクラスについて話そうか」

 「は〜い」

 そして、イリヤさんは授業説明とクラス説明を続けていった。


 今回の説明でわかったこと。

 シーフワイトの寮長は、残念ストーカー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る