諜報員明智湖太郎

作者 十五 静香

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★★★ Excellent!!!

主人公は明智湖太郎は皇国共済組合基金に勤務する青年。

しかしそこは表向きは陸軍の福利厚生を業務としているが実はその実体は「無番地」と呼ばれる陸軍中野学校傘下の諜報機関であり、彼もそこに所属するスパイの一人です。

物語は憲兵隊の大佐の娘に脅迫状が届き、明智が護衛を命じられるところから始まります。

冷徹で隙のないハードボイルドな男たちの血を血で洗う暗闘が描かれることになる……のかとおもいきや、主人公はスパイでありながら女性が苦手で真面目気質で自分より有能な同僚にコンプレックスも抱いている、人間味あふれる人物です。

展開も「犯人当て」や「暗号解読」などミステリ要素を交えつつ、個性あふれる仲間たちと事件を解決していく、良い意味で重い展開にならない読みやすさがあります。

ストーリーとしては五つの中編となっていて、アクションもあればコメディもありロマンスも絡めている飽きの来ない構成です。

文章も昭和中期のどこか危うい時代の雰囲気を醸し出しながらも、丁寧に人間描写がされているため、とても入りやすく楽しめる物語となっております。

最後までスムーズに楽しむことができました。


★★★ Excellent!!!

随分と前に放送された深夜アニメ「ジョーカーゲーム」に表面上は似ています。戦前戦中に暗躍した日本の諜報機関が本作品の舞台です。
江戸川乱歩の明智小五郎をイメージした方は最初に肩透かしを食うかも知れませんが、読み始めれば直ぐに嵌ると思います。寄って来た探偵小説ファンを裏切る事は無いでしょう。
諜報事件を題材にしているものの、最大の魅力は機関所属員たちのキャラです。思わず声援を送らずには居られません。
本作品はオムニバス形式なんですが、飛ばし読みは勧めません。エピソード毎の緩急が心地良い。作者の計算したレールに身を任せるのが妥当です。
最後のエピソードは胸を熱くしますよ。そんな心意気の諜報機関が存在していたなら…。後の歴史を知る我々は、だからこそ、登場人物たちを応援してしまうのかも知れません。

★★★ Excellent!!!

戦前の空気といえば軍靴の音などに代表される不穏さがまず出てきますが、ここに描かれている世界はその基本を抑えつつも、筆者の遊び心がふんだんに込められているなと思いました。

ちょっとタイトルからはギャップのある作風なんですけど、しかしそこがいいです。なんというか軽さがあるんですよね。その空気がステレオタイプな既存作品の上に積み上げられている感じです。とはいえシミーズや省線、無線機なんて単語を積極的に使ってるあたり、ああ凝ってるなあ、好きなんだろうなあ、と思ってしまいました。私もこの時代好きなんで楽しかったですね。

で、そのベースになってるのはやはりキャラクターですね。ミステリでもあるのですが、これはキャラクターです。キャラクターがいい。現代風で女性受けしそうな容姿、抜けた性格。周囲もそれにフィットした感じでドラマを盛り上げてくれるのがいい。食べたいものを食べてなにが悪い(笑

大きく動いている時代を軽やかに飛び交う登場人物たちは、時に人情ものを演じたりブロマンス的な雰囲気を出してきたり。硬派でお茶目で楽しい作品です。ぜひ読みましょう。昭和15年を好きな人も、そうでない人も。

★★★ Excellent!!!

第二次世界大戦の影響、それは何も戦地や人に及ぶだけのものではない。日本中、いや世界中を動かしうるその最先端に、「彼ら」はいる。

陸軍が生んだ幻のスパイ組織「無番地」の青年たちは、誰もが羨む能力を全て備えた精鋭たち。高級官僚への切符をいとも簡単に捨てた明智は、「日本を陰から直接動かす」諜報員として暗躍し始める。

そんな明智には、ある欠点があったーー。


スパイという生き物は、信念のためならどんなことだってする。人間として失格であっても、スパイとして合格であればその道を選ぶ。
それが定説といっても過言ではない。が、この物語は違う。

スパイである前に人であれ。
人間離れした能力を持っていても、その裏に必要なのは人間の心。

スパイにとって非常に難しい理念を持ちながら、「人間として生活しながらのスパイ活動」に励む面々たち。そして、人間離れした活躍。

濃い、濃い、とにかく内容が濃い。

カクヨムの中でも珍しいミステリの中でも、ひときわ際だつ作品です。
カクヨム史上最高のスパイ小説であると、断言しても良いでしょう。

とにかく最高でしたので、続きを待っております。
いや、続きがないとか関係なく待っております。

★★★ Excellent!!!

イケメン有能スパイが帝都を闊歩し難題をスラスラと解決する……わけではなく、むしろ内なる弱さと葛藤しながら成長しようともがく男の物語でした。

うん、そこがいい!つい主人公に引っ張られて、ぐいぐい読んでしまいます。

とはいえこの作品は各種イケメンパラダイス……あなた好みのイケメンを探しにきてみては!?

★★★ Excellent!!!

ようやく読了いたしました。
スパイ、と言えばどこかお堅いイメージを持っていたのですが、そんなことはありませんでした。いえ、確かに文体も舞台背景も戦前ということで硬派ではあったのですが。

戦前の昭和の風景なんて、映画やアニメーションなど画面の中でしか見たことがないですが私の中にある昭和風景を脳内に浮かべ、キャラクターの動きを追いかけていました。
読み進めていけばいくほど、世界に引き込まれてしまう。

特に、主人公の明智には毎話毎話「頑張れ!」と応援していました。
硬派でやや神経質な彼は、俗に言うイケメンであるのにどこか残念……各話で女性に振り回される様子がなんともコメディですね。面白いです。
また、同期のスパイたちにもいじられからかわれ……本人はいたって真面目なのに、それがかえって残念というかなんというか。本当に、頑張れ!と応援したくなります。かっこいいシーンも勿論あるのですが、翻弄されている彼の方が私は好きです。
明智のみならず、登場人物たちは個性的で一癖も二癖もありますね。
第二話なんかは、ほぼ全員集合なので彼らの生き生きとした表情に悪巧み(?)にもまた笑わせてもらいました。

そして、キャラクターだけでなく物語もしっかりとミステリーを完成させているので読み応え満点です。
スパイと言えば、どことなく冷たい機械的なイメージで……しかし、彼らに出会ってその考えはなくなりました。明智をはじめ、各々持つ過去もチラリと垣間見え、そこにはしっかりとドラマがあります。

人情味溢れるスパイミステリー、読んで損はありません。




ラスト、私は「ここで終わり!?」と残念に思ってしまいました。続きを待っていたために。
短編行ってきますね。

★★★ Excellent!!!

とにかくキャラクターの個性が豊かな作品である
誰一人として溢れること無く、一つの人格として話の中に存在出来ていると思う。
キャラが魅力的なので、一層話も面白い。
一通り読破した後は、それぞれのキャラに焦点を当てて読み直したいとも思える(そして実際やったら、また新しい発見があって楽しかった)。

★★★ Excellent!!!

冒頭で語られる諜報員誕生のくだりは、どこかで聞き覚えのある設定でしたので、
007やカクヨムを運営している所から出版されているジョーカーゲームのような物語かなと思いながら読んでいました。
期待が良い意味で裏切られだしたのは、主人公である明智氏の
人間性や考えに筆を踏み込んでこられた辺りからでしょうか。
カッコいいだけでは無く、温かみやコミカルな面も持ち合わせている
彼の人間像がゆっくりと見えて行きクラスタの一人になってしまいます。
物語を盛り上げるミステリーや仲間の存在も丁寧に書かれていますが
やはり主人公の主人公たる存在感が秀逸でリアリズムに溢れています。

評価200越えは伊達じゃない。そんな読後感です。


このような作品を投稿してくださった作者様に感謝のエールを贈ると共に、
この作品に出合わせてくれたカクヨムにも感謝します。

★★★ Excellent!!!

 面白いんですもん単純に。
 そりゃ星もレビューも一杯あるのもわかりますし、私なんぞの宣伝文句なんてあってもなくても一緒だから書きたくないし書く必要も本来ないわけでして。

 でもまあ仕方なく書きますと、洒脱な語り口が本当に巧い。イケメンで能力も高いけどちょっと残念な主人公明智そのものといった感じの地の文で、プロローグを終えた1話目からもう引き込まれますし安心して読めます。

 もういいでしょうか? 何度も申し上げますが私ごときのレビューなどそもそも不必要な完成度なんです。それでは続きを読んできますので。


★★★ Excellent!!!

ソシュール曰く、言葉にはフィニシアンとフィニシエなるものがある。例えば浪漫と書いたら、ちょっとハイカラな印象がする。これがフィニシエだ。本作はそういう、言葉が孕む情景を見事に使い、日帝時代を表現したスパイミステリだ。

筆者は第1章までしか読めていないが、帝国陸軍が出てくるだけでご飯三杯食べれる人や、豚骨系ではない塩味ベースのさっぱりとしたミステリが好きな人は特に本作をお勧めする。

日帝時代の日本の情緒を鮮やかな文体で描く本作は、紛れもなく第2回カクヨム大賞ミステリ部門の予選通過に恥じない力作である。

★★★ Excellent!!!

私の好きなミステリーにて、第2回カクヨムWeb小説コンテストで読者選考を通過した人気作品ということで気になっておりました。
ただ昭和、しかも戦前のスパイ小説ということで、硬派な物語を予想しており、歴史的な造詣の深くない私にはハードルが高いのかなと思っておりましたが、良い意味で裏切られました。

確かに、主人公の明智湖太郎は女性嫌いで女学生にすら翻弄されてしまう硬派(?)で一般からすると異端な人物ですが、作者さまの精巧な筆致により、非常に温もりのあるキャラに書き上げられております。

そんな明智も呆れてしまうような、個性豊かな同じ部署のスパイ仲間たち、任務を遂行する上で関わってきた人物とのやり取りは、いささかシュールに表現されており、公衆の面前でも思わず噴き出してしまうような笑いも織り交ぜられております。

そして最大の魅力は、後半で際立ってきますが、明智や同胞しかりスパイである前に一人の人間であることです。
冷徹で冷酷なイメージのある職種ですが、彼らはそのイメージとは一線を画すような信念の持ち主であり、さまざまな任務をこなす上で彼らのポリシーが美しく光ってきます。

ミステリーでありながら人間ドラマとしても非常に魅力的な作品で、既に多くの方に読まれている良作ですが、もっと多くの方に読まれて評価されるべき作品だと思いました。

素晴らしい作品をありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

帝都とかスパイ、て単語だけでイメージが膨らむくらいこう言ったジャンルは沢山、書かれている。しかし、それでも書き尽くされないのはそれが実際の過去というよりは一つのファンタジーとして確立されているからではないか。この作品にもそれらの単語が設定されているが、作品独自の個性的なキャラクターたちによって引き立てられて個別性のある世界が演出されています。
ようは面白い!てことですね。

★★★ Excellent!!!

舞台が太平洋戦争直前と言うことで、時代背景も含めて書くのが難しいテーマだとは思っていましたが、いざ読み始めると非常に読みやすく、個性的な面々に引き込まれていきます。

読者というより、一人の観客として映画を見ているように楽しめます。

★★★ Excellent!!!

第2回コンテストに応募中のようでしたので、読み途中にはなりますがせっかくなので一旦レビューさせていただきますね。(半分弱まで読了)

作り込まれ魂を吹き込まれたキャラクター達に惹かれます! 特に主人公の明智は独特のダンディズムがあって、魅力的でした。
諜報員という一風変わった職業も、しっかりと描き込まれていてリアリティがあり、
厨二病心をくすぐられて読み始めたものの、読んでみたら本格的にカッコ良かったです。
ダンディズムに諜報員のこの組み合わせは最強ですねー!
また、ツンデレ女子小学生もめちゃんこ可愛かったです。
緊張もあれば息抜きもあり、緩急のつけ方の勉強になりました。(饅頭事件はケラケラ笑いましたw)
続きも楽しもうと思います。

★★★ Excellent!!!

 昭和初期を舞台にしたスパイ小説、というわけでもない。主人公の仕事がスパイなだけ、かな?

 本来陰湿な裏切りものであるスパイのイメージを一新したのは、ジェームス・ボンドのシリーズだが、本作の主人公はジェームス・ボンドのように魅力的だが、女が苦手というスパイ小説ではあり得ない設定。
 ここですでに破綻している。

 そこへもってきて、同じ職場の同僚たちの個性的なこと。おまえら、スパイの意味理解しているのか!と、腹を抱えて笑ってしまう。


 出てくる事件も、のっけからお嬢様の運転手けん執事。「お帰りなさい、お嬢様」的な。

 次の話は推理物なのだが……。


 時代考証がしっかりしていて(いやしっかりしているかどうかは検証してないのだが、しっかりしている感じがする)、随所にそれらしい言い回しや単語が散りばめられ、昭和感を醸し出している。


 文章は異様に読みやすく、誤字脱字の類が皆無にちかい(あるかもしれないけど)。


 さらに、あちこちに作者が答えをあたえずに仕込んだ細かい謎や遊びが満載。


 1話だけ読むつもりが、一気に4話までいってしまった。

★★★ Excellent!!!

キャラクターも世界観も良いです。
ミステリーというよりも、昭和のレトロが香るハートフル・ライト諜報機関物、という印象を私は受けました。大好物です。
お兄さんとおっさん方が良い味を出しているのも、この物語の雰囲気を実によく高めています。文体も、必要以上に堅苦しくならないよう、良い塩梅になっています。
優秀なのにいじらしい明智も、頼りないけど意志堅い旭も、個性豊かな同僚の面々の言動も、とても面白いです。



しかし、四話と五話の間の話を省略したのが、個人的にはとても不満です。四話と五話の間にあったであろう話は、とても重大で、それこそ一番魅力的に光る話です。ストーリーの流れ的にも、この短編集の山場となったはずです。様々なキャラクターの想いや意思がぶつかり合い、読者の心を鷲掴みにし、虜にし、五話の決断をより一層魅力的に描くための布石ともなったはずです。一番の山場を削るとかありえません。今すぐにでも、『話』としてしっかり独立させ、絶対に書くべきです。

★★★ Excellent!!!

昭和時代に、スパイが跳梁跋扈する話ですが、とにかくスタイリッシュでカッコいい!

また明智というキャラクターについて物語を読み進めていくうちにどんどん変化していきます。
最初は完璧超人だけどどこか傲慢で、かと思っていましたが、次第に抜けたところやコンプレックスなどが描かれ、魅力的なキャラクターに仕上がっております。

さらには文章も非常にうまく、またセンスある会話劇でするすると読んでしまいました。

非常に面白い小説なので、是非とも読んでほしいです。

※個人的には第4話が好きです!

★★★ Excellent!!!

とにかく明智のキャラクター性が好きです。その捉えどころのなさが。そのお堅い口調が。その慌てぶりが。キャラ崩壊しないように絶妙な調整がかかっており、謎多き者として魅力がある気がしますね。スパイなので盗聴も平然とやります。不器用ではありますがスパイなのです(笑) そんな明智はもちろん、作者様の高い文章力と優れた世界観に惚れこんでください!!

★★★ Excellent!!!

昭和15-16年を舞台にした、スパイ活動の物語。
諜報員、陸軍、戦争、歴史といったテーマから一見すると、重く固い内容と捉えがちですが、読んでみるとすんなり入り込むことができます。

物語は諜報員明智さんを主人公に、個性的でイケメンな諜報員の面々を中心に進んでいきます。
仲間たちとかっこよく駆け回る時もあれば、お茶目な失敗をすることも。そして大いに悩む。
戦争前の苦しい時代を舞台にし、その時代に生きた人間の泥臭いドラマがたっぷり味わえる作品です!
様々なスパイ活動を通して成長していく姿は見ものです。

また、所長の入試試験、旭さんや仲間たちの想い。
諜報機関の目指すビジョンがしっかりしていて、素晴らしい団結力に感動です。

★★★ Excellent!!!

時は昭和初期。
太平洋戦争を目前に控え、取り巻く空気が徐々に人々を狂騒へと駆り立てていく・・・
そんな不穏な時代に活動し、外務省や特高警察とも駆け引きを繰り広げるスパイ組織の物語。
・・・なんて説明するとさぞかし血生臭く殺伐とした物語だろうと想像してしまう所ですが、意外にも全くそんなことはありません。
この作品の最大の特徴はメンバーたちが懐に抱える信念・友情の膨大な熱量!
こんな世相ではあるものの、いやむしろ動乱含みのこの時代だからこそ、己が信念を礎にして必死に気高く生きようとする者たちがそこにいたのかもしれない・・・その様子がありありと目に浮かぶ程、豊富な知識と格調高い筆致でガッチリ下支えされた胸躍る冒険譚です。

個性的なキャラたちの中には「地味に」嫌な部分を持ち合わせている者も多くいます。
派手な異常性などはキャラ付けのスパイスとして案外使いやすかったりしますが、地味な欠点はともすると読者を苛立たせるストレスになりがちなもの。しかしこの作品は、そのようなありふれた不完全さを見事に魅力に昇華し、リアルな人格としてキャラに命を吹き込んでいます。

激動の時代に、己が未熟さと戦いながらも青臭いほどの平和への意志を貫かんとする天晴れな勇士たちの闘いを、これからも見守っていきたいと思います。

ちなみに紳士たる私は旭さんに惚れました。

★★★ Excellent!!!

時代設定からして重々しいお話なのかと思いきや、意外にもコミカルなタッチで描かれています。
不器用で生真面目な諜報員の主人公があれこれ振り回されて?
それでも最後にはしっかりと纏められていて、変に軽すぎる様な事もなく、実にバランス良く、かつ、時代にもちゃんと沿った物語となっています。
良い意味で期待を裏切られましたね(笑)

★★★ Excellent!!!

主人公がとっても魅力的です。生真面目でプライドが高く誠実で繊細で不器用で……こんなんじゃさぞ生きにくいだろうに。でも彼は逞しく、重大な責任を負ったスパイとしての任務を鮮やかにこなしていく。カッコイイ……惚れました。僕も男だけど。
周囲の人間も良い味を出しています。彼ら彼女らの紡ぐハートフルな物語は、ただの青臭い理想主義に終わらない説得力があり、不覚にも涙腺が緩みました。いいですね。殺伐とした話ばっかり書いてる僕には眩しい世界です。
丁寧な心情描写を織り交ぜて、登場人物の背景を浮き彫りにする技術に感心しました。繰り返しますがとても丁寧に書かれています。時代考証は僕は専門ではないので、評価判断できないのが残念ですが、他のレビューを見ると可能なかぎり努力されているようで、読んでいてもその熱意は伝わってきます。
読んでて本当に幸せな気分になれる作品です。粋です。

★★★ Excellent!!!

 レヴューは、第1話目のレヴューです。ハードボイルド系かと思いきや、シリアスコメディの王道的作品でした。
 短編オムニバス形式で、スラスラと読み進めることができます。
 「誰がコマドリ饅頭を食べたの?」は、元ネタが分かると思わず笑ってしまいますよね。
 女スパイとの共闘も良かったですが、小生としては主人公の人間性に迫った「靴をすり減らす」も好きです。
 最初で引き返してしまった方、これは単なる「硬い話」ではありません。是非、御一読下さい。

★★★ Excellent!!!

結構硬い作品なのかなぁと最初は読み進めましたが、読んでいくうちにそれはすぐにふっしょくされました。
一話一話が作者さんの配慮もあり読みやすく、すぐに物語にのめり込めました。

スパイである明智くんはすばらしい長所を数多くお持ちのようですが、残念ながら女子と接することが苦手のようで、これが彼のスパイという本質をものの見事に台無しに……。
これではまともにスパイも務まらないのでは笑……と思ってみたり思ってみなかったり。

スパイものはジョーカーゲームくらいしか読んだことがなかったのですが、この作品もそれくらいに面白い。
これから明智くんがどんな女子と関わっていくのか、そしてスパイとしての役割を果たせるのか。
見所満載で楽しみです!!

★★★ Excellent!!!

戦前の諜報機関を舞台にしたミステリー連作短編小説。

といっても全然重苦しいものではなく、軽々とした、颯爽とした読物に仕上がっています。

諜報機関や、戦争の匂いただよう中といった情勢と、ストーリーの軽やかさが、とてもよくマッチした作品。ぜひ読んでみてください(^o^)

★★★ Excellent!!!

昭和10年代半ば、太平洋戦争直前の東京は嵐の前の静けさで、
陸軍や警察の専横や過激派の動きは水面下にあれど、
大正モダンの流れを汲んだ洒落た気風に満ちている。

女学校、映画雑誌、珍しい洋菓子、和洋折衷の菓子、
地下鉄、ハイヒール、カフェー、皇紀2600年、劇場、
定食屋のカレーライス、改良を重ねる無線機や盗聴機。

21世紀から振り返れば、その古めかしさは一種、お洒落だ。
レトロシティ東京を舞台に、インテリ美男のスパイが活躍する。
彼の名は明智湖太郎、むろん偽名である。

クールな知性派を自称する明智に、読み進めながらときどき苦笑。
けっこう抜けてて、かなり直情的で、すごく人間くさい。
女性が苦手なオトコノコの部分は、めちゃくちゃかわいい。

昭和初期の舞台背景が丁寧に構築されているおかげで、
読者は混乱も困惑もなく物語に入っていける。
明智の視点として違和感のない硬質な文章も魅力的。

また、明智の同僚、個性的で困ったちゃんなスパイたちが、
ストーリーの盛り上げに一役も二役も買っている。
カッコよくて謎めいたハゲの所長と健気な年下女性上司も素敵だ。

ネッみたいな便利なものはなく、まだどこかに武士の矜持が残り、
ひたひたと近付く戦争の足音が混迷をもたらそうとする時代を、
スパイと言えど人情派の彼ら、無番地の面々が駆ける。

爽快な活劇シーンもありつつ、人生ドラマはほろ苦くて熱くて、
くすっと笑ったり、温かい情景に和んだりもする。
短編連作形式の良作スパイエンターテインメント、ここにあり。

★★★ Excellent!!!

太平洋戦争の足音が近づいてきている東京を舞台に、頭脳明晰な諜報員たちが見えない敵に迫り、戦う物語。
スリリングかつ人情味溢れる物語から目を離せないのは勿論、登場人物たちの魅力からも逃げられません。

主人公の明智さんは、頭脳派でありながら剣道も嗜むという完璧な御仁。童貞疑惑もその魅力をさらに増すことにしか作用しません。
他にも、『娘のためなら死ねる』桐原憲兵大佐、『世界は俺を中心に回っている』松田、『テンプレ?マッドサイエンティスト』広瀬、『実は腹黒な永遠のエース』佐々木、『哀しみは漢に欠かせぬスパイス』山本に不完全なヒロインと、書ききれぬ魅力を抱えた諜報員たちがわんさかいるのです。
面白くないわけがないと思いませんか?

私、カクヨムのプロフィールに「イケメンが出てくると喜びます」と書いておりまして。そちらを見た作者様自ら「タイプの違うイケメンスパイがいっぱい出てきますので、どうぞお好きなスパイを」とご紹介いただきました。
この言葉に釣られてやってきた私、すっかりイケメンたちのトリコです。
次は貴方の番。イケメンスキーな私が声を大にして推薦させていただきましょう。

ここはイケメンパラダイス、迷わずお越しなさい。

★★★ Excellent!!!

 戦前の日本。軍拡が叫ばれ、平和な喧騒が静まり返ってくる暗い時代。
 子供の頃読んだ、推理小説を彷彿とさせる重い時代背景。
 主人公は、同僚の一歩あとを進むことを甘んじて良しとしている諜報員。
 容姿、学業、運動神経、全てを兼ね備えながら女性が苦手。諜報員としては一流未満でも人間的には愛すべき存在。
 そんな彼に与えられる任務は、なぜか女性絡みが多いのも確か。
 彼と同じかそれ以上に、魅力的かつ個性的(奇矯?)な同僚たち。

 作者さんは、ある大学のミステリー研究会出身ということもあり、犯人当て、ハウダニット、カーアクションなど、ミステリ要素も多彩かつ完成度も高いこの一作。
 捜査の中にあって、恋愛要素も少なくありません。

 新しい形、上質な香りのミステリをどうぞ。

 (……くんくん、なにやら多彩なカップリングを想定した、BLの香りもするよ……(-_-).。o○0〇

 

★★★ Excellent!!!

明智さんは狡い!
読んでいるうちに脳裏に滲み出るように浮かんだ言葉。
佇まいも言動も男臭さも(褒め言葉です)全てがカッコイイんです!

運転手になってもらってもいいですか?って思ったのは内緒です。

惹き付ける文章に目に見える背景も。風が流れるような気持ちよさすら感じさせられました。
敢えて此処ではネタバレはしません!

なぜならば、あなたの目で読んで欲しいのです。そして感じてください。

星はもちろん!三つです!

★★★ Excellent!!!

3話のラストまで読了しました。

主人公が冴える知恵を遺憾なく披露しながら謎を解き明かしていくのですが、華麗に…とはすんなり行かせてくれない状況が彼に付き纏ってしまいます。

それは正に女性!

女性との接し方に関してだけはとても良い意味で『まるでダメ男』な主人公が、しかし任務上接する事になる女性には逆に翻弄される姿が、なんともユニークであります。

任務遂行の鮮やかさと女性へのオタオタ感、二重の楽しみを読み手に与えてくれるスゴ腕(←これは本当に)諜報員・明智湖太郎の活躍が癖になりそうな作品です!

★★★ Excellent!!!

最新の第4話 7までを読んでのレビューになります。
問答無用で面白いスパイミステリー小説です。ここに魔法のようなコメディのスパイスがふりかけられ、また根底に厚みのあるドラマが流れていて、極上のエンターテイメント小説になっています。
特筆すべきは主人公のスパイ明智君でしょう。文武両道、外見もよく、クールで頭脳明晰、と長所を数え上げればきりがない彼ですが、女性が苦手という短所ですべてを台無しにしています。そして事件には必ず女性が絡んでくるものだから、嫌な予感一杯を楽しみながら彼の活躍を追いかけることになります。さらに彼の脳内で展開される明智ワールドがまた実に楽しい。なんとも応援したいというか、見守りたくなるキャラクターなのです。
さらにこのスパイ組織の面々がまた曲者ぞろいの楽しくも熱い面々。熱い正義の想いを抱きつつ、みんなそれぞれ事情があったり、独特の活躍をしたりと、物語にグッと深みを増してくれます。
大戦前の昭和をイメージした世界観が見事な文章とともに表現され、その中をスパイたちが駆け抜けていく光景は臨場感たっぷりです。もちろんミステリー要素もすばらしく、謎解きの爽快感もあります。
とにもかくにも是非読んでほしい物語。幸いにも連載中なので、今から読み始めてはいかがでしょう?

★★★ Excellent!!!

ジャズとシガーが良く似合う、セピア色をした大人のためのミステリ。
深く静かな文脈なのに、暖かい、時に熱いほどの心情が痛いほど胸に伝わってきます。
人と人との繋がり、重厚なストーリーと背景、時にハートフルコメディー。
すべてが高水準の、贅沢な逸品。是非とも皆様にご覧になっていただきたい作品です。

★★★ Excellent!!!


日本のスパイもの、と聞いて真っ先に浮かんだのが『ジョーカーゲーム』ですが、あちらが完璧人間のスパイなら、こちらは女に弱い事以外は完璧な、惜しいスパイ。
しかし、主人公の不完全なところが、堪らなく人間臭くて魅力的です。

一章まで読了しましたが、この後もどんどん面白くなりそうな予感がします。続きもじっくりと読ませていただきます。

★★★ Excellent!!!

高い文章力によってしっかりと作り込まれた昭和初期のノスタルジックな世界観と、その中で生き生きと活躍するハートフルで個性的な諜報員達。

それぞれ趣向を凝らした短編連作なので読みやすく、話数を重ねるうちにいつしかこの激動の時代に生きる人間臭い男たちの虜になっておりました。

第4話まで読了し、最終話である5話目の更新が楽しみな反面、完結してしまうのが今から寂しく思われる良作です。

★★★ Excellent!!!

物語の舞台は、歴史の暗雲がじわじわと迫り来る昭和10年代。
新旧様々な文化が入り乱れる中、闇で動く陰謀の阻止や、普通の人では行えない様々な任務を遂行する諜報員たち。その中でも冷静沈着、どんな裏も見抜く凄腕の諜報員こそが、主人公の明智湖太郎。しかし、彼には「女性の扱いが苦手」と言う弱点があり……?

古き良き、という言葉がぴったりな時代描写の丁寧さもさる事ながら、冷酷そうに見えて裏では意外と飄々とした所もある明智を始めとした個性の塊な諜報員たち、彼を振り回す様々なヒロインたちが織り成す物語は、時にクールに、時に愉快に、先が全く読めないスリルも交えた展開となっています。

今回の彼の任務は何か、今度の女性の扱いの方は大丈夫なのか……昭和浪漫を独特の色彩で描く物語です。

★★★ Excellent!!!

漢字が多いのですが不思議と読みやすいです。
私だったらギャグ調にして読みやすくしようと試みるのですが、この作者様は別のテクニックをお持ちです。

個人的には
事件にあっという間に巻き込まれる---ような展開が、好きなのですが、こういう気品を感じる作風も好きになりました