概要
僕は死者を演じる死写体
昭和二十八年の東京中野区に一軒の写真屋があった。店の名は写命館。そこの住み込みとして世間で賑わせる美貌を持つ坂下賀楽は持って生まれた死を体現したような雰囲気から死者を演じる死写体を生業としていた。しかし東京では人間ハンバーグという戦後最大の猟奇事件が立て続けに起こっていた。中野区の良家である篝家が事件と関わっているという事を知り、写命館店主の落合善太郎の知人であり刑事の五十嵐から篝家で情報収集を頼まれる。写真屋の二人が事件に関わる間にも次々と人間ハンバーグが東京で成形されていき、やがて二人も事件に本格的に巻き込まれていく……。