第33話 宝探し5 side.Cloe

 地雷女を演じたら、プラムディアの寮長に追いかけられました。

 「モーム、酔ってない?」

 「おー、だいじょーぶ。むしろ最高」

 走りながらモームに尋ねる。モームはニコニコしながらいい笑顔で答えた。

 「つーかクロエ、重くねーの?」

 「いや、全然。重いって感じじゃないよ」

 現在、私はモームを担ぎながら走っている。何故かって?担いだほうが、周囲の警戒をしやすいからだよ。

 「まじか、クロエイケメンだな。じゃ引き続き、後ろの警戒は任せろ」

 「いや、モームもイケメンだよ。まかせた」

 こういう事サラッと言っちゃうからモームはイケメンなんだよな〜。好きになってまうて。

 「…あ、来たぞ。すごい形相」

 こんな会話を繰り広げながら走っていると、とうとうプラムディアの寮長さんに追いつかれてしまったらしい。モームの雰囲気が一気に変わり、緊張をはらんだ声になる。

 「じゃあもうちょい速くするね。モーム、揺れる…よっ!」

 捕まったら間違いなくボコボコにされると分かっているので全身に魔力を巡らせ、身体機能を強化する。そして、走る速度を上げた。

 正面から受けている風が強くなっているので、目が乾く。

 「あ〜目薬欲し」

 「この速度出しといてンな事言えんのクロエだけだぞ」

 小さく呟くと、モームは若干引いたような表情を浮かべて言い返してきた。だって乾くんだもん。しばしばするもん。

 反論したかったが、新たに参戦者が出たことでできなくなった。

 「面白そうなことやってんなァ、レン。俺も混ざらせてもらうぜ」

 「勝手にしやがれ荒くれ野郎が」


 プラムディア寮長に加え、ウルフシン寮長参戦!


 ス◯ブラじゃないんだから、参戦しないでほしい。切実に、そう思う。

 「モーム、イリヤさんからは何も来てない?」

 「来てねーな。オレたちでなんとかしねーと」

 「うえぇ、まじか。じゃあ、魔法で足止めできる?流石に寮長二人とランデブーはキツイ」

 「りょーかい。クロエ、運んでくれてありがとな…っと」

 グンッ、とモームは体を捻って地面に着地する。そして、寮長二人と向き合う形で立ちはだかった。

 「お二人さん、何でオレたちを追いかけるんですー?オレたち、ただの寮生ですよ?」

 「さっきお前らのお仲間もんなこと言ってたぜ」

 「テメエらが”影”の時点で”ただの”は消えるんだよ」

 …あれ、なんか物騒な空気になってきてる気がするんだけど。もしや、お二方も魔法を使おうとしてらっしゃる?

 「だからよォ、テメェらは潰すッてさっき決めた」

 あ、モームがヤバい。


 「モームッッ!!!!”全力で逃げろ”!!!!」

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